アクション満載 ジャッキーチェン監督・主演『プロジェクトA』

★懐かしい香港映画シリーズ

 

・題名       『プロジェクトA』

・公開        1983年香港、1984年日本

・配給        ゴールデン・ハーベスト、東宝東和    

・監督        ジャッキー・チェン

・製作        レナード・K・C・ホー

・脚本        ジャッキー・チェン、エドワード・タン

・製作総指揮     レイモンド・チョウ

 

出演者

 

◆ドラゴン     :ジャッキー・チェン  (沿岸警備隊総大将)

◆ジャガー     :ユン・ピョウ     (陸上警察警部、チー総監の甥)

◆フェイ      :サモ・ハン・キンポー (ドラゴンの知人の大泥棒)

◆サム       :ディック・ウェイ   (海賊の大ボス)

◆パール      :イザベラ・ウォン   (沿岸警備隊ボスの娘)

◆海上警察司令官  :ラウ・ハクスン    (沿岸警備隊のボス)

◆チー総監     :クワン・ホイサン   (陸上警察のボス)

◆ひょうきん    :タイ・ホー      (ドラゴンの部下)

◆大口       :マース        (ドラゴンの部下)

◆チョウ      :ウォン・ウェイ    (海賊と手を組む、悪徳商人)

◆リー       :リー・ホイサン    (海賊のスパイ)

 

作品概要

 

舞台は20世紀初頭、イギリス租借地の香港での話。当時香港では治安が乱れ、海賊行為が横行。

多くの船が海賊船に襲われていた。主人公ドラゴンは、香港沿岸警備隊の総大将を務める。

海賊行為が目にあまり、沿岸警備隊は海賊退治に出撃する事になった。

 

出撃前夜、隊員たちのバーで出撃前の宴を催す。そこに陸上警察警部、ジャガーと仲間たちがやってきた。

陸上警察は沿岸警備隊の無能さを詰り、忽ち両隊乱れての大乱闘が始まる。

 

大乱闘の末、陸上警察のチー総監がやってきて全員逮捕。

チー総監の甥っ子であるジャガーは見逃がされ、難を逃れた。

 

牢獄に閉じ込められた沿岸警備隊は出撃の理由で赦免され、全員釈放。

海賊退治の出兵式を行う。しかし式の最中、船を海賊スパイに爆破される。

沿岸警備隊はイギリス総督の怒りを買い、解散。陸上警察に組み込まれてしまった。

 

陸上警察に組み込まれた後、上司は酒場で大喧嘩した相手、ジャガーだった。

元沿岸警備隊達は、不満タラタラ。

 

陸上警察でのドラゴンの初仕事は、手配中の悪党が匿われているとタレこみがあった、高級クラブのガサ入れ(家宅捜査)。

ドラゴン達は令状なしの捜査だった。

その為、高級クラブのオーナーはチー総監を呼びつけ、逆に警察の狼藉行為と叱責した。

 

怒ったドラゴンは、警察を辞める決意で、その場で大暴れする。

大暴れの末、手配中の悪党を捕獲。手柄をジャガーに引き渡し、警官を辞職した。

 

警察を辞めてすぐ、ドラゴンの馴染みの泥棒、フェイが近づいてきた。

フェイは警察用ライフルを手に入れ、海賊とグルの高級クラブのオーナー、チョウに売り捌く算段。

フェイはドラゴンを上手く言いくるめ、ドラゴンを仲間に引き入た。

勿論ドラゴンはフェイの悪だくみを破っていたが、騙されたふりをしていた。

 

二人は首尾よく、警察用ライフルを手に入れた。

ライフルを手に入れた後、ドラゴンはフェイがライフルを悪用しない様、或る細工をする。

ドラゴンはフェイに一杯食わせ、まんまと盗んだライフルを元沿岸警備隊司令官に引き渡した。

 

海賊の蛮行に業を煮やしたイギリス本国は、本格的に海賊退治に乗り出す為、海軍提督を派遣してきた。

しかし提督たちの船は、逆に海賊たちに拿捕された。

 

海賊に捕まった提督たちを救出する為、香港総督は身代金と引き換えに、海賊との取引に応じようとしていた。

裏取引を知り、ドラゴンは総督宅に忍び込み、総督に取引を止めるよう説得する。

 

総督はドラゴンの説得に応じ、取引を中止。代わりにドラゴンを提督救出の特別指令の隊長の命ずる。

映画タイトル通り、此処が「プロジェクトA」の始まり。

 

作戦は海賊の窓口をしている高級クラブオーナー、チョウを誘拐。

拷問の末、海賊との接触の方法を聞き出す。ドラゴンがチョウに扮し、海賊のアジトに潜り込む。

 

アジトに着いたドラゴンは、海賊のボス「サム」に手厚い歓迎を受ける。

海賊アジトに向かう船中には、フェイも潜りこんでいた。

どうやらフェイは、ライフルの取引で儲け損ねた為、今度は海賊のお宝を頂戴しようと潜り込んできた模様。

 

ドラゴンが饗応を受けている最中、警察にスパイとして捕まっていたリー(ドラゴンが逮捕)が戻ってきた。

ドラゴンの正体がバレ、たちまち海賊一味と格闘が始まる。

 

ドラゴンは船で海賊アジトに向かう途中、伝書鳩でジャガー(陸上警察)に島の在処を知らせていた。

漸くその援軍が到着。警察と海賊との大乱闘がはじまる。

 

大乱闘の末、漸く海賊を退治。

ボスとは最終的に4人(もう一人は大口)で挑むが、苦戦。

最後に海賊ボスのサムを爆死させ、物語は終了する。

 

見所

 

今迄、ジャッキーの映画の代名詞であった「~拳」の路線をガラリと変え、現代風でコミカルにアレンジした映画。

何時も師匠が登場。修業の末、敵を倒し終了するパターンに限界を感じたのかもしれない。

 

今回の映画を境にコミカルさ、アクション的要素を加えた、後のジャッキー映画路線が始まった。

ジャッキーの体を張ったアクションシーンが、処々に存在する。

例えば、ジャッキーが敵に追われ時計台から落下するシーンは有名。

 

ジャッキーが自転車で狭い路地を逃げる途中、ジャッキーが見知らぬ家のドアを叩く。

家の人が「何だろうかと」ドアを開けた瞬間、自転車で追跡していた敵の顔にドアがぶつかる場面は、当時の映画のTVCM等で使われた程、有名なシーン。

 

劇中ジャッキーが高級クラブでの大捕り物の後、警察を辞めフェイと話しをしている時、フェイが呟いたセリフが当時の香港の状況を的確に表現していた。

 

「香港には4種類の人間しかいない。金持ち、貧乏人、警官、泥棒」

 

此れが当時の香港を象徴する言葉で、現代でも然程変わりはないのかもしれない。

 

ジャッキーチェン、サモハン・キンポー、ユン・ピョウの3人が最後に戦うボスは、おそらく今迄のジャッキー映画に登場したボスの中で、最強の敵。

ジャッキー・サモ・ユンの3人がかりで挑んでも勝てなかった。

最後は敷物に相手を絡め動けなくした後、持っていた手榴弾で爆死させた。

後にも先にも、一番の強敵だった。

 

改めて映像を見直せば、最後の決闘シーンの場は、祭壇のような作りをしている。

掛け軸が掛けられた舞台をよく見れば、船の形をしているのが分かる。

海賊のアジトの為、海賊船をあしらったのであろうか。なかなか洒落っ気で、面白い。

 

追記

 

ジャッキー監督の映画だが、珍しく当時の香港3大スター(ジャッキー・サモ・ユン)が共演している。

サモ・ハン・キンポーが監督の場合、大概3人がそろい踏みする。

しかし当時ジャッキがー監督を務める際、ジャッキー本人が主役となる事が多かった。

 

映画の主題歌「東方的威風」は、幼少の頃は分からなかったが、オリジナル曲ではない。

アメリカの民謡・行進曲として知られている「ジョニーが凱旋するとき」のアレンジと、後に知った。

 

尚この曲は、他の映画にも暫し使われている。

『ダイ・ハード3』が有名。魂を鼓舞するような曲なので、よく使われるものと思われる。

TVCM、番組挿入などでも暫し使われている為、聞けばきっと納得がいくのではないかと思う。

 

お馴染みの他の香港映画で共演している、役者達が多数見られる。

タイ・ホー(ひょうきん)、マース(大口)等は、毎度お馴染み。

 

海賊のスパイ役を演じたリー・ホイサンは、映画『少林寺三十六房』で「戒律院総長」役を演じた人物。

主人公が三十五房の修業を終え、最後に立ちはだかる人物。

 

正直な処、映画を日本語訳でしか見た事がなく、広東語・北京・英語版は見た経験がない。

その為、かなり意訳したセリフも見られる。

 

昔地上波などで放送された際、当時の流行り・社会世相等が、かなり含まれている。

その為、今見れば違和感があるセリフが含まれていたり、劇中ではセリフがなかったが、セリフが挿入されている場面がある。

これは洋画も同じ。

 

洋画はまだ字幕でニュアンスが理解できるが、北京語さらに広東語になれば、字幕での理解は不能。

広東語が使われたのかは、おそらく舞台が香港だからと思われる。

見比べてみれば、面白いかもしれない。

 

(文中敬称略)

 

参考:ジャッキー・チェンの新天地 『香港国際警察』

  :香港三代スター(ジャッキー・サモ・ユン)共演、『スパルタンX』

  :少年時代、皆が真似た映画 ジャッキー・チェン『蛇拳』