度々、俎上に挙げた年金問題。改正ならぬ改悪は続く

度々、ブログで述べてきた年金問題。政府の検討は益々、改正ならぬ改悪。

マスコミは何故、改正という言葉を使うのか、魔訶不思議。

お互い持ちつ、持たれつ。一連托生なのか。

今回、年金問題に付随した問題で2点程、述べたいと思う。

 

先日の政府検討案

度々、当ブログにて年金問題に触れてきた。

やはりと言うべきか、凡そ予測していた事とが政府の検討案で浮上してきた故、紹介したい。

 

それは「国民年金と厚生年金」の合併。

一瞬、言葉だけ述べても瞬時に理解するのは困難かもしれない。

至極簡単に述べれば、今迄バラバラに運営していた年金だが、各年金の積立金が足りなくなった(将来的にも)為、不足分を補うために統合しようという話。

 

かなり回り諄い言い方をしたが、更に端的に述べれば、国民年金・厚生年金・共済(嘗て存在した公務員の年金)が存在していた。

しかし人口減・少子化による加入者減・共済の減(公務員の減)により、将来の年金制度が破綻するおそれがある為、一律全て統合。

貰える可能性がある世代は貰っておこうとう制度にしようという企み。

 

此処まで述べれば年金の知識がある方は、「成程、そうかもしれない」と思う方もいるかもしれない。

それだけ政府は態とおためぼかしで、オブラードに包んだ言い方をしている為、国民は気が付かないかもしれない。

話始めれば切りがない為、触りだけ述べたい。

 

残念だが、将来確実に目減りする年金

現在、日本で働いている人は何かしらの年金に加入していると思われる。

年金は現在大きく分けて、国民年金・厚生年金に分けられる。

この度、政府が出してきた案は、国民年金と厚生年金の融合。

つまり色々あった年金の、統合と言う事である。

 

何の知識もなく報道を聞けば、今迄細分化されていた年金が分かり易くなり、便利になるのではと思われがち。

しかしこれは、詳しい説明を除いて報道を聞けば、「とうとう此処まできたのか」と思う感じがする。

 

何故そこまで言い切れるのかと言えば、各々の年金は昔は独立採算で運営してきた。

処が今では、各年金の積立金が不足。将来なり立たなくなった事を意味している。

 

簡単な例を述べれば、以前公務員が加入していた共済年金なるものが存在した。

しかし共済年金は大分前に、つまり民間企業に勤めるサラリーマンが加入する厚生年金に無理やり統合した。

 

何故統合されたのかと言えば、将来共済年金に加入する人間が減り、負担する積立金が不足されると予測された為。

更に述べれば、公務員の退職した人間の年金は増えるが、年金として払うべき金額(積立金)が足りなくなる為、将来現役の公務員では賄えなくなるのは確実。

その不足分を一体、どこから捻出するのか。

 

それは「厚生年金から出させようとする算段」。

態と言葉汚く述べれば、

 

 「自分達の現役(公務員たち)が増えず現役が収める金額では足りない為、足りない分を何処から捻出しようか」 

 

と公務員たちが企んだ末、てっとり早く現役サラリーマンたちが収めている厚生年金から負担させようという目論見。

 

何故こんな馬鹿な統合が、罷り通ったのか。

それは公務員(主に官僚)と政治家が、結託した結果と断言しても過言でない。

 

此れを詳しく述べれば、紙面?が足りなくなる為(ブログが長くなる為)、割愛するが。

結局、国家公務員・地方公務員が自分の年金が目減りするのを防ぐ為、無理やり民間の厚生年金にくっつけたと理解して貰えば分り易い。

 

統合した結果、何が起こったのか。今度は厚生年金の積立金が不足してきたと言う事。

此れも至極、当然の結果。

 

何故なら企業はバブル経済崩壊後、何をしてきたのか。

新規採用の中止・抑制。人件費削減為、正社員を抑制、非正社員、パート・アルバイトの積極的導入だった。

 

更に政府も非正社員の奨励とも思える政策を、積極的に行った。

その結果は火をみるより明らか。正社員でない人間は厚生年金など払う必要はないし、払う余裕もない。

 

企業・労働者からの厚生年金の積立てが、目減りするのは当たり前。

その結果が過去のブログに何度も述べた様に、各年金の積立金不足であった。

 

今度は不足分を補う為、政府が以前から企んでいた政策は、非正社員による厚生年金の加入により、一時的に年金不足を補う案。

これも過去何度も述べているが、厚生年金対象のぎりぎりで働いている人間にとり、何もメリットのない政策。

 

いつも使う言葉だが、

「改正ならぬ、改悪」

と言える。

 

今迄の年金政策の失策を、只単に加入者の人数を増やす事で、積立金を増やそうという杜撰且つ、安易な考え。

これは今迄の年金政策の愚行を、再び繰り返すに過ぎない。

つまり、今迄行ってきた年金制度の改革の失敗・問題の先送りを、又新たに繰り返しているに過ぎない。

 

問題の本質を変えず、ただ単に問題を将来に先送り。

過去と同じく失敗のツケを将来の子供に押し付けているに過ぎない。

 

各年金の積立金が将来不足する為、今度は厚生年金と国民年金を統合しようとする有様。

結論から述べるが、此れも共済・厚生年金が合併した時と同様、足りなくなると予測された際、

「とりあえず一時凌ぎで合併しましょう」

と宣言しているに等しい。

 

そう遠くない将来、積立金が不足するのは確実に予測される。

何故誰でも分る愚行を、敢えて繰り返すのか。

何度も述べているが、実は皆年金は破綻するのが薄々気が付いている。

 

気付いているが誰も、言い出せない。

口すれば、それが現実となり(言霊)、口にした人間が悪者にされてしまう為。

ややもすれば、「お前が責任をとれ」、それでなければ「お前が改革しろ」と云われかねない為、皆が黙っている。

 

分っているが誰も口にしない。

それならば、貰える資格がある人間は貰えるだけ貰い、積立金がなくなれば、後の世代は「ゴメンナサイ」で済ませるのではないかと思われる。

それだけ既に各年金制度は、破綻寸前と言える。

 

団塊世代の優遇と、その二世たちの不遇

これもよく言われるが、俗に云う団塊世代は日本の繁栄と供に生き、繁栄の恵みを享受できた。

しかし逆に団塊二世は、もろにバブル経済崩壊の煽りを受け、丁度就職氷河期に当たってしまった。

親が受けた恵みのツケをもろに被った。

 

現在少子化と言われて久しいが、実はこの団塊二世の世代が正社員として就職。

其の後家庭を持ち、子供を最低2人以上持っていれば、少子化問題はほぼ解消されていた。

 

過去に何度も述べた「失われた世代」「見捨てられた世代」「損した世代」「損し続ける世代」「割を喰った世代」

実は年金問題も此の世代が躓かなければ、解消されていた。

 

此の世代が正社員として働き各年金を収め、子供も2人もてば、従来の政府・官僚が描いていた日本の将来像が確約されていた可能性が高い。

この世代の空白期間が後々まで響き、現在に至っている。

 

現象というものは、その時点では分からないが、後になり徐々に影響を与えるもの。

悪い事象であれば、ボディーブローの様にジワジワ且つ、確実に影響を及ぼす。

 

此の事象は、実はバブル経済が崩壊する前から既に指摘されていた。

指摘されていたが、時はバブル経済の真っ只中。人間は絶頂の時、よもや最低の状況など考えもしない。

世の中の状況が少しずつ変わり始めているが気付かず、最悪の状態になり、初めて気付き慌てふためいた状況だった。

 

結局、政府が今頃になり慌てふためいて年金制度の改革(改悪)を実行しているのは、今迄の自らの過失を何も反省せず、只失敗覆い隠し、再びツケを国民に気付かずに回そうとしているに過ぎない。

 

過去の参考ブログ:改正どころか改悪 厚生年金の適用拡大議論

 

もう一つの政府の遅すぎた改革

国民年金と厚生年金の統合を同じく、今更とも言うべき、もう一つの政府の遅すぎた改革案を紹介したい。

此れも何度も述べているが、前述した就職氷河期であぶれてしまった世代を、政府予算(税金)で救済しようという案。

 

結論から述べるが、

「時既に遅し。時間は戻ってこない。今更の感」

と述べたい。

述べたいと書いたのは、以前も書いたが、実は私が丁度その世代に当たる為。

当に「当事者」。

 

過ぎた時間は戻ってこない。

歳をとり自分の人生をふと振り返った時、自分の人生のある時期に於いて必ずしてこなければならなかった人間の通過儀礼があった。

 

今の時代、差別・偏見と非難されるかもしれないが、やはり確実に結婚・出産・子育てなどは、年齢に限界がある。

限界とは人間の年齢で、「此処迄は可能だが、これ以上は年齢的にかなり難しい」という意味。

正直な話、結婚は死ぬまでなら、何時・何回も可能。

 

しかし「出産・子育て」は、年齢的にかなり限界がある。

近年晩婚化が進み、高齢出産が増加する傾向が強いが、出産もやはり40歳を越えれば、身体・精神的負担が相当なものと思われる。

 

最近よく見聞きする「高齢出産による、老後の自己破産」の問題。

高齢出産したが故、子育てに追われ夫婦の老後の蓄えがない問題である。

 

これは説明するまでもないと思う。おのずとその様な結果が、導かれると予測がつく。

更に今日、大企業において40歳以上のリストラ・セミリタイアが囁かれている時代。

 

昔は40代は「働き盛り」と言われていたが、今では人生の転換期となる時代。

終身雇用・定期昇給など、過去の遺物となってしまった。

 

これも過去何度も述べていた為、今回は掻い摘んで説明するが、

政府は令和2年度の厚生労働省の予算にて、バブル崩壊後の不況期に就職難だった就職氷河期世代への支援に前年度当初予算比23・3%増の603億円を盛り込んだ。

との事。

 

総務省の労働力調査によれば、30代半ば~40代半ばの就職氷河期世代の人口は約1689万人(平成30年現在)。

 

このうち、フリーターなどは約52万人、他の派遣社員や契約社員ら非正規で働く人は約317万人に上る。

この世代の収入が不安定なまま高齢化すると、生活保護受給世帯の増加など社会保障費の膨張を招くおそれがあると指摘している。

 

政府発表をみれば、1つ重要な点が抜けているというのか、意図的に隠されている部分がある。

此れも何度も指摘しているが、就職氷河期の世代は、45歳~49歳の世代が最も多いという事。

 

以前も指摘したが、同じく総務省統計局の人口世代分布表では、2019年1月の時点で「団塊二世」と云われる40~44歳で約884万人、45~49歳で約973万人と一番多い世代。

 

進学で1、2年失敗したとして新卒と考えれば、51歳は49歳も対象者と言える。

つまり、第1次就職氷河期が1993年から始まった事を考えれば、この世代も対象。

 

この世代が一番、割を喰った世代。進学・就職・年金においても。

進学は今と違い同世代で4人に1人しか進学できず、就職も丁度氷河期が始まる。

年金も受給資格の25年納めた後、政府は取っぱくれが無くなったと思い、受給資格を10年に短縮させられた世代。

 

つまり「40歳前半~半ばの世代は救済するが、それ以前の氷河時代の世代の人間は、見捨てますよ」と政府が宣言しているに等しい。

これが政府・役人側の姑息な処と言える。更に

 

全国のハローワークに専門の窓口を設置。専門の担当者がチームを組み、就職相談から職業紹介、職場に定着するまで一貫してサポートする「伴走型支援」を行う。

 

此れも既に何度も述べた。

役人は所詮、国民の為と名うち乍、実は自分の省の利権拡大・予算・人員確保をしているに過ぎない。

自分達の仕事を増やし、働き口を確保。如何にも仕事をしている振りをしているに過ぎない。

此れは、映画紹介で黒澤明作品『生きる』でも説明した通り。

役所の考え・構造は戦前・戦後、全く変化していないのが分かる事例。

 

追加で

政府は、高年齢者雇用安定法では希望者全員を65歳まで雇用するよう義務づけているが、これを超えても雇用するための環境を整備したり、高齢者に配慮した安全確保などの対策を行う企業への助成金を創設する。

 

此れも就職支援の為との名目で、似たような政策が過去にいくつも存在した。

悪い例だが、その制度を悪用、助成金を騙しとった企業がいくつも存在した。

羊頭狗肉という諺があるが、まさにその通りだと思う。

看板を付け替えただけで、中身は全く変わらないのではないかと思われる。

 

結論

以上の2点について言及したが、此れは過去のブログで何度も述べていた話を繰り返したに過ぎない。

だから今回、簡単に触りと結果だけを述べた。

 

おそらく今回言及した政策も、失敗すると予測する。

何故なら、過去の政策の焼き増しと、問題の根本的解決の先送りに過ぎない為。

私のブログも過去のブログを、付け合わせたに過ぎない。

 

年金問題がいつも解決しない理由は、上の世代になれば成程、年金の恩恵を被っている為、自分たちの将来の子孫の事など、全く念頭にない、想像できないからと思われる。

つまり

 

「後になれば成程、損する仕組み」

 

と言えば、的確かもしれない。

例えていうならば、濃縮ジュースの様なものであろうか。後になれば成程、問題が大きくなると言う事。

その為、上の世代ほど年金のありがたみ(掛け金の割に、得した世代)を知っている為、将来の年金像が全く描けないのだと思われる。

 

一般家庭の御家騒動を思い浮かべれば、分かり易い。

お家騒動は、大概前世代のツケである事が多い。

前世代のツケを、次の世代で解決しなければ、その次の世代に引き継がれる。

それで解決しない場合、又その次の世代と受け継がれ、状況は益々悪化する。当に此れと同じ。

 

最後に興味ある事実を述べて、締めくくりたいと思う。

私が現在住んでいる、地方の田舎の町の話。

先日、町の役所から配布された広報に目を通した。

その広報の中で気のなる点があった為、紹介したい。

 

それは私が現住している、田舎町の町役場の職員の年間給与の項目。

あまり詳しく書き込めば、特定されるおそれがある為、細かい数字を省き、大まかな数字のみを記載したい。

 

・職員の人数   約180人

・給与      約323万円(一人あたりの年間平均)

・職員手当    約 65万円(一人あたりの年間平均)

・期末勤勉手当  約125万円(一人あたりの年間平均)

・一人平均額   約513万円(一人あたりの年間平均)

 

此れを見た方は、どう判断されるだろうか。参考にして頂ければ幸いです。

特に職員手当、期末勤勉手当に注目して頂きたい。

 

1ヶ月単位で計算すれば、凡そ15.8万円の計算。

更に無事定年退職を迎えれば、普通の退職金に上乗せで、勤続年数に応じボーナスが加算される仕組み。

勿論、退職後の年金も莫大。当に「役人天国」と言える。

 

敢えて言わせて頂くが、地方の地方自治体の就職には、かなり問題がある。

決して当事者たちは口にしないが、採用におけるダークな部分。

かなり疑問と思われる採用例が見られる。

今回はこのテーマがメインでない為、省くが機会があれば言及したい。

 

昔の中国王朝で「宋」と言う国が存在した。

宋はご存じの通り、科挙を積極的に採用。制度化した王朝で有名。

 

其の後の中国王朝は、科挙制度を採用・慣習化させた。

科挙制度はその後、最後の王朝「清朝」まで引き継がれた。現在の中国では、廃止されている。

 

中国の科挙制度を、そのまま導入したのが現在日本の国家試験1種(上級国家公務員)と言われる試験制度。これが現在の科挙とも言える。

地方公務員も似た類と思われる。とくに県庁あたり。

 

積極的に科挙制度を採り入れ、文治政治を奨励した宋は、其の後どうなったのか。

科挙の結果、役人が増え過ぎ、役人過剰になってしまった。

過剰の為、科挙に合格しても正式な役人になる迄、何年も待たなくてはならなくなった。

 

その様な社会情勢下での文官優遇の末、宋は国家の防衛の「武」の部門を疎かにした。

当然、武官たちの不平・不満を招き、挙句に異民族の侵略を招く結果となった。

 

宋王朝が動揺、改革の為「王安石」が登場した。

王安石は政治改革を目指したが、同じ文官に足を引っ張られ失脚。王安石の改革は頓挫した。

王安石が登場した頃には、既に国はガタガタであり、王安石が改革を進めても間に合わなかったかもしれない。

 

王安石失脚後、ますます国政は悪化。

宋はとうとう都(開封)を支えきれなくなり、江南に臨安に都を移さざるを得なかった。

しかし度々の異民族の侵攻に耐え切れず、とうとう国が滅びてしまった。

此れも過去の映画紹介ブログ『敦煌』の際、軽く言及している。

 

何故役人の話をくどくどしたのかと言えば、とどのつまり、年金も雇用も全て役人・政治家の失策と言う事。

宋を例に挙げたが、現在の日本の状況が全く酷似している。

決して異民族の進出に対し、国防を強化せよと主張している訳ではない。

現代では直接統治ではなく、自覚はないが、間接統治を許容している事例も多々見られる。

政治にせよ、経済にせよ。

 

年金制度の改革(改悪)は、数ある問題の中の一つに過ぎないと述べておきたい。

その一つすら解決できない現在の日本。

 

現状では「官」のみが栄え、徐々に「民」が疲弊しているように見えてならない。

いつも年金に言及するのは、これが現在の日本を理解するのに一番分かり易く、身近な出来事である為。

そして年金問題が今日本が抱えている問題の全てが、凝縮されている。

 

因みに宋と言う国は、その後どうなったのか。

最後は様々な異民族の侵略にあい、国が滅び各異民族に国土が分断された。

其の後モンゴル平原から出現した『チンギスハン』の軍により、各異民族が滅亡・服属させられた。

 

チンギスハンは元宋の領土と、その周辺の地域を平定。

孫のフビライの時代、国をヨーロッパ近くにまで拡大。都を現在の北京に定め、国号を『元』と名付けた。

 

これは中国史で、初めての異民族による国家支配であった。

くれぐれも日本は、過去の宋王朝の轍を踏まない事を祈りたい。

 

(文中敬称略)