国・企業が推進するキャッシュレス化、本当に消費者の為?

最近、大手コンビニが新たな会社独自の決済を導入。導入後すぐに不正が発覚。

その後、導入して僅か3ヵ月で決済を中止すると発表。

 

他国より遅れていると言われる、日本のキャッシュレス化。

そもそもキャッシュレス化は利用する側にとり、本当に便利なのだろうか。

 

国も来年のオリンピックを機として、キャッシュレス化を推進しているが。

今回は、キャッシュレス化について述べたい。

 

キャッシュレス化の意義

 

キャッシュレス化推進の建前は、「現金を持たず、精算を素早く済ませる事が可能」との事。

確かに多くの現金を持ち歩くより、便利で安全かもしれない。

 

一見、利用者にとり便利なサービスと言えるだろう。

欧米では現金は言葉は悪いが、「低所得者が使う決済手段」と認識され、敬遠されている。

欧米では、現金よりもクレジットカードが主に利用されている。

海外旅行をする際、クレジットカードがなければ、不便かもしれない。

 

近年、日本より経済発展が遅れているとされていた国々も今では日本より、キャッシュレス化が進んでいる。

 

何故なら、初めは現金決算だったが経済発展が進むにつれ、何もなかった為、途中の過程を踏まず、一挙に導入する事ができた。

途中の過程を省いた為、混乱が少なかったと言える。

例を挙げれば、中国、インドなどは経済発展に伴い、日本よりキャッシュレス化が進んでいる。

 

一見、消費者に便利と思われるキャッシュレス化であるが、実は個人消費者よりも企業・国にとり、大変便利である事に気付く。

詳しくは、次に述べたい。

 

キャッシュレス化が企業・国に便利な訳

 

キャッシュレス化が一見、消費者にとり便利と思われているが、実は企業・国にとり、大変便利な手段となっている。

結論を先に述べれば、時間・労力・金の手間が省ける為。

 

時間・労力・金の手間が省ければ、当然その業務に係っていた人員は要らなくなると言う事。

つまり人員削減にも繋がる。

 

簡単な例を挙げれば、銀行業等がまさに適切かもしれない。

銀行業の仕組みを考えれば、自ずとキャッシュレス化が理解できる。

 

銀行業とは。

簡単に述べれば、個人・企業にお金を融資して、融資の元金と利子を貰い、利益を得て成り立つ業務。

 

銀行側は融資となり、融資を受けた側は借金となる。

銀行側の融資は、そのまま銀行の利益となる。

 

つまり他人の借金は、銀行の利益。これの繰り返し。

帳場上では、銀行の他人への融資は、銀行への利益となる。

 

銀行も少ない融資では、経営がなり立たない。その為、多くに貸出、元本と利子を受け取る。

此れを永遠に繰り返す事で、小さい資本が、徐々に大きく膨らむという計算。

 

言葉では分かり難いかもしれないが、雪だるまを想像してもらえれば、分かり易い。

最初は手の平で小さく握った雪玉だが、雪の上で転がしていく中に、だんだん大きくなっていくことを想像すれば分かり易い。

あれと同じ。

最初に小さかったものが、転がしていく中に、知らぬ間に大きくなる仕組み。

 

詳細は省くが、最初は小さくても大きくなるにつれ、段々楽になっていく。

これは本当の話。複利の法則とも言われている。

 

有名な物理学者アイン・シュタインが述べたが、 「複利は人類の最大の発明」 と云われる所以。

 

元手を一度大きくしてしまえば、あとは放っておいても、勝手に大きくなるというシステム。

 

それがどうしてキャッシュレス化に関係するのかと云えば、業務の規模が大きくなれば、必然的に大量のお金を必要とする。

 

大量のお金が必要であれば、現金化にも莫大な時間・労力、更に現金を移動・保管する為の物理的・空間的なものが必要。

 

その煩わしさを解消する為、キャッシュレス化が必要と言う訳。

 

企業間の取引を考えれば、分かり易い。

まだ存在しているかもしれないが、現在では現金取引はかなり少なくなった。

大概、取引は銀行間で行う。

 

つまり銀行間の取引であれば、互いの帳場上のやりとりで済む。

昔で云えば帳場上での数字のやりとりをすれば、事足りる。

 

今では電子上の帳場で、コンピューターが数字を書き換えをすれば事足りる。

然程、時間はかからない。

これが時間と労力の短縮と云う意味。

 

よって瞬時に、多額で大量の取引が大量の現金を必要とせず行う事が可能。

昔と違い、人が紙の帳場と書類を照らし合わせ、作業を行うのとは時間・手間が明らかに違う。

 

今流行りのAI(アルゴシステム)で行えば、殆ど間違いなく、一瞬に大量の事務処理が行える。

これが銀行の狙い。企業間の取引を個人に当て嵌めれば良いだけ。

旧来の紙の通帳でなく、電子上の通帳があれば済む。

銀行側の煩わしい手間が省けるという仕組み。

 

更に人間、実物の現金で取引する訳ではない為、実感が湧かず取引を行う傾向がある。

架空上の取引といった感覚であろうか。此れはネット上での買い物でも同じ。

以前の様に店に出向き、現金を渡し買い物をしていた時の感覚とは異なる。

 

キャッシュレス化は銀行にとり大変メリットがあるが、店側にも大変なメリットがある。

それはお客さんの囲い込みと、お客様個人の買い物データが蓄積が可能となる。

 

囲い込みという点では、店各自に設けているポイントサービスも同じ。

ポイントの場合、店側は数々のカードを発券していたが、キャッシュレス化を良い機会と捉え、ポイントの一元化を図ろうとするのが狙い。

カードの場合、発券の手間・紛失のおそれがあり、更に他社との提携の際の切り替えなどの作業に時間・労力・費用がかかった。

その作業を省く目的もあろう。

 

最近しばし耳にする、ビックデーターの利用と云う言葉。ネットでは既に採用済み。

ネットを利用していれば、自分の過去の利用実績・閲覧歴などにより、自分の興味がある広告が掲載される。

今流行りのブログ・You Tubeの稼ぎ方は、これを利用したもの。

よってキャッシュレス化は銀行・店側にとり、願ったり叶ったりと言える。

 

国もキャッシュレス化を推進

 

銀行・店側にもメリットがあるが、国にもメリットがある。

当然国は経済状況を見定め、通貨を管理している(管理通貨制度)。

 

今迄は経済状態に照らしあわせ、紙幣・通貨を発券・発行しなければならなかった。

紙・硬貨である為、原料調達・製造過程等に大変、手間・時間がかかった。

 

しかし電子上でのお金のやり取りであれば、紙幣・硬貨など発券しなくてよい。

電子上で日銀(日本銀行)が管理すれば良い。電子上であれば、管理し易い。

 

国は来年のオリンピックの訪日外国人の増加・国際化の名目で、キャッシュレス化を推進している。

キャッシュレス化を進める企業などに、補助金などを付けている。

此れは、ひとつの利権とも言える。

キャッシュレス化推進で潤う業界も存在する。一種の特需とも言える。

 

国と企業は、キャッシュレス化を奨励する事で互いにメリットがあり、国が率先して進めている理由がこれに該当する。

国際化という名の下、日本人は遅れているという言葉を用い、日本人の引け目を巧みに利用しているとも云える。

 

果たしてキャッシュレス化が利用者にとり、良いのか悪いのかは別として。

利用者の観点でみれば、果たして便利であるのか甚だ疑問。

利用者の利便性を謳っていても、決してそうとは言えない箇所がある。

次に理由を述べたい。

 

利用者側の観点から

 

利用者の立場から述べれば、確かに便利であるかもしれないが、買い物の選択肢の幅が狭まる事であろうか。

つまり店独自の決済システムの為、その店でしか買い物できなくなる事。

 

前述でポイントの話をした際、ポイントの目的は、お客さんの囲い込みと述べた。

逆に言えば、お客様の選択肢が狭まるという事。

ポイントを持てば、ポイントはその店でしか使えない。

又ポイントを貯める為、つい同じ店にいってしまう可能性がある。

 

現在自分が所有しているポイントを考えれば、納得できると思う。

店側としては、無意識にお客さんが通い始める事を狙いとしている。

 

もしお客さんがあまり現金を持ちたくなければ、従来から存在するクレジットカードを使えば、事足りる。

クレジットカードにもポイント制度があり、カードにポイントが貯まる筈。

 

しかしクレジットカードにポイントが貯まったとしても、店側としてはあまりメリットはない。

逆に、カード会社に手数料を払う羽目になる。

カード会社は店からの手数料の一部を割き、利用者にポイントとして還元する。

 

従って、カード会社に支払う手数料を少なくしたいのであれば、いっそうの事、自分達のグループ内でカード会社に似た組織をつくれば、相互間でのお金のやりとり可能となる。

グループ独自の決済手段をつくれば、自由で安全、且つ円滑なお金の循環システムができるという仕組み。

できるだけ外部にお金を出さない為、売上も安定、ある程度の予測と融通が利く。

 

因って、各会社がこぞって独自決算システムを採用するのはこの為。

他の会社の電子ーマネーも同じ仕組み。

大概、電子マネーを扱う会社は、その会社の子会社か孫会社などの同列会社。

 

もし一から独自キャッシュレス決済のシステムの開発・利用には、莫大な資金と開発の為の手間・時間がかかる。

独自で開発できない企業は、大きな会社の提携という方法で、他社の決済システムを採用する。

勿論、手数料を払うかたちとはなるが、一から作り上げるより、かなりコストダウンが可能。

 

利用者の立場としては、キャッシュレス決済を利用する場所が増え、メリットがあるようにも思えるが、あまり必要ない店も存在する。

例えば、ある地区限定で存在している店舗などは、店がない地区ではあまりメリットがない。

大都市で暫し利用される交通系電子マネーは、地方では利用できない箇所もある。

 

更にいろいろな業務提携・解消が早い為、全ての電子マネー・決済でのポイント、利用できる種類の分別がつかない場合もある。

全てを把握できない為、反って精算の際、時間が掛かる場合もある。

 

余談だが、今流行りの自動レジ等も、反って時間がかかる場合がある。

何故なら、「自動レジは100%で、お客さんがレジ操作を把握している」前提の下で導入されている為。

レジ操作が不十分、レジの誤操作、取消し操作などを理解していなければ、忽ち自動レジでも混乱が生じ、反って時間がかかる。

セルフも良いが、独自決済も反ってお客さん任せになり、お客さんが混乱してしまう可能性もある。

 

将来的に無人レジ・無人の店の方向に向かうであろうが、まだまだ時間がかかると言える。

更に問題点を挙げれば、やはりセキュリティーの面。不正アクセス、情報の漏洩であろうか。

 

独自決済で重要なセキュリティー

 

セキュリティーの問題は今後、全ての面で重要と思われる。

現に冒頭の某大手コンビニは、独自のキャッシュレス決済を導入した直後、不正利用が発覚。

採用から僅か3ヵ月で、中止する羽目になった。

 

今日のネット関連の不正は、既に国際的規模の犯罪となっている。日本国内の問題ではない。

不正アクセスは大概国内ではなく、海外からの不正と言っても過言でない。

それはシステム自身が国際化されている為。追跡もなかなか困難を極める。

また不正先を突き止めても、不正先の国が協力してくれるかは別問題。

対応してくれなければ、それっきりの可能性もあり得る。

 

私自身、ブログを書き始めて約5ヶ月目になるが、既に海外からのスパムらしきアクセスが増えているのが現実。

閲覧の離脱率が高い国は、ほぼ不正アクセスと言える。

もし個人が不正アクセルの被害に遭えば、ほぼ追跡不可能。

 

結局、決済を採用している企業に異議申し立てをして、意義が認められれば、還元してくれるであろうが、異議申し立てができなければ、失ったポイント等は返ってこない可能性もある。

 

クレジットカードと独自決済の違い

 

次にクレジットカードと独自決済の違いを述べたい。

簡潔に述べれば、クレジットカードの場合、利用後、明細が届き、利用状況を確認できる。

もし不正利用があれば、すぐさまカード会社に連絡し、支払いを停止する事が可能。

 

しかし独自決済であれば、其の場で決済されてしまい、不正利用されても気遣いないおそれがある。

仮令気付いたとしても、前述したが一度全額払ってしまっている為、払い戻しの申請をしなければならない。

申請後の審査で不正が認められれば、漸く戻ってくる仕組み。

しかし多少のタイムラグが生じる。此れはデビットカードも同じ。

 

知人の話だが、海外でデビットカードで支払いをしてトラブルになり、なかなか戻ってこなかった事例もあった。

知人の話では、海外でタクシーに乗り、支払いの際、支払い額の桁が一つ多く(最後のゼロが多かったらしい)、デビットカードで過剰な支払いをした。

デビットカードの為、その場で全額支払った事になり、タクシー会社に異議申し立てをして、異議が認められた後、自分の口座にタクシー会社からお金が振り込まれる仕組み。

 

知人は翌日、次の目的地に行かなければならなかった為、タクシー会社との交渉を現地ガイドに任せた模様。

しかし現地ガイドからなかなか連絡がなく、日本に帰り一ヶ月が経ち、漸く連絡がきた。

連絡がきても現地ガイドが、のらりくらりして話が進まず、知人は埒があかないと思い、その国の日本の大使館に連絡した。

 

大使館に連絡後、二ヶ月後に漸く返金された。

タクシー会社とガイドが、グルだったのかは分からないが、手間と時間を要したのは間違いない。

 

結局、何が言いたいかと云えば、やはり一括支払いのキャッシュレス決済は、何気に危ないと言える。

特に海外になればなるほど。

その為、リスクの分散が必要と思われる。

 

例えば天変地異で停電の場合、キャッシュレス化では、決済がほぼ不可能。

此れはクレジット、デビットカード、各電子マネーでも同じ。

そんな状況下では、やはり現金が必要。

 

独自決済の利点

 

こうして考えれば、独自決済とは、ある特定の経済圏(通貨圏)で使える通貨と言える。

つまり自分達が利用する独自通貨を認め、自分達の経済圏のみで利用できるものと定義できるかもしれない。

 

それは疑似通貨を発券した 企業の信頼と保障が絶対条件と思われる。 

 

日本銀行が発券した現金を基本として、ある企業が保障し、発券した通貨と交換できるといった方が理解し易いかもしれない。

日本銀行が発券する現金を、企業が保障するチップと交換すると言えば良いだろうか。

 

この仕組みを利用したものが、2017年頃持て囃されていた 仮想通貨 

 

仮想通貨は私的な組織が価値を保障、仮想通貨を発券・管理する仕組み。

更にそれぞれの仮想通貨には付加価値があり、価値があると思えば、仮想通貨自体の値段が上がるという仕組み。

今回はあくまで独自決済の為、詳しい仮想通貨の話は機会があれば、改めて話をしたい。

 

何故、仮想通貨の話をしたのかと云えば、つまり貨幣とは日銀が価値を保障する事で、初めて成り立つ代物。

もし日銀が保障しなければ、紙幣は只の紙屑に過ぎない。

通貨とは「国の信用と国力そのもの」であると言う事。

 

つまり企業が現金以外の決済方法を持つ事は、企業独自の経済圏を持つと言う事。

繰り返すが、自分達のグループ内での金のやり取りと、お客さんの囲い込みをして自分達の経済圏を作るのが目的。

 

しかし、これが決してお客さんにとり、将来的に良い方向に向かうとは限らない。

何故なら、いち企業独自の決算手段である為、

将来的に企業が決済手段を放棄すれば、それまで
になってしまう。

集めたポイント等も、何時無効になるか分からない。

 

更にポイントの還元率(利回り)が、何時変更になるか分からない。

現にいろいろな企業でポイン制導入によるお客さんの囲い込みがあるが、必ずある時を境にポイント還元率が悪くなる。

殆どが、この流れ。

 

よって還元率が悪くなり私自身、利用しなくなった店、破棄したポイントカードなども多々ある。

どの企業もいつ変化するのか、予測不可能。

大方企業側が、これ以上囲い込み不可能と判断した際、ポイントの改悪が行われるのが通例。

 

この様に色々な角度から眺めれば、企業・国が進めるキャッシュレス化は、決して安全で便利とは言い難い。

言葉巧みに訴えているが、決して消費者の為ではない。

その事を頭に入れ、各企業のキャッシュレス化を見つめなけらばならないと思う。

 

確実に云える事は、決して焦る必要はなく、本当に自分が必要と思うサービスのみを選択、利用すれば良いと云う事かもしれない。

 

(文中敬称略)