香港三代スター(ジャッキー・サモ・ユン)共演、『スパルタンX』

★懐かしい香港映画シリーズ

 

・題名       『スパルタンX』

・公開       1984年 日本

・配給        ゴールデン・ハーベスト、東宝東和    

・監督       サモ・ハン・キンポー

・製作       レナード・K・C・ホー

・脚本       エドワード・タン、ジョニー・リー

・製作総指揮    レイモンド・チョウ、アンドレ・モーガン

 

出演者

 

◆トーマス     : ジャッキー・チェン

◆デビット     : ユン・ピョウ

◆モビー      : サモ・ハン・キンポー

◆シルビア     : ローラ・フォルネル

◆デビットの父   : ポール・チャン

◆モンデール伯爵  : ペペ・サンチョ

◆伯爵家の執事   : ハーバード・エデルマン

◆アメリカ人格闘家 : ベニー・ユキーデ

◆フランス人格闘家 : キース・ビタリ

 

作品概要

 

舞台は、スペインのバルセロナ。

トーマス・デビットはバルセロナの街で、車を使った軽食屋を営む。

 

同じ中国系の知り合いモビーは、私立探偵の助手をしていた。

モビーが勤める私立探偵のボスが借金の為、トンズラ。その為、モビーは助手から事務所代表に昇格した。

 

昇格した矢先、謎の老人から女性の親子を捜して欲しいと依頼を受けた。

依頼は漠然としていたが、多額の報酬につられ、モビーは二つ返事で引き受ける。

 

トーマス・デビットは昼間の仕事を終え、デビットの父が入院している精神病院に見舞いに行った。

入院していたデビットの父は、病院内で知り合った中年女性と深い仲になっていた。

相手の女性には若くて綺麗な娘、シルビアがいた。

 

トーマスとデビットは一目惚れ。

デビットは声を掛けるが、あっさりシルビアにかわされてしまう。

 

その夜、トーマスとデビットは、バルセロナの夜の街で商売をしていた。

商売をしている時、偶然客引きをしていたシルビアに会う。

 

どうやら母と娘二人で暮らしの為、苦労して生きている様子。

デビットはシルビアにお金を渡し、助けようとするが、トーマスに窘められる。

 

しばらくしてシルビアは、お客の服から財布を抜き取り、男に追われた。

デビットはスパルタン号に逃げ込んできたシルビアを咄嗟に匿う。

デビットは仮病を使い早めに店じまいさせ、トーマスに内緒でシルビアを自宅まで連れていった。

 

シルビアを自宅に招いた二人は、あの手この手でシルビアに取り入ろうとする。

しかしシルビアに見透かされ、二人は諦め何事もなく寝入った

 

翌朝二人が目覚めた時、全財産をシルビアに持ち逃げされた。

挙句にシルビアは、隣人の車を盗み逃走した。

 

シルビアは逃走中、偶然にモビーが運転する車に接触。

接触した際、シルビアはモビーの財布も抜き取り、おまけに盗んだ車の中にあった所有者の名刺を渡し、その場を逃走した。

 

後日、トーマスとデビットは、モビーから此れ迄の経緯を聞く。

その結果、どうやら金を持ち逃げした女性が、モビーが依頼を受けた女性と同一人物である事が判明する。

 

シルビアの母親は、嘗て有名な大金持ちの屋敷で女中をしていた。

或る日、伯爵に手籠めにされ、シルビアを身籠った。夫人のその事がバレ、屋敷を追い出された過去があった。

 

先日、伯爵が亡くなった。

伯爵は亡くなる寸前、シルビア親子に莫大な資産を渡すと遺言。

しかし期日までにシルビア親子が現れなければ、莫大な資産は弟のモンデール伯爵に渡ってしまうという事情があった。

 

モビーに仕事を依頼したのは、亡くなった伯爵の執事。

一方、シルビアを突け狙う一味は、弟モンデール伯爵が差し向けた刺客と判明する。

 

事情を知った3人は、シルビア親子を死守するが、あえなくモンデール伯爵一味に捕まってしまう。

此処から決死の、3人の救出劇が始まる。

 

屋敷に忍びこんだ3人だが、一番初めにデビットが捕まった。

次にトーマスはまんまと侵入には成功するが、食事場でモンデール伯爵に見破られてしまった。

 

シルビア親子とトーマス・デビットは牢に閉じ込められようとするが、危機一髪で脱出。

ギャング達との壮絶な戦いが始まった。

 

トーマスはアメリカ人格闘家、デビッドはフランス人格闘家と対戦。互いに激闘を演じる。

この二人の格闘シーンは、まさに見所満載。

特にトーマスとアメリカ人との格闘シーンは、映画史上でも高い評価を得ている。

 

二人は苦戦の末、漸く敵を倒す。

戦いの最中、モビーも出現。目出度く悪党を退治する。

軈て事件は、無事解決する。

 

解決後、デビットはシルビアの事が忘れられず、仕事に身が入らない。

うわの空のデビットは、トーマスに窘められる有様。

 

デビットが広場を見渡せば、彼方からシルビアが突如現れる。

以前は貧乏人の子であった故、二人はシルビアの境遇に同情。シルビアに助力した。

 

しかし今では違う世界の人間となり、二人は諦めていた。

そのシルビアが、又二人の許に戻ってきた。二人は諸手を広げ、シルビアを迎えた。

 

物語はここで幕を閉じる。

或る意味、現代のシンデレラ・ストーリーかもしれない。 

 

見所

 

やはり劇中のジャッキー・チェン、ユン・ピョウのアクション、体形に反し素早い動きをするサモ・ハン・キンポーの演技が見物。

香港映画だが、撮影場所がスペインのバルセロナである事が特徴。

 

ヒロインのシルビア役「ローラ・フォンネル」は、1980年度のミス・スペイン。

本当に綺麗だった。

 

ローラは後の1986年作、ジャッキーの映画『サンダーアーム』にも出演している。

おそらくジャッキーが出演する映画で中国系以外のヒロインが抜擢されたのは、おそらくローラが初めてでなはなかろうか。

 

アントニオ・ガウディ設計「サグラダ・ファミリア」が劇中で登場するのが、バルセロナで撮影された証明。

撮影時に所々に映る街並みが、とても奇麗。

 

ジャッキーが街の広場で軽食屋を営業する際、広場で軽快にスケボーをするシーンが面白い。

足捌きが、鮮やか。昔よく真似したもの。

 

ジャッキー、サモ、ユン、ローラの4人が、スパルタン号で追っ手から逃げる際のカースタントが見物。

 

トーマスとデビットが精神病院を訪れた際、患者として登場する二人は、他の香港映画でも登場する毎度お馴染みの、「リチャード・ン」「ジョン・シャム」

「口ひげ」と「もじゃもじゃ頭」が特徴。

『五福星』『七福星』にも出演している。

 

ジャッキーが敵の城に乗り込み、アメリカ人格闘家と戦うシーンが最大の見所。

敵を演じる人物は、有名な格闘技チャンピオン「ベニー・ユキーデ」。劇中での格闘シーンは、今でも評価が高い。

 

ベニーは同じサムが監督の作品、1988年作『サイクロンZ』にも出演している。

尚ベニーの父は、スペイン系アメリカ人。映画出演は、その事も影響したかもしれない。

 

劇中最後に登場するモンデール伯爵役の「ペペ・サンチョ」は、スペインでは有名な俳優。

劇中にてフェンシングを披露するが、本当に腕前も凄いとの事。

 

劇中最後に「ジャッキー・サモ・ユン」がフェンシングの剣をもち、三銃士の恰好をするの有名。

当時の映画宣伝のサムネイルでは、必ず此のシーンが使われた。

 

追記

 

毎度お馴染み、当時の香港3大スターの共演。

幼少の頃には分からなかったが、サモ・ハン・キンポーが監督の際、大概ジャッキー・チェン、ユン・ピョウと共演している。

 

ジャッキーが監督の時、ジャッキーがほぼ一人で主演を務めている。

昔は違いが分からなかった。只ジャッキーが出演しているだけで、見ていた様な気がする。

 

子供の頃、ジャッキー主演映画が単純明快で面白かった。

だが大人になり見直せば、サモ・ハン・キンポーの監督映画の方が脚本的に優れているのではないかと思われた。

 

昔ガンダムアニメが子供の受けせず、低視聴率で終了。

再放送で内容が見直され、爆発的にヒットしたのと同じ。

サム・ハン・キンポーの映画の方が、今にして思えば味わい深い。

 

ジャッキー映画に登場する車メーカーは、「三菱自動車」が多い。

今回のスパルタン号も然り。

他の作品『キャノンボール2』『大福星』でも、三菱の車が使われた。

 

(文中敬称略)

 

参考:ジャッキー・チェンの新天地 『香港国際警察』

  :アクション満載 ジャッキーチェン監督・主演『プロジェクトA』

  :少年時代、皆が真似た映画 ジャッキー・チェン『蛇拳』