父からの脱却、青年から大人への成長を描いた作品『愛と青春の旅立ち』

★今回は久々に映画を取り上げたい。懐かしい洋画で、主題歌が有名な作品。
幼少期、地上波で視た記憶はあるが、その頃はまだ小学生だった。その為、映画の内容はあまり覚えていない。
只、映画の主題歌は、何故かハッキリ記憶している。
今迄何かの拍子にふと思い出す事がある、誠に主題歌が印象的な映画と云えるかもしれない。
・題名 『愛と青春の旅立ち』
・公開 1982年 米国・日本
・配給 パラマント映画
・監督 ティラー・ハックホード
・脚本 ダグラス・D・スチュアート
・製作 マーチン・エルファンド
・音楽 ジャック・ニッチェ
目次
出演者
◆ザック・メイヨー :ケビン・コスナー
◆ポーラ・ポクリフキー :デバラ・ウィンガー
◆シド・ウォーリー :デット・キース
◆バイロン・メイヨー :ロバート・ロッジア
◆リネット・ポメロイ :リサ・ブロント
◆キャシー・̪シガー :リサ・アイルバッハ
◆エミール・フォーリー軍曹 :ルイス・ゴセット・ジュニア
◆エミリオ・デラ・セラ :トニー・プラナ
◆トッパー・ダニルエス :デビット・カルーソ
あらすじ
主人公のメイヨ・ザックの父は嘗て米軍の東南アジアの拠点、スービックに所属する海兵隊だった。
本土にて母が自殺。ザックは仕方なく、単身で父のいるフィリピンに向かった。
現地で再会した父は、酒と女に溺れていた。
現地では占領した国の子供という理由で、ザックは現地のフィリピン人の子供に虐められた。
月日は流れ、ザックは米国本土に戻り、大学を卒業した。父は、相変わらず酒と女に溺れる日々。
卒業後、ザックはシアトルの海軍アカデミーに志願、入学した。ザックは士官として、海軍のパイロットを志す。
入学したザックに待ち受けていたのは、どの軍隊にも見られる鬼軍曹のしごきと、厳しい訓練だった。
海軍アカデミーのシアトルでは、将来の出世を見越した訓練生に対し、唾を付けておこうという現地の少女が多勢いた。
嘗て日本の高度経済成長期「金の卵」と云われ、何気に持て囃された状況と似ている。
映画では、町の印刷工場に働く少女の設定。少女たちは、新兵が訪れた基地に早速訪れた。
目的は勿論、潤いのない3ヵ月の訓練生活の新兵を誘惑する為。
アカデミーで厳しい訓練が始まった。ザックは元来の機敏さを生かし、訓練はトップクラスだった。
ザックは在校中、色々な試練を乗り越え、無事卒業する。卒業式後、向かったザックの行き先は。
要点
冒頭、海軍アカデミーに入学するザックと父との間に、ちょっとしたやり取りがある。
幼少の頃は分からなかったが、此れは明らかに父と子の葛藤。
ザックは子供の頃は仕方なく父に従っていたが、大人になり父への無意識な反抗と思われる。
ザックは母を死に追いやった父を、心の中で恨んでいた。
幼少期は表に出せなかったが、大人になり漸く父に対し、反抗の意を唱えた。
今迄は仕方なく父に従っていたが、此れからは自分の意志で人生を歩んでいくという決意。
更には、自堕落な生活を続ける父への決別であろう。
訓練校では、ザックはウマのあったウォーリーと仲良くなる。
ザックとウォーリーは、地元の交流会で知り合ったポーラとリネットと深い関係になる。
男女の2人組は訓練中の合間のぬい、互いに関係を深める。
関係を深める4人だったが、互に打算的なモノが付きまとい、決して順調とは言えなかった。
そんな中、ザックの校則に反する行為が発覚。ザックは退校の危機に迫られる。
しかし本人の粘りと、周囲の声援に励まされ、何とか踏みとどまる。
数々の訓練を嵩ね、あと僅かと云う処で、ウォーリーと付き合っていたリネットが妊娠したと、ウォーリーに告げた。
ウォーリーは妊娠させてしまった責任を感じ悩み、訓練に身が入らなくなった。
ウォーリーは、あと2週間後で卒業と云う処で退校する。
退校したウォーリーは、妊娠させたリネットの許に向かった。
ウォ―リーはリネットを妊娠させた責任を感じ、リネットと人生を共にする道を選んだ。
しかしリネットは違った。リネットは将来海軍の士官となる妻の地位を望んでいた。
その為、訓練校を辞めたウォーリーに未練はなかった。
リネットの素っ気ない態度、自分の将来を悲観したウォーリーは絶望。そのままモーテルで自殺する。
ウォーリーの死を目の当たりにしたザックは自暴自棄となり、退校を掛け教官のフォーリーにタイマン(一対一)を申し出た。
タイマンを挑まれたフォーリーは、ザックの申し出を受け、戦った。
2人は教官、生徒の垣根を越え、真剣に戦った。或る意味、男と男の戦いと云える。
若かりし頃は気づかなかったが、教官のフォーリーは、父親の代わりと気づいた。
子供が何時かは越えなければならない壁。それは父親の存在。
訓練校のフォーリーは、憎むべき父親と同じ。ザックが越えなければならない存在だと理解した。
因みにポーラは、ザックが13才の時自殺した母親の面影。
恋人でありながら、ザックはポーラに母親の姿を見ていた。
遂に卒業の時がやってきた。卒園式後、訓練生が帽子を投げ捨てるシーンが印象的。
訓練生が厳しい訓練に耐えた後、訓練生のバッジを教官のフォーリーに返す。
今迄訓練生をしごいていたフォーリー軍曹が訓練生に対し、上官として敬礼するシーンが何とも言えない。
訓練を終えた生徒たちは卒業後、軍の階級では海軍少尉となる。
既に教官のフォーリー軍曹より、階級が上。軍隊の階級の厳しさを知ると供に、社会の厳しさを教わった瞬間だった。
付け加えるならば、悪童が青年を卒業。大人への階段を、第一歩を踏み出した瞬間と云える。
そして最大の見せ場。
最大の見せ場はやはり、ザックが訓練校を卒業。その足で町工場に向かい、ポーラを迎えに行く場面だろう。
まさに現代のシンデレラ・ストーリー。
その時流れる曲は、オープニングでも使われた曲。何時までも耳に谺する。
何年経っても此のシーンと曲がマッチして、どちらを見聞きしても、両方が条件反射で思い出す。
曲は、その年のアカデミー賞を受賞している。
追記
映画では、若かりし頃のリチャード・ギャの姿が観られる。まさに、貴重な映像。
今でこそリチャード・ギヤはハリウッドの重鎮だが、若かりし頃は今では想像もつかない位のやんちゃぶりを示し、体型も少しポッチャリしていた。
映画『スタンド・バイ・ミー』と同じく、少年が青年に成長していく過程を描くように、此の作品は青年から大人になる過程を描いた作品。
男であれば、誰もが通過しなければない通過儀礼。
さて皆様は、どうお考えでしょうか?
(文中敬称略)