ジャッキー・チェンの新天地 『香港国際警察』
★懐かしい香港映画シリーズ、成龍(ジャッキー・チェン)主演
・題名 『ポリス・ストーリー/香港国際警察』
・公開 1985年 香港・日本
・配給 ゴールデン・ハーベスト、東宝東和
・監督 ジャッキー・チェン
・脚本 ジャッキー・チェン、エドワード・タン
・製作 レナード・K・C・ホー、ウィリー・チェン
・製作総指揮 レイモンド・チョウ
目次
出演者
◆ジャッキーチェン:ケビン・チェン
香港警察に勤務するやり手の刑事。時には単独で暴走しがち。
ある麻薬組織のボス(クー)を逮捕しようと試みる。
しかし組織の妨害と警察内部の裏切りで、窮地に立たされる。
◆マギー・チャン:メイ
ケビン刑事の恋人。ケビンに健気に尽くすが、知らぬ間にケビンが手掛ける事件に巻き込まれてしまう。
◆ブリジット・リン:セリーナ・フォン
麻薬組織トム・クーの秘書兼、愛人。
香港警察に身柄を拘束され、一度は警察の協力に同意するが、後に翻し裁判当日、ケビンの前から行方を晦ます。
◆トン・ピョウ :ウォン警部
ケビン刑事の上司。何かと独断専行になりがちな、ケビンの肩を持つ。
ケビンが嫌疑を掛けられた際も、必死でケビンを説得する。
◆ラム・コーホン:陳署長
ケビンが勤務する署の署長。単独行動をしがちなケビンを、煙たがる。
理論詰めな典型的な官僚であるが、ケビンが殺人嫌疑を掛けられ人質となった際、僅かばかりケビンに温情を見せる。
◆チュウ・ヤン:トム・クー
麻薬密売組織の大ボス。麻薬密売現場で張り込んでいた、香港警察に逮捕される。
逮捕されるも裁判で証拠不十分として、無罪となる。
◆フォン・ハックオン:ダニー・クー
トム・クーの弟。兄の腰巾着のような存在。何かとケビンに対し、ちょっかいを出す。
ちょっかいを出すも、いつもケビンにやられる小物。
◆カム・ヒンイン:マオ刑事
ケビンと同じく、香港警察に勤務する刑事。何気にケビンとは、そりが合わない。
あわないのには理由があり、実は麻薬組織のクーと裏で繋がっている。
◆マース:キム刑事
毎度お馴染み、ジャッキー映画の定番出演者。
今回はケビンと同じ香港警察に勤務する同僚刑事を演じている。
◆タイ・ホー:ゾロ目
マースと同様、ジャッキー映画の定番出演者。
今回はケビンを罠に嵌める、情報屋の役を演じている。
◆ケン・トン:フランキー刑事
ケビンの後輩刑事。若手の為、麻薬現場での銃撃戦にて、戸惑いを見せる。
捜査が進むに連れ、一人前の刑事として成長する。
◆ロバート・ロー:検事
此方も毎度おなじみの、定番出演者。
今回は裁判検事として出演。
あらすじ
ケビン(ジャッキー・チェン)は香港警察に勤務する、やり手の刑事。
麻薬組織のボス(トム・クー)を逮捕する為、取引現場の貧民街で仲間たちと張込みを開始する。
張込み中、仲間が僅かな不注意でクーの手下に気付かれてしまった。辺りは忽ち、警察とクー一味の銃撃戦が始まる。
現場に居合わせたクーの秘書セリーナは捕まえたが、クーは車で貧民街を突っ切り逃走する。
ケビン刑事の捨て身の追跡で、漸く現行犯でクーの逮捕する。
裁判でクーを有罪に持ち込む為、ケビンたち警察官等はセリーナに一芝居うつ。
芝居はまんまと成功。
セリーナをクー有罪の証言者として、法廷に立たせるまで漕ぎつけた。
しかしセリーナは、ケビンの部屋で警官の集合写真をみた。その時今迄が芝居であり、自分が騙されていたと気づく。
証拠として取られていたテープを改竄。裁判当日、ケビンの部屋から失踪する。
ケビンはそうとは露知らず、法廷に証拠としてテープを提出。結果、大恥をかく。
裁判は当然、検察側の敗訴。クーは証拠不十分として、釈放される。
クーが何故、最初の取引場所で、いとも簡単に逃走できたのか。ケビンは疑問を感じた。
実は警察内部に裏切り者がいた。マオ刑事である。
マオ刑事はクーに買収され、以前から警察情報をクーに流していた。
その為、何か事ある毎、ジャッキーに反抗していた。
マオは欲をかき、更に多額の賄賂をクーに要求した。邪魔となったマオは、クーに消されてしまった。
クーの罠に嵌ったケビンは、マオ殺しの犯人にさせられてしまう。
普段から独断専行・スタンドプレーが多いケビンを煙たがっていた陳署長は、出頭してきたケビンを逮捕しようとする。
怒りに燃えたケビンは自らの手で嫌疑を晴らす為、署長を人質にして逃走する。
ケビンは殺人犯として仲間の警察に追われる。追われる立場だが、無実を晴らす為、必死にセリーナを逃がす。
クーは更に知り過ぎた人間として、セリーナまで始末しようとした。
危険を感知したセリーナは、クーの許を逃げ出す。
セリーナはクーの悪事の証拠を、ハッキング。証拠をケビンに渡そうとする。
セリーナがケビンに証拠を渡そうとした時、クーとその一味がやってきた。
現場は忽ち、乱闘と化す。
大乱闘の末、ケビンが決死のダイブでクーを掴まえ証拠品を押収。
事件は解決する。
見処
ジャッキーが今迄の路線とは明らかに違う、現代社会に沿ったストーリー、アクションがふんだんに取り入れられた。
今迄のような~拳と称する、カンフー映画とは明らかに内容が異なっていた。
此の映画を潮に、香港警察に関する続演が色々製作された。
映画冒頭からアクションシーン満載。貧民街を車で突っ切るシーンは当時としては奇想天外。
ジャッキーが犯人を追跡。拳銃を突き付け、二階建てバスを止めるシーンは、此の映画の見所の一つ。
バスを止めた惰性で、犯人がバスの窓から飛び出すシーンが有名。
このシーンは映画宣伝・CM等に暫し使われた。
セリーナが警察から釈放される時、警察からの注意という名目で弁護士抜きでセリーナが署長室に居残る。
その際、署長は話があると言いながら、何も話をせず、セリーナを部屋から出した。
此のネタは、映画『スパルタンX』でも使われた。
弁護士がセリーナに何を言われたかと聞いた際、セリーナは正直に「何も言われなかった」という場面。
此れは相手を疑心暗鬼にさせ、攪乱。仲間割れを起こさせるのが目的。
因みに劇中、メイのバイクネタも同じ。『大福星』で似た場面があった。
一番の見せ場は、ジャッキーが犯人一味をデパートに追い詰め、犯人一味と格闘する場面。
その中でも最大の見所は、ボスを捕らえる為、ジャッキーがデパートの照明から一気に一階下まで飛び降りるシーン。
勿論ジャッキーは、場面のシーン撮影後、大怪我。数か月の入院を余儀なくされる。
当然撮影の進行を考え、このシーンは全ての撮影が終了した最後に撮影された。
おそらく、大怪我を予測しての事。まさに体を張った演技。
同様のアクションは、『サンダーアーム/龍虎兄弟』1986年作でも披露された。
ジャッキーが崖から気球に飛び降りるシーンで、ジャッキーは再び大怪我をしている。
まさに体を張った迫真の演技。此れがジャッキー映画の魅力とも云える。
デパートでの大乱闘シーンにおいて、暫しガラスが割れるシーンが採用されている。
ガラスが割れるシーンは、後の1988年作『ダイ・ハード』のヒントになったと言われている。
ダイ・ハードの主人公ジョン・マクレーンが、裸足で逃げるシーンがあった。
その原型となったと言われている。
追記
映画『プロジェクトA』と同様、登場人物の名が広東語、北京語、日本語の表記では若干表記が異なっている。
今回はあくまで、日本語吹き替えの名で表記している。
相変わらず、毎度お馴染みの役者マース、タイ・ホーが出演している。
或る意味、定番で安心感がある。裁判長役のポール・チャンも同様。
今回ヒロインに抜擢されたマギー・チャンは、1982年のミス香港のコンテストで2位を獲得した美貌の持ち主。
以後のジャッキー映画に、暫しヒロイン役として度々登場している。
何気に気なったが、ケビンの乗って来た車が、車のハンドブレーキが利かず、電話ボックスを破壊する場面がある。
劇中の名場面の一つだが、何やら破壊した車が欠陥車の如く描かれている。
欠陥車として描かれているのは、明らかに日本車のホンダシビック。
当時ジャッキー映画で全面協力している自動車メーカーは、同じ日本メーカーの三菱自動車。
此れは映画で、何気に取り入れられる宣伝手法。スポンサーに配慮したのかもしれない。
因みにデパートの乱闘シーンで登場したバイクは、ヤマハ。
昔の映画、『ダーティ・ハリー』などでも似た手法が使われていた。
アメリカ製の車が、ドイツ製の車にぶつかるシーンなどが劇中に使われた。
所謂、宣伝と云う事。
デパートでの場面は、全て映画の為のエキストラ。
営業に支障を来さない為、深夜のホテルを借りての撮影だった。
まさに、圧巻。
前述したが、この映画を境にジャッキーの映画が、現代アクション映画への路線転換が図られた。
その後数々の続編がつくられ、ジャッキーが成功を収めたのは云うまでもない。
(文中敬称略)
此の映画について必ず触れておかなければならない内容を追加したいと思う。
それは映画の主題歌について
私達の年代であれば、一度は聴いた事があると思う。
それ程、印象深い曲だった。
題名は後に知ったが、『英雄故事』
作詞 ジェームズ・ウォン 作曲 馬飼野康二、マイケル・ライ
歌 ジャッキー・チェン
何か気持ちを奮い立たせるに十分な曲調と歌詞だった。
何か思い出したかのように、無性に聴きたくなる曲と云え様。
参考:アクション満載 ジャッキーチェン監督・主演『プロジェクトA』
:香港三代スター(ジャッキー・サモ・ユン)共演、『スパルタンX』