書物・雑誌 26 8月 2019 学界の権威主義、嫉妬深さを皮肉った話 松本清張作『石の骨』 今回紹介するのは、松本清張作『石の骨』。 清張自身、市井の社会派小説家と云われただけあり、何か学界の権威主義・嫉妬を皮肉った作品。 以前、清張作品『カルネアデスの舟板』を紹介したが、あれも学界を上手く立ち回わろうとする大学教授の話。 今回の作品も同じ学界の話であり、何か通ずるものがある… 続きを読む
書物・雑誌 19 8月 2019 得体の知れない物を見た時、人間の驚きと戸惑い。カフカ『変身』 今回は洋書の名作を取り上げた。或る日、突然自分が変身を遂げた。 結果、周囲から差別と偏見の目でみられた時、あなたはどう感じますか? ・題名 『変身』 ・作者 フランツ=カフカ ・国 ドイツ ・執筆 1912年11月 ・発表 1915年 ・訳者 高橋義孝 ・発… 続きを読む
書物・雑誌 17 8月 2019 見知らぬ物に対する盲目の尊敬と権威主義 森鴎外『寒山拾得』 以前森鴎外の作品を紹介したが、今回は同じ鴎外作品『寒山拾得』を取り挙げたい。 バリバリの明治政府の高級官僚だった作者が、皮肉を込めて描いた作品と言えるかもしれない。 登場人物 ◆閭丘胤(りょきゅういん) 唐の貞観の頃(627~649年)の官吏。人事異動で台州主簿に任命され… 続きを読む
書物・雑誌 7 8月 2019 現代社会でも、然程変わらない話 森鴎外『山椒大夫』 今回取り挙げる作品は、森鴎外の『山椒大夫』。大昔、映画化もされた作品。 最も『安寿と厨子王』と云った方が、馴染みが深いかもしれません。 子供の頃、絵本・TVの昔話等で、一度は見聞きしたのではないでしょうか。 ・題名 『山椒大夫』 ・作者 森鴎外 ・発表 … 続きを読む
書物・雑誌 17 7月 2019 生気を感じさせない主婦が、輝きを取り戻した瞬間。松本清張『張込み』 ★松本清張 短編小説シリーズ ・題名 『張込み』 ・新潮社 新潮文庫 ・発行 昭和40年12月 登場人物 ◆柚木刑事 警視庁捜査一課に勤務の刑事。強盗殺人犯、石井久一を追い、九州に赴く。 石井の元恋人で今は他家の後妻の家を張込む。さだ子は… 続きを読む
書物・雑誌 16 7月 2019 人間一体、何が幸せなのか分からない 森鴎外『高瀬舟』 少子高齢化が進む今日の日本社会。今後必ず検討されるであろう、安楽死。 安楽死は、100年以上前から検討されていた問題。 タブーと言う事であまり俎上にのらないが、将来的に避けて通れない議論となろう。 更に深く読めば、決して安楽死だけではないと思える作品。 ・題名 『高瀬… 続きを読む
書物・雑誌 15 7月 2019 さり気ない一言で、お上から父の命を救った話 森鴎外『最後の一句』 さり気ないが、皮肉めいた言葉を放ち、お上から父を救った話。 その言葉は古今東西を問わず、通ずるものがあろう。 そんな考えが頭をよぎり、森鴎外の「最後の一句」を読み返してみた。 ・題名 『最後の一句』 ・作者 森鴎外 ・発表 大正4年 10月発表(1915年) ・発行… 続きを読む
書物・雑誌 9 7月 2019 宋代、科挙に失敗した男が、西域の砂漠で見たもの 井上靖『敦煌』 懐かしい小説を読み返しました。作品は、井上靖『敦煌』です。 1988年のバブル経済華やかなりし時、映画化もされました。 当時を反映、広大なスペクタクル作品となったのを記憶しています。 今回は原作と映画を踏まえ、述べてみました。 登場人物 ◆趙行徳 科挙の最終… 続きを読む
書物・雑誌 8 7月 2019 長年の夢が叶った瞬間、胸に去来するもの 芥川龍之介『芋粥』 人間は長い間、憧れていた夢が現実となった時、果たしてどのような思いが頭を過るのか。 今回、その様な事を考え乍、芥川龍之介の小説『芋粥』を読み返してみました。 ・題名 『芋粥』 ・原作 芥川龍之介 ・発表 大正5年9月 登場人物 ◆何某の五位 名前さえない、… 続きを読む
書物・雑誌 25 6月 2019 時刻表の僅かな空白を利用したトリック。松本清張作品『点と線』 ★松本清張名作シリーズ ・題名 『点と線』 ・新潮社 新潮文庫 ・発行 昭和46年 5月 ・昭和32年 2月~昭和33年 1月雑誌【旅】にて連載 松本清張作品の名作の一つ、「点と線」。 僅か数分間の時刻表の空白を使い、政府の官僚と料理屋の女中を心中に見… 続きを読む
書物・雑誌 6 6月 2019 古今東西、何処にも存在する話 松本清張『カルネアデス』の舟板 ★松本清張 短編小説シリーズ ・題名 『カルネアデス舟板』 ・新潮社 新潮文庫 ・発行 昭和40年12月 傑作短編集(五)『張込み』内 序説 紀元前2世紀、ギリシャの話。 1艘の船が難破した。ある船員は溺れまいと、必死に1枚の舟板にしが… 続きを読む
書物・雑誌 8 5月 2019 久々に本屋に立ち寄り、気づいた事 連休中、本屋にて 大型連休中、予定がない休日、久し振りに本屋に立ち寄った。 久ぶりにと書いたのは、何時からかは記憶がない。此処しばらく、本屋にいかなくなったのは。 おそらく半年はいっていないだろうか。それ程、久し振りに感じられた。 何故だろうか。昔ほど行かなくなったのは。 結論から述べ… 続きを読む