地上波TVが、つまらなくなったと言われる理由
近年、地上波TVがつまらなくなったと言われて久しいが、私なりに気になる幾つかの点を述べてみたい。
TVがつまらなくなったと言われて久しい。一つ理由を挙げれば、ネットの出現が大きいと思われる。
以前も述べたが、嘗てTVが登場した際、TVは其れまでの既存メディアを蹴散らし、メディアの王様として君臨した。
時代は巡り、今ではネットがTVの存在を揺るがしている。
しかし果たしてそれだけが原因だろうか。
世間で騒がれる以前から、TVの様々な問題点が指摘されていた。
実はTV関係者が見て見ぬ振りをしていたか、問題を先送りをしていただけなのかもしれない。
今回はネットの絡め、いろいろな視点から問題点を取り挙げたい。
目次
TV業界の凋落と仕組み
暫し言われているが、各局似たような番組が多いという指摘。あながち間違いでない。
私がまだTVを見ていた2000年前後あたりから、その傾向が顕著に見られた。
今はTVを全く見ていないので分からないが、おそらく然程状況が変わっていないものと推測する。
では問題点を指摘したい。
問題点①
長引く不況で、企業からの広告費が減少した事。
予算が減少した事により、各TV局が積極的な企画・番組制作ができなくなった。
更にネット等の他のメディアが台頭。
広告費が各メディアに分散され、企業がTVに使う広告費が徐々に削減された。
問題点②
TV業界の構造が原因。
皆様は、キー局という言葉を聞かれた事があると思う。
キー局とは、同一放送網の総元締め的な存在。
会社で譬えれば、グループ会社の親会社。東京にある局が本社と言える。
よく耳にする「フジ系、日テレ系、TBS系、朝日系、テレ東系」と言われるグループ(ネットワーク)と思っていただければ分かり易い。
地方のTVは必ず、何処かの系列になっている。本社と支店の様な関係だろうか。
TVはキー局でも系列でも、独自で全ての番組制作する事はありえない。
番組制作を下請けに外注する(丸投げ)。
下請け(編集プロダクション)が作ったものをTV局が取捨選択、放送しているのが現状。
「ゼネコン」を思い浮かべて貰えば、分かり易い。施工主(建物を建てたい人)が、ゼネコンに発注を依頼。
ゼネコンが設計、予算を立て(これも設計事務所などに下請けにやらせている可能性大)を行う。
それを施工主から了承を得て、建設に取り掛かる。
着工(建てる事)が決まった際、取引会社・系列会社などに仕事を丸投げする(仕事を下ろす)。
当然施工主からの予算から幾らかを中抜き、仕事を発注する。
受注を受けた会社は同様に予算を中抜きし、更に下に降ろす。その繰り返し。
下に行くに従い、予算が減る。傘下には、建設に必要な様々な業種が付いてくるという仕組み。
施工主→ゼネコン→下請け→孫請け→更にその下。
TV局も全く同じ構造。TV局は下から上がってきたものを、編集・監修するのみ。
編集・監修も下請けに人を出させ、やらせている可能性が高い。
因って、下になればなる程、低予算で番組を作らなければならない。
予算が少なくなれば、当然番組の質も落ちる。
不適切な言動・映像等が問題になった場合、TV側が記者会見でチェック機能が甘かったと発言するのは、この事。
問題が生じた際の逃げ口上、責任転換とも言える。
低予算で引き受ける編集プロダクションがあれば大概、同じプロダクションが受注する事が多い。
結果似たような企画・番組作りとなる。従って各局は視聴率の為、ほぼ似たような趣旨の番組制作を依頼する。
故に小手先だけを変えた、似た番組ができる傾向となる。
一時期、クイズ番組・タレントをひな壇に乗せたトーク番組が流行ったのは、その為。
理由として、番組制作コストが安い為。ある時期、各局こぞって似た番組を放送していた。
仮令違うプロダクションが仕事を受けても、失敗すれば次は無い。
失敗を恐れ下請けは、自ずと流行り・人気を博している番組の真似、似せた番組制作をする。
因みにTV業界と同じく、凋落が激しい出版業界も似た構造。
出版も書物・雑誌の企画をつくる際、下請けのような編集プロダクションが存在する。
TV出版いずれの業界も既に膠着化が進み、業界全体が疲弊しているのは全く同じ。
問題点③
低予算での番組制作となれば、直に結果を出さなければならない。
直に結果を出さなければ、次はない。切られるのみ。
そこで如何にも、視聴者受けするような番組制作が作られる。
所謂、「やらせ」である。
大概どの番組もやらせの要素が含まれている。
必ず結果ありきの「やらせ」が存在する。番組進行上で、必ず台本が存在する。
これは言い切っても良い。編集という作業が存在するのもその為。
トーク番組、バラエティー番組であっても最初から最後まで、結果ありきの役割分担・進行が存在する。
演出と言う名目の「やらせ」と言える。
もし自分がYou Tuberであれば、分かり易い。
ライブでない限り、必ず自分の意思による進行、編集が行われる筈。
TVも全く同じ。
TV側も編集プロダクションも、一度ヒットした作品の続編・同企画を乱発。
結果として後になれば成る程、徐々にマンネリ化・ネタ切れになり、つまらなくなる。
問題点④
やらせに関連して言えば、昔はやらせが発覚しても、視聴者からの立場で意見を発する手段がなかった。
処が今では、一個人が意見を全世界に発する事が可能。それはネット。
ネットの出現により、個人が情報を発信、拡散できる社会となった。
TV局がやらせ・問題発言・不手際が発覚した際、リアルタイムでネット・SNS等で皆に拡散する事が可能。
SNSなどで瞬時に広まる。一度拡散された情報は、半永久的にネット上に残る。決して消去はできない。
昔は問題が生じてもタイムラグ(時間のズレ)があり、たいがい問題が既に旬を過ぎている事が多かった。
その為、ほとぼりが冷めた頃、問題を引き起こしたメディア側がやんわりと公表。
既に視聴者は、問題の重要性を忘れている事が多々あった。
参考までに大昔の地上波TVは、同時間帯のTV番組を見る際、録音するしか手段がなかった。
録音するにも、チャンネル数と同じだけのTVとビデオが必要だった。
鑑賞する際、録音したものを一つ一つ見なければならなかった。その為、大変手間暇がかかった。
今ではネットにより、同時視聴が可能。いつでも手軽に瞬時に再生も可能。これは大きい。
TV関係者としては、やりずらいと思う。まるで自分達の特権が奪われたような感覚。
嘗て仕事で、TV局に出入りしていた時期があった。
TV局には、他局が同時間帯に放送している番組を瞬時に監視する、幾つもの大型モニター(マルチスクリーン)が存在した。
問題点⑤
或る特定の芸能プロダクションが、力を持ち過ぎたのも原因のひとつ。
名前こそ挙げないが、或る男性アイドル系とお笑い系芸能プロダクションと言えば良いであろうか。
私は懐古主義者の様に、昔は良かったと呟く訳ではない。2000年前後迄、TVを見ていた。
その時期から同じ事務所の男性タレント、同じ事務所のお笑いタレントが、繰り返し出演しているのをよく見かけた。
初めは面白いが、人間そのうち飽きてくる。
特定の人物が飽きてきても、又同じ事務所の似たようなタレントが登場する。
譬えるならば、いくら美味しくても毎回同じものを食べすぎて、聊か消化不良を起こしたような気持ちになる。
しかしTV局は全くお構いなしで、次から次に似たようなタレントを量産した。
挙句の果て、視聴者にはあまりにも似すぎ、全く区別がつかなくなってしまった。
これは女性タレントについても全く同じ。
若い頃は区別がついたが、今では男女問わず、全く区別がつかなくなった。
まるで金太郎飴の量産。
どうやら、TV局は芸能事務所とバーター取引をしている模様。
例えば、某芸能事務所の売れっ子タレントを出演させる見返りとして、無名の新人・売り出したいタレントの出演をセットで確約させる等が横行しているとの事。
話は変わるが、皆さんはどうお考えでしょうか。
男性アイドルタレントが、報道ニュースのキャスターを務めている場面など。
勿論、実力があり、それなりの勉強をしていれば構わない。決して文句も出ないだろう。
しかし現状は如何であろうか。
コメントを見ても借りて来たような言葉で、当たり障りのない意見を述べるのみ。
つまり原稿の棒読み。
事務所側、タレントとしては知的な面を有しているとアピールして売り出したいのだろうが、それ以上の情報(ニュース価値)を求める者としては、全く必要ない。
此れも番組内容と同様、各チャンネルを回しても、似たようなタレントばかりが出演している。
果たしてその状態が良いと、TV側も判断しているのであろうか。もし良いと判断していれば末期的とも言える。
多種多様で実りのある意見を求めるのであれば、明らかにネットの方が勝っている。
専門的意見もあれば、素人的意見もあり、色々な角度から物事を捉える事が可能。
決して先入観に問わられず、意見を述べる事が可能。TVは大概、ステレオタイプのやり取りしかできないのが本音であろう。
ドキュメンタリー等の番組についても同じ。
専門的知識を求める者であれば、タレントは必要ない。
ドラマは全く見ないが、演技力等についても、甚だ疑問を感じる。
確かにファンの人であれば、演技力など関係なく、好みのタレントを見るだけで目的は達成されるのかもしれないが。
私がまだTVを見ていた頃、ドラマを見た時、映画出身の役者さんが多く、演技力があった。
しかし近年、タレント出身で印象に残った演技をした方をあまりお目にかかった事は稀。
昔は映画で活躍した方が、TVに出演する流れだったが、今は逆にTVで活躍後、映画に出演する人が多い。
そんな方の出演された方の映画で、印象に残ったものは少ない。
映画を挙げよと言われても、例として挙げるモノがない。
原因はやはり、「演技力」がない為。
何故演技力が付かないかと言えば、下積み生活というのがない為。
下積み生活がない為、世の中と言うものを、あまり自分の目で観察した経験がないと思われる。
そんな人間の演技など、あまり深みが感じられない。結局、息の長いタレントにはなれない。
負の連鎖ともでも言おうか。TV側は全く気づいていないのかもしれないが。
仮令気づいていても、まるでお構いなし。所詮タレントも、使い捨てと思っているのかもしれない。
有力なお笑いタレントを抱える事務所も同じ。
今日のTV業界では、この二つの事務所を怒らせれば、番組制作が成り立たないと言われている。
その為、TV関係者は神経を尖らせていると聞く。
その様な状態であれば必然的に、番組作りに偏りが見られる。
他の事務所の人間は、決して良い気持ちにはならないと思う。
この傾向は決してタレント側にも、あまり良くない傾向と思われる。
タレントの寿命が縮まり、飽きられ度が早まるとも言える。
前述したが、その場限りの消耗品(使い捨て)とも言えようか。
分かり易い例で言えば、皆さんは去年の流行語大賞を覚えているだろうか。
おそらく去年は覚えていても、2年前・3年前は何ですか聞かれた時、さて何だったか答えに窮する筈。
仮令去年の大賞の言葉でも、今使えば、既に古いと言われる。それと同じかもしれない。
問題点⑥
徐々に規制の拡大、クレーム等のTV側の自主規制により、当たり障りのない番組が増えた事。
TVも草創期の頃は、今より好き勝手に番組が作れた。
しかし今では色々な価値観・多様性が存在。決して一律ではない。
番組が放送された後、番組を不快に感じた人間、又は意見を異にする一定の層が、ある程度存在する。
その為、TV局側へのクレームに発展する可能性が高い。
確かにTVが年数を重ねるに連れ、規制・禁止事項が増えるのは、やむを得ないかもしれない。
今日では年々規制が増え、「あれもダメ、これもダメ」と言ったものが増えた。
局側としてはクレームが来る前に、自主規制してしまうのは当然の成り行きかもしれない。
自分が子供の頃を思い出してもらえば、分かり易い。
大人からあれもダメ、これもダメと注意された時、果たして面白いと感じたであろうか。
あの感覚と同じ。規制が増えるに連れ、TV側が自分たちの手足を縛ってしまったとも言える。
だいぶ厳しくなってきたが、まだ甘いと言われるYou Tubeも、同じ傾向になると思われる。
次の話にも係るが、クライアントとの関係もあり、今後ますます厳しくなると予測される。
問題点⑦
クライアントとの関係で、いろいろな配慮が増えてしまった事。
番組スポンサーの配慮に対する禁止事項とでも言えば良いであろうか。
例として車会社がスポンサーであれば、ロケ以外は当然、スポンサー以外の車が映らない様に配慮する。
他の業界、家電・住宅・食品・飲料等も同じ。
スポンサーの関係で、自ずと番組に対する企画・出演者にも影響を及ぼす。
スポンサー受けしない芸能人は、あまり採用されない。
CMなどは端的。直接企業イメージに繋がる為、イメージを損なわない人が好まれる。
政治家・スキャンダルに巻き込まれた芸能人が好まれないのも、この理由。
政治家は常に世の中には、反対の立場の人間がいる為。
スキャンダルな芸能人は、企業イメージが損なわれる為。
特にTVは、スポンサーに気を遣う。
結果、無難に似たような人物にオファーが来る流れ。
TV業界が「泣く子と、スポンサーには勝てぬ」と言われる所以。
問題点⑧
敢えて挙げれば、社会状況の変化であろうか。
TVそのものがあまり重要視されなくなったとも言える。
此れはネット出現にも関連しているが、PC・スマホで事足りるようになった。
現在TVを見る層は、かなり高齢化している。若い世代は既に、TVはメジャーな情報源ではない。
近年TVはネットにあまり縁のない層の情報源であり、娯楽と化している。
年齢層が高い程、TVの視聴時間が長いと言われているのも何か頷ける。
ネットと比較すればTVのデメリットは、即効性がない事、時間が拘束される。
TV見る場合、その時間でなければ見れない。
録画でも可能だが、録画には手間もかかり、撮り溜めてしまえば見る気も失せてしまう。
即効性に関して言えば、今の世の中リアルタイムで状況が一変する為、TVはネットに敵わない。
これは否定できないだろう。TVニュースは取材をしても時間が経てば、ボツになる事がある。
理由は、後に新事実が浮上する事がある為。
以上考えただけでも、これだけの事柄が浮かんでくる。次に今後の行方と改善点を述べたい。
今後の改善点と行く末
上記に挙げた点を改善すれば、自ずと良くなると言えば其れまでだが、時代と供に不可能な点もあるので述べたい。
予算の減少、此れはTV側としては益々加速すると思われる。
理由は他のメディアが台頭している為。TVが王様だった時代は、終焉しつつある。
では何をすれば良いか。
やはり、リストラしかない。
高コスト体質の改善が先決。人員削減ではなく、人件費の削減を可能にする事。
TV局勤務の社員の平均年収が、高いのは有名な話。
キー局の社員であれば40歳以上で、平均約1500万円前後とも言われている。
次に質の良いコンテンツを放送する事。
前述した下請け、孫請けに仕事を丸投げするのではなく、独自の制作企画等の部署を作り、部署の強化をする事。
部署強化の為に専門的のスタッフ、出演者の育成に力を注ぐ必要がある。
専門的な知識を持ち乍も仕事がなく、青色吐息のフリーアナもいる筈。
経費削減の為、自社アナを使うのも良いが、報道とバラエティー番組等を兼ねたアナなど、決して専門的とは言えない。
ましてタレントキャスターであれば猶更。全く見る気が起きない。
決して諸外国が良いとは思わないが、有名なアンカーであれば必ず若かりし頃、戦場で経験を積み重ね、後にアンカーとなっている。
「ウォルター・クロンカイト、ダン・ラザー、ピーター・アーネット」然り。
現場で経験を積まず、アンカーになっているのは、日本ぐらいであろうか。
日本では報道番組の司会が、ついこの間まで歌番組の司会者であったり、プロレス中継をしていたなど、様々。
決して専門とは言えない。現在人気を博している司会者も無名時代、現場で経験を積んでいたとは言い難い。
キャスター、コメンテーターに有名タレントを起用するのもやはり、視聴率至上主義の為。
確かに視聴率が良ければ、クライアントを説得する上で有利な事は間違いないが、果たしてそれがピンポイントで確実にクライアントが望む視聴者に届いているのかと言えば、微妙。
これに関しては明らかにネットが先に進んでいる。
皆さんがネットである商品の検索、HP等を閲覧した際、次から関連した商品の広告が掲載されると思うが、まさにあれ。
TVはこの点に関し、全くネットに敵わない。
ブログ、アフィリエイト、You Tubeでの稼ぎ方は、この方法を利用したもの。
因ってTVの広告費は、益々減少すると言える。
皆さんは一度や二度、「ゴールデンタイム」と言う言葉を聞いた事があると思う。
だいたい夜の7時~9時が、TVCMの単価が一番高いと言われている。
何故なら、一番TVを見る人が多いと思われている為。
時間帯によりCM枠の値段が違うのは元来、当然の事とされていた。
TVのCM枠を差配するのはTV局でなく、大手広告代理店。
たいがい大手広告代理店がクライアントを集め、番組を企画、出演者を決める流れ。
芸能事務所も売り出したいタレントを出演させる為、躍起となる。
結果として莫大な利権を産んできた。
しかし昨今、この神話が崩れてきた。
社会生活の変化、ネットの出現が大いに影響していると言えよう。
今では値崩れを起こしているとも聞く。
どうせならTV局も思いきって、時間枠の入札制を実施してみれば如何かと思う。
You Tubeなどは、時間枠など全く関係ない。コンテンツ提供者の都合次第である。
TVも入札制度を実施すれば活気が湧き、面白いと思う。
地方では暫し午後2時~午後5時などの時間帯では、昔放送された番組を再放送をしている場合が多い。
この時間帯などで実施してみれば、如何だろうか。
貴重な収入源になると思うが。言うなれば、You TubeのTV版であろうか。
しかしどう足掻いても、将来的にパイ(広告費)が減るのは避けられない。
無くなりはしないが、今後発展する可能性は少ないだろう。
嘗てTVが誕生した為、ラジオが縮小を余儀なくされたように。
大昔ハリウッドで無声映画が華やかなりし頃、新技術「トーキー」が誕生した。
誕生した当初、無声映画関係者は、そんなものは流行る訳がないとタカを括っていた。
しかしトーキー映画が世間の人気を博すにつれ、映画関係者の意向に関係なく、無声映画は無常にも世間から取り残された。
そうならない為に、関係者はTVに身を置きながら、徐々にネットに活動拠点を移さなけらばならないと思う。
一昔前、You Tubeに出る芸能人は、既に終わった人間の烙印を押されていた。
しかしYou Tubeの収入を知るにつれ、こぞって有名芸能人も参加してきた。
逆にTVではできない事を、You Tubeで実践している芸能人も多々存在する。
何故かと言えば、今まで述べてきたようにTVでは限界があるが、You Tubeでは実現可能な場合が多々ある。
付け足すならば、TVに出演するには、まず見習い期間がある。数年かけ実力をつけ、漸く端役でTV出演させて貰える。
出演しても注目されなければ、それまで。
運よく次に出演できても出演者の間には、順位制(位、ランク)が存在する。
主役になる為には、底辺から這い上がらなければならない。スポンサーの絡みもあろう。売れる迄、何年もかかる。
しかしYou Tubeであれば、番組企画・制作に自ら参加。出演も可能。
TVと違い、他の出演者に配慮したり、先輩を持ち上げる必要もない。
繰り返すがTVの様に先ずスポンサーありきでなく、登録者・再生回数等の自らの力で、スポンサーを付ける事が可能。
自分のコンテンツ次第で、Googleが広告を付けてくれる。
逆転現象でスポンサーの意向により、You TubeからTV出演が決まるかもしれない。
まさに相乗効果とも思える。
今後、この様な形態が増えるであろう。自分の実力次第で、稼ぐ事が十分可能になる時代。
既に芸能事務所もこの現象に気づき、一部では所属芸能人に積極的にYou Tubeに参加させている。
しかし此れは逆に、今までのYou Tuberにしてみれば恐怖かもしれない。
TV関係者が、積極的にYou Tubeに進出。TVで培ったノウハウを発揮すれば、此れまでのYou Tuberは太刀打ちできないかもしれない。
諸外国等は既に、TV並みのコンテンツが配信されている。
芸能人であればスタート時点で知名度が違う為、大変有利と思われる。
例えばブログ一つを考えてみれば分かり易い。
「アメブロ・はてなブログ」でも芸能人であれば、大したコンテンツでなくても閲覧数が多い。
一方、素晴らしいコンテンツを書いていても一般素人であれば、誰も見向きもしない。
所詮、世間とはそんなもの。素人の書いたブログなど、誰も見向きもしない。
私も意見の発信の場所としてブログを書いているのが、閲覧数が僅かなのが現実。
自分の贔屓な芸能人であれば、今日何食べましたと、ブログに書き込んでも興味が湧くが、アカの他人が今日何食べましたと書いても、おそらく閲覧者はゼロに近い。
今では多数の芸能人が進出している。ネットの旨味に気付いたからだろう。
企業も閲覧者の興味がある広告をピンポイントで出せる。互いにメリットがあると思われる。今後ますますこの傾向は強まると思う。
したがってTV界は縮小するのは致し方ないが、縮小を最小限にとどめ、今後はネットとの適度な距離を保ちながら、互いに補完しあう形で進んでいくしかない。
互恵関係を築く事が大切かと思われる。
もし生き残りたいのであれば、生中継が主体のもの。スポーツ、コンサート、生ライブなどを中心に放送する事が、今後の生き残りをかけた知恵かとも思う。
今後のTV業界の行く末を、注意深く見守りたい。
(文中敬称略)