★書物・雑誌

偉業を達成したが、仲間に潰された話 松本清張『文字のない登攀』 ★書物・雑誌

偉業を達成したが、仲間に潰された話 松本清張『文字のない登攀』

★松本清張 短編小説シリーズ   ・題名     『文字のない登攀』 ・昭和35年   11月発表  ・新潮社     新潮文庫 【憎悪の依頼】内  ・昭和57年   9月発行   登場人物   ◆高坂憲造 日本を代表する山岳界の重鎮。ある日、前人未踏であったR岳V壁を…
学界の権威主義、嫉妬深さを皮肉った話 松本清張作『石の骨』 ★書物・雑誌

学界の権威主義、嫉妬深さを皮肉った話 松本清張作『石の骨』

今回紹介するのは、松本清張作『石の骨』。 清張自身、市井の社会派小説家と云われただけあり、何か学界の権威主義・嫉妬を皮肉った作品。   以前、清張作品『カルネアデスの舟板』を紹介したが、あれも学界を上手く立ち回わろうとする大学教授の話。 今回の作品も同じ学界の話であり、何か通ずるものがある…
得体の知れない物を見た時、人間の驚きと戸惑い。カフカ『変身』 ★書物・雑誌

得体の知れない物を見た時、人間の驚きと戸惑い。カフカ『変身』

今回は洋書の名作を取り上げてみた。或る日突然自分が変身を遂げた。 結果として周囲の者から差別と偏見の目でみられた時、あなたはどう感じるであろうか?   ・題名   『変身』  ・作者   フランツ=カフカ ・国    ドイツ ・執筆   1912年11月 ・発表   1915年 ・訳者  …
見知らぬ物に対する盲目の尊敬と権威主義 森鴎外『寒山拾得』 ★書物・雑誌

見知らぬ物に対する盲目の尊敬と権威主義 森鴎外『寒山拾得』

以前森鴎外の作品を紹介したが、今回は同じ鴎外作品『寒山拾得』を取り挙げたい。 バリバリの明治政府の高級官僚だった作者が、皮肉を込めて描いた作品と言えるかもしれない。   登場人物   ◆閭丘胤(りょきゅういん) 唐の貞観の頃(627~649年)の官吏。人事異動で台州主簿に任命され…
現代社会でも、然程変わらない話 森鴎外『山椒大夫』 ★書物・雑誌

現代社会でも、然程変わらない話 森鴎外『山椒大夫』

今回取り挙げる作品は、森鴎外の『山椒大夫』。大昔、映画化もされた作品。 最も『安寿と厨子王』と云った方が、馴染みが深いかもしれません。 子供の頃、絵本・TVの昔話等で、一度は見聞きしたのではないでしょうか。   ・題名     『山椒大夫』  ・作者      森鴎外 ・発表      1…
生気を感じさせない主婦が一瞬、輝きを取り戻した瞬間。松本清張『張込み』 ★書物・雑誌

生気を感じさせない主婦が一瞬、輝きを取り戻した瞬間。松本清張『張込み』

★松本清張 短編小説シリーズ   ・題名    『張込み』  ・新潮社   新潮文庫  ・発行    昭和40年12月   登場人物   ◆柚木刑事 警視庁捜査一課に勤務の刑事。強盗殺人犯、石井久一を追い、九州に赴く。 石井の元恋人で今は他家の後妻の家を張込む。さだ子は…
人間一体、何が幸せなのか分からない 森鴎外『高瀬舟』 ★書物・雑誌

人間一体、何が幸せなのか分からない 森鴎外『高瀬舟』

少子高齢化が進む今日の日本社会。今後必ず検討されるであろう、安楽死。 安楽死は、100年以上前から検討されていた問題。   タブーと言う事で、俎上にのらないだけだが、将来的に避けて通れない議論となろう。 更に深く読めば、決して安楽死だけではないと思える作品。   ・題名   『高…
さり気ない一言で、お上から父の命を救った話 森鴎外『最後の一句』 ★書物・雑誌

さり気ない一言で、お上から父の命を救った話 森鴎外『最後の一句』

さり気ないが、皮肉めいた言葉を放ち、お上から父を救った話。 その言葉は古今東西を問わず、通ずるものがあろう。 そんな考えが頭をよぎり、森鴎外の「最後の一句」を読み返してみた。   ・題名   『最後の一句』  ・作者    森鴎外  ・発表    大正4年 10月発表(1915年) ・発行…
宋代、科挙に失敗した男が、西域の砂漠で見たもの 井上靖『敦煌』 ★書物・雑誌

宋代、科挙に失敗した男が、西域の砂漠で見たもの 井上靖『敦煌』

懐かしい小説を読み返しました。作品は、井上靖『敦煌』です。 1988年のバブル経済華やかなりし時、映画化もされました。   当時を反映、広大なスペクタクル作品となったのを記憶しています。 今回は原作と映画を踏まえ、述べてみました。   登場人物   ◆趙行徳 科挙の最終…
長年の夢が叶った瞬間、胸に去来するもの 芥川龍之介『芋粥』 ★書物・雑誌

長年の夢が叶った瞬間、胸に去来するもの 芥川龍之介『芋粥』

人間は長い間、憧れていた夢が現実となった時、果たしてどのような思いが頭を過るのか。 今回、その様な事を考え乍、芥川龍之介の小説『芋粥』を読み返してみました。   ・題名 『芋粥』 ・原作 芥川龍之介作  (大正5年 9月発表)   登場人物 ◆何某の五位 名前さえない、身分の低い…
時刻表の僅かな空白を利用したトリック。松本清張作品『点と線』 ★書物・雑誌

時刻表の僅かな空白を利用したトリック。松本清張作品『点と線』

★松本清張名作シリーズ   ・題名    『点と線』  ・新潮社   新潮文庫  ・昭和46年 5月発行  ・昭和32年 2月~昭和33年 1月雑誌【旅】にて連載   松本清張作品の名作の一つ、「点と線」。 僅か数分間の時刻表の空白を使い、政府の官僚と料理屋の女中を心中に見せかけ…
古今東西、何処にも存在する話 松本清張『カルネアデス』の舟板 ★書物・雑誌

古今東西、何処にも存在する話 松本清張『カルネアデス』の舟板

★松本清張 短編小説シリーズ   ・題名       『カルネアデス舟板』 ・新潮社       新潮文庫   ・昭和40年     12月発行    傑作短編集(五)『張込み』内   序説 紀元前2世紀、ギリシャでの話。 一艘の船が難破した。ある船員が溺れまいと、必死に一枚の舟…
久し振りに本屋に立ち寄り、気付いた事 ★書物・雑誌

久し振りに本屋に立ち寄り、気付いた事

連休中、本屋にて 大型連休中、予定がない休日、久し振りに本屋に立ち寄った。 久ぶりにと書いたのは、何時からかは記憶がない。 此処しばらく、本屋にいかなくなったのは。   おそらく半年はいっていないだろうか。それ程、久し振りに感じられた。 何故だろうか。昔ほど行かなくなったのは。 結論から述…