この度、世間を震撼させる事件が起きた。選挙期間中、起きた安倍元総理暗殺事件である。

まだ発生して詳細は分からないが、自分なりの意見を述べたい。

令和４年７月８日、奈良にて

参議院選挙投票日の二日前の令和４年７月８日、安倍元総理は候補者演説の為、急遽奈良入り。

午前１１時３０頃、奈良県奈良市近鉄大和西大寺駅にて応援演説中、銃弾を浴び、そのまま意識を失い、午後５時３分頃、正式に死亡が確認された。

容疑者はその場で複数の警察官に取り押さえられ、現行犯逮捕された。

容疑者と見られる人物は今の処、年齢４１才、奈良市在住の男（名前は敢えて伏せておきます）と判明した。

犯人像は

各報道を収集・分析した処、容疑者の犯行に及んだ動機は、

「母が某宗教団体に関与。多大な寄付をしたことにより家庭崩壊。家庭崩壊に至った宗教団体を恨み、関わりが深いと思われる安倍元総理を狙った」

との事。

私は安倍元総理が襲撃された一報を聞いた際、犯人の政治的思想、背後関係を真っ先に疑った。

しかし初期段階で捜査関係者・マスコミ等は、政治的思想・背後関係を否定。

敢えて個人な怨恨による犯行説に落とし込めようとしているのではないかとすら思われた。

だが、其の後の報道を見聞きする中、私もどうやら深い背後関係などはなく、単なる個人的な恨みつらみによる犯行が濃厚のように思われた。

理由としては、犯行映像、個人の履歴、表情をみる限り、何か深い背後が全く浮かび上がってこ来ない為。

此れは単なる個人的な感情だが、何か容疑者に深みが感じられないのである。

過去の日本のテロリストを振り返れば、何か政治的な主義主張が強く感じられた。

しかし、今回の容疑者を分析するにあたり、過去のテロリスト達とは異なり、何かありふれた事件（ありふれた事件というもの語弊があるが）のように思われた。

つまり政治部が扱う案件というよりも、社会部が扱う事件と云えば良いであろうか。

形式的には要人暗殺で政治テロとなったが、何か一般的な殺人事件の様な感覚にとらわれた。

それ程、いとも簡単に安倍元総理の暗殺が行われた。

問題が浮き彫りとなった今回の事件

安倍元総理が襲撃された今回の事件は、あらゆる問題を提起するに至った。

先ずは、警備の問題。

現場では、安倍元総理が登場。演説中、襲撃されるまでの一部始終の映像を視聴者が撮影していた。

映像を見るにあたり、明らかに警備に問題があった。

それは

①背後の警備が全く手薄だった事。

更には、

②一発目の銃声を聞き、安倍氏本人以下、周りのSPが危険を察知。何故、安倍氏に覆いかぶさらなかったのかと云う事。

この二点に、甚だ疑問が残った。

映像には演説する安倍氏、容疑者がハッキリと映っていた。容疑者は暫く演説を聞き入る振りをして、場所を移動。

犯行に至る為、安倍氏の背後の至近距離まで移動していた。

この時、背後を見張るSPがいれば、安倍氏に忍び寄る容疑者に気づき、確保できたと思われる。

その証拠として、容疑者がSPに取り押さえられた際、何があったのかと眺めながら、老人が自転車で後ろを通り過ぎていた。

その映像をみた際、何と警備が杜撰だったのかと思った。

二点目は、一発目の銃声が鳴り響いた時、安倍氏もそうだが、周囲のSPは何故襲撃だと感知し、安倍氏を保護する為、安倍氏に覆いかぶさる行為をしなかったのか。

一発目の銃声で映像を見る限り、安倍氏・SPも何が起こったのか分からず、亡くなった安倍氏ですら、爆音が響いた後ろを振り返っている。

其の後、二発目の銃声が鳴り響き、安倍氏は銃弾により倒れた。

この二点を検証するにあたり、明らかに今回は警備の甘さが指摘される。

確かに安倍氏が、元総理という立場もあっただろう。

警察が多くの人員を割く事を躊躇ったのかもしれない。

しかし、結果として事件は起きた。

それも日本史では一生忘れる事のない事件として、永遠に語り継がれるであろう。

まさかという認識があったのかもしれない。あの映像をみれば、そう思わざるを得ない。

テロに対する認識も薄かったのであろう。

よく言われる国全体の「平和ボケ」という事。

確かに政治家・警察、そして国民もテロに対する認識が甘かったと思う。

銃はいうまでもなく、今回の容疑者はネットで銃の情報を集め、手製で銃を作成。

手製の銃で、犯行が行われた。銃・弾丸の材料等も、ネットで検索。収集した模様。

殺傷能力のある銃を、一年かけ製作。今年の４月頃、完成させたとの事。

初めは恨みをもつ宗教団代の幹部を狙っていたが、なかなか目的を達する事ができず標的を宗教団体に係わりを持つとされる安倍氏に狙いを定めたとされている。

その安倍氏の行動も、ネットで調べたとの事。

二つに共通するものは、「ネット」。

これは考え方によれば、恐ろしい事である。

その為、一個人でも銃を製作。要人のスケジュールを知り、テロを決行できた。

以上が此れ迄知り得た上での、私なりの感想、或いは意見。

次に今回の決行に至った容疑者の当時の状況を述べたい。

犯行当時の容疑者の心理状況

結論から先に述べるが、前述したように犯行に及んだ容疑者は政治的思想・背後はあまり関係なく、社会への不満、苛立ち、将来を悲観しての犯行ではないかと推測する。

但し注意が必要だが、政治関係者、捜査関係者が敢えてそのように世論誘導をしようとしいるとすれば別だが、何か容疑者をみる限り、深いメッセージ性をいうもが感じられない。

過去、社会への不満、自らの人生と将来を悲観し、その苛立ちを他人（主に自分より弱者と思われる対象）にぶつけ、無差別事件を起こした例がいくつかある。

２００８(平成２０）年、６月８日に起きた「秋葉原通り魔事件」は有名。

犯人の男は秋葉原にて車で人を撥ね、其の後ナイフで数人を刺殺した。

今から約１４年前の事件。

犯行に至った犯人の動機は、鬱積した犯人のモヤモヤが爆発。

爆発した対象が、見ず知らずの人間であり、自分は武器を持ち、決して反抗してこないと思われる無防備な人物ばかりだった。

だいぶ月日が経ち、事件が風化。忘れている人もいるかもしれない。

しかし思い出してみれば、何か当時の犯人と今回の容疑者の人物が、何か重なってみえた。

秋葉原の犯人も今回の容疑者も、中学までは成績優秀。所謂、エリートだった。

二人は地元の進学高校に入学。

其の後、高校にて思ったほど成績が上がらず、初めて挫折というものを味わったのではなかろうか。

高校卒業後、大概進学校であれば４年生の大学に進学するのが、当たり前。

しかし、二人は違った道を歩んだ。

それは決して、 二人が高校入学当時描いていた道とは違っていたのではないか と推測する。

実は私も似たような道を歩んでいる為、少しは分かるような気がする。

やはり私が感じた事は「挫折」。

本人達も「挫折」と感じたのではなかろうか。

「今の自分は、本当の自分でない。自分の人生は、決してこんな筈じゃなかった」。

私はこの意識が鬱積。そして何年か経ち、遂に怒りが爆発した。

このような心理状況と今回の要人暗殺事件で私が思い出したのは、３年ほど前になるであろうか。

過去に紹介したベトナム戦争後、ベトナム・シンドロームに悩まされるローバート・デニーロ主演「タクシー・ドライバー」を、ふと思い出した。

以前紹介した為、詳細は省くが、あの映画もベトナムシンドロームに悩まされた青年（ロバート・デニーロ）が、屈折した毎日を過ごす。

屈折した日々にイライラが募り、遂にイライラが爆発。攻撃性が、あらぬ方向へと向かってしまう話だった。

映画の主人公は攻撃性を、次期大統領候補に向け、暗殺を計画。

準備を整え、実行へと向かう。

しかし、暗殺決行の現場でSPに見破られ、その場を逃走。

やり場のない怒りを、町のチンピラたちに向けた。

結果、本人の攻撃性は町のダニと呼ばれる連中に向けられ、本人は負傷。

運よく一命をとりとめ、其の後は一躍、町の英雄として扱われた。

何とも言えない皮肉である。

参考：ベトナム後遺症に悩まされる青年の姿を描いた『タクシー・ドライバー』

映画の話をしたが、今回の事件も要人暗殺が似ている。

更に容疑者は、何か屈折したような印象を受ける。

年齢的に４１才。もうそろそろ、人生に先が見えてきた状態。

もう先がない事は、本人が薄々感じている。

此れで自分の将来が終わるのかと思えば、何か虚しくなる。

何かをして世間に、一泡吹かせたい。自分が世間に認められたい。

その思った瞬間、容疑者は攻撃対象を著名人に向けた。

今回は偶々、安倍氏が対象になったのではなかろうか。

何か、そう思えるような犯人像だった。

繰り返すが、今回事件が発生して日も浅く、断片的な情報でしかないが、私は事件の一報を聞いた際、大変な事件が起こったと感じた。（確かに大変な事件に違いないが）

しかしよく考えれば、あまり深い背後関係はないのではないかと、勝手に想像した。

そう思うほど、容疑者の思想・背後関係が希薄に感じられた。

後に重大な事実が判明するかもしれないが、譬え重大だとしてもそれは決して表に出て来なく、おそらく闇に葬られるのではないかと思う。

過去の重大事件が、未解決であるように。

重大な事件ほど、国民には知らされないのであろう。

本日（令和４年７月１２日）、しめやかに亡くなった安倍元総理の告別式が行われた。

好き嫌いは別として、凶弾に倒れた故人のご冥福を祈る意味を含め、今回ブログに書かせて頂いた。

やはり暴力による解決は、卑劣な行為に他ならない事を改めて実感した。

（文中敬称略）

追記

このブログを書いたほぼ二週間後、文中で述べた２００８年６月秋葉原無差別殺人事件の犯人、加藤智大死刑囚（死刑は２０１５年に確定）の死刑が本日、執行されました。

全くの偶然かもしれませんが、あまりのタイミングで、聊か驚いています。

何か恣意的なモノが働いたのかは、謎です。

（令和４年７月２６日付）