問題山積の各年金問題、年金は既に破綻寸前

次々出てくる、各年金問題について

以前「地方議員年金」「在職老齢基礎年金」問題を採り挙げたが、今度は「厚生年金の見直し検討中」との事。もはや述べてきた事が現実となりつつある。今回、各報道について述べたい。

 

先日、地方統一選挙の無投票選に絡み「地方議員年金」更に「在職老齢基礎年金」廃止検討の報道について述べた。

その中で全ての年金制度は「各世代間で不公平感があり、既に破綻寸前である」と主張したが、やはりと言うべきか、「厚生年金」の受給資格加入期間の延長を検討との報道。

 

先日の在職老齢基礎年金を採り挙げて、本当に間もない。僅か3日程しか経っていない(報道時点にて)。この時期何故、矢継ぎ早に発表するのであろうか。

古今東西、為政者と言う者は、都合の悪い政策はタイミングを見計らい、発表するものと相場が決まっている。

 

答えを言えば、新元号が決まり間もなく改元、その祝賀として10連休が始まる。

丁度いま連休前で、国民の心がふわふわ浮かれている状態といっても過言でない。

その様などさくさ紛れの間隙をぬい、発表してる気がしてならない。


 

それはさて於き、本題に入るが報道によれば、「厚生年金加入期間」を、70歳以上の加入延長を検討中との事。

 

例の如く政府の言い分は、70歳以上の加入を可能にする事で選択幅を増やし、高齢者雇用の促進を図るとの事。

 

果たして60歳を超え働き、70歳以上になり年金を納めたい方は、何人であろうか。

仮令いたとしても、その方は70歳以上で退職。果たしてその後何年、年金が貰えるであろうか。

70歳と云えば、かなりの高齢。体の一つや二つに持病を抱えていてもおかしくない歳。

 

それを考えれば、私などとても怖くて実行できない。その前に職を失うと思われる。

前回の「在職老齢基礎年金」でも述べたが、利益を受けるのは一部の高所得者であり、庶民の大半は恩恵を受ける事はない。


財界の動向

経団連は今迄公言しなかったが、「今後、日本社会では終身雇用制度の維持は難しい」と初めて明言した。

これを考えれば、日本の終身雇用制度は既に「過去の遺物」と宣言しているに等しい。

 

それでなくとも大概大企業であれば、50歳で役職定年。その後は子会社・孫会社等に転籍。55歳定年が半ば常識となっている。

60歳迄いたいのであれば、平社員扱いに降格。

下手をすれば、平並みの水準での退職金支払いになる可能性も高い。実質、55歳定年のようなもの。

 

「それが嫌なら出世して役員にでもなれ」と云うのが会社の本音。60歳を超えて働いている人は、限りなく少ない。

冗談ではないが、政治家ぐらいなものではないだろうか。まして月28万円以上、65歳以上で月48万円以上など僅かだと思う(老齢基礎年金の基準)。

 

退職した人間は以前の所得水準並みの再就職など、殆ど不可能と思われる。

更に今年4月から、外国人労働者受け入れが拡大された。

そうなれば必然的に退職した人間と、外国人労働者の職が被るのではないかと思われる。

再就職をして人手不足の職場にいけども、新しく入ってくる外国人労働者との競合になるという事。

周知とは思うが、人手不足で外国人労働者が必要な職場と云えば大概、「単純労働、低賃金、長時間労働」の職場が多い。

 

暫し報道され問題視される職場も、この様な職場。だからこそ日本人が定着せず、常に人手不足が慢性化している状態と云える。

問題を根本的に解決せず、人手不足を手軽に外国人労働者で補おうとしているだけ。

そんな状況で退職した人間がいけばどうなるか。結果は明らか。

只でさえ低賃金の環境下で労働者が増えれば、「需給の関係」で賃金が目減りするのは当たり前。

 

雇う側としては都合が良いが、雇われる側はたまったものではない。

今迄、低賃金で成り立っていた一部の業界が維持できなくなり、慌ててその業界の救済の為、導入したとも言える。

外国人労働者拡大、日本人の定年後の再就職奨励などはその証。政府は、詭弁・誤魔化しに躍起となっている。


政府・事務方(官僚)の考え

しかしこの事は1990年代、既に認識されていた問題。政府・事務方(官僚)は、見て見ぬふりをしていた。

書いていて思い出したが、先程就職氷河時代の世代を中心に3年をめどに職業支援する等の報道があった。

 

結果から言えば、既に遅いと思われる。就職氷河世代は既に、40~49歳の年齢。正社員になるのは極めて難しい。

仮令勤めても、60歳定年として、僅か10年程しか残されていない。今更の感しかない。

今から結婚、出産、子育てをしても遅い。下手をすれば出産後の自己破産もありえる。

子育てが出来たとしても、夫婦の老後設計は到底不可能。

 

何度も述べているが、各年金制度は既に破綻寸前。怖くて誰も言い出さないだけ。言い出せば、

「文句があるならお前がやれ」と云われる為、皆黙っているに過ぎない。

 

いずれ氷山に衝突するのが誰の目にも明らかだが、ただ黙ってみているにすぎない。

日本国民は、何れ氷山にぶつかる「タイタニック号」に乗船している状態とも云える。

船が衝突。沈没し始めた時、初めて国民は自覚するのではないだろうか。年金もこの国も破産寸前の状態だったと。

 

政府の宣伝通り、めでたく満期を迎え、いざ支給の年齢に達した時、

「申し訳ございません。既に年金制度は破綻し、支給するお金はありません。ご了承下さい」

と云われかねない。

 

そうならない為に、個人ひとり一人が自覚を持ち、老後の人生設計をしなければならない。

私自身、危機感を持ち始めたのは、40歳を近くになってから。それまでは、全く考えもしなかった。

自分の資産運営というものを。

 

簡単に言えば、年金は当てにならないという事。

 

政府側が

「年金制度はデフォルトしました」と宣言すれば、「ハイそれまでよ」で終了。

当てにしていた人間は、明日から路頭に迷うのみ。

そうならない為、私が投資、お金の流れ、仕組みを学び始めたのは事実。


日本人のお金の意識

日本人の感覚では投資、お金に関する話は何か汚い話のように思われているが、欧米ではごく当たり前な話。幼少期から教えられているのが現実。

 

よくよく考えれば今回の年金、更に皆さんが掛けている各種保険の等も投資の一種と思われる。

何気に掛けている生命保険も、投資の一種と思って間違いない。

強いて言えば「家」、「クルマ」も投資の一種かもしれない。あまり自覚がないかもしれないが。

 

投資の一種として年金問題を考えれば、また違った側面が見えて来るかもしれない。

私がそうでした。一応支払ってはいるが、左程期待していない。ほぼ掛け捨ての感覚。

仮令将来支給されても、今ほどの金額は貰えないと認識している。

 

今の現状を鑑みるに、そう考えざるを得ない。今後、事ある毎に各種年金問題が議論されると思われる。

しかしその議論は決して良い話ではなく、良くない方向と思われる。

各種年金がいつ破綻する可能性があるのか、おそれ慄きながら。

 

(文中敬称略)