ファミリー維持の苦悩・冷酷さを描いた作品 『ゴッド・ファーザー2』

★フランシス・F・コッポラ監督シリーズ、第二弾

 

・題名    『ゴッドファーザー2』

・公開    米国  1974年12月

・配給    パラマウント映画

・監督    フランシス・F・コッポラ

・脚本    マリオ・プーゾ 、フランシス・F・コッポラ

・音楽    ニーノ・ロータ、カーマイン・コッポラ

・編集    ピーター・ツィンナー、バリー・マルキン、リチャード・マークス

・原作    マリオ・プーゾ

 

目次

出演者

 

◆マイケル・コルレオーネ :アル・パチーノ     

ビットの三男、コルレオーネ一家のドン

 

◆ビット・コルレオーネ  :ロバート・デ・ニーロ  

若かりし日のビット・コルレオーネ

 

◆ケイ・コルレオーネ   :ダイアン・キートン   

マイケルの妻、アンソニーの母

 

◆フレド・コルレオーネ  :ジョン・カザル     

ビットの次男、マイケルの兄

 

◆コニー・コルレオーネ  :タリア・シャイア    

ビットの末娘、マイケルの妹

 

◆トム・ヘイガン     :ロバート・デュバル  

ファミリーの弁護士、相談役

 

◆カルメラ・コルレオーネ :モーガナ・キング   

ビットの妻、マイケルの母

 

◆アンソニー・コルレオーネ:ジェームス・ゴナリス  

マイケルとケイの長男

 

◆メアリー・コルレオーネ :ソフィア・コッポラ  

コニーの娘、マイケルの姪

 

◆カルロ・リッツィ    :ジャンニ・ルッソ    

コニーの初めの夫、前作にて粛清される

 

◆ディアナ・コルレオーネ :マリアンナ・ヒル    

フレドの妻

 

◆フランク・ペンタンジェリ:マイケル・V・ガッツォ  

ニューヨークのシマ、クレメンザの後継者

 

◆ウィリー・チッチ    :ジョー・スピネル    

フランクの用心棒

 

◆ピーター・クレメンザ  :ブルーノ・カービー   

ビット古参の仲間、心筋梗塞でなくなる

 

◆ハイマン・ロス     :リー・ストラスバーグ  

シンジケートのドン、メイヤー・ランスキーがモデル

 

◆ジョニー・オーラ    :ドミニク・チアニーゼ  

ハイマン・ロスの代理人

 

◆ドン・ファヌッチ    :ガストーネ・モスキン  

ビットが若かりし頃、地元のドン

 

◆ドン・チッチオ     :ジュゼッペ・シラート  

シシリー島のドン、ビットの両親・兄の敵

 

◆ドン・トマシーノ    :マリオ・コトーネ    

シシリー時代のビットの古い友人

 

◆パット・ギリー     :G・D・スプラドリン   

ネバタ州選出の上院議員

 

作品概要・経過

 

映画冒頭はイタリア本国シシリー島、コルレオーネ村の葬儀のシーンから始まる。

ビット・コルレオーネの父は、地元マフィアを侮辱したとの罪で殺された。ビットの兄(パオロ)は父の復讐を誓い、山に隠れた。ビット9歳の出来事だった。

 

復讐を誓った兄は葬儀の行進中、父の亡骸近くに現れた際、逆に地元マフィアに殺されてしまう。

ビットの母は地元マフィアのボス(ドン・チッチオ)の許に赴き、残った弟ビットを殺さないよう頼みに行く。

しかし地元マフィアのボスは男の子が成長すれば、必ず自分の復讐に来るだろうと予告。

ビットを始末しようとする。ビットの母は聞き入れられない場合、相手と差し違える覚悟をしていた。

母はビットを逃がす為、ボスをナイフで刺そうとする。しかし母はボスの護衛に射殺される。

 

ビットは間一髪で逃れ、村民に匿われた。村を脱出後、移民船に乗り、自由と希望を求めアメリカに移住する。

移民船に乗り込み、アメリカに到着する。

移民船から見つめるアメリカは、移民にとり約束の地に思えたのであろうか。劇中移民の眼差しが、そう語っているようの思われた。

 

ビットは入国管理所で名前が言えず(当時ビットは英語が分からない。おまけに無口だった)、職員に名前(正式名:ビット・アンドリーニ)を間違われた。

間違われた名前が、アメリカでのビットの名前となる。

ビットは検疫の末、天然痘と判明。三ヶ月間、エリス島の自由の女神が見える隔離病棟に収容された。

隔離された際、病室で歌を口ずさむビットが、何か物悲しい。

ビットアメリカ上陸、1901年の出来事だった。

 

1958年カリフォルニア州、マイケル自宅にて

 

舞台はいきなり、1958年に飛ぶ。ニューヨークからアメリカ西岸地域カリフォルニアに移動したマイケル・コルレオーネ宅では、盛大なパーティーが行われていた。

パーティーの最中、マイケルの妹コリーが訪ねて来た。前作にてコニーの最初の夫カルロは、長兄ソニーを敵に売った裏切り者として、マイケルの手により粛清されていた。

 

以来コリーは放蕩な生活を続け、実娘メアリーの育児を放棄。更に3回目の結婚と新婚旅行に行く為、マイケルに金をせびりに来る有様。

コニーは初めの夫を殺されて以来マイケルを憎み、当てつけに何時もダメ男の様な人間と結婚した。

 

次兄フレドも前作と同じく、相変わらず頼りない男として描かれている。マイケルにとり次兄と妹は悩みの種だった。

パーティーは和やかに進む。マイケルはネバタ州上院議員(パット・ギリー)と、カジノ利権について書斎で話合う。

議員は公衆の面前では決して見せなかった本性を現し、コルレオーネ一家を口汚く罵り、おまけに法外な上納金を求めた。

当然両者の話合いは、平行線に終わる。

 

嘗てニューヨークにコルレオーネ一家がいた頃、古参の仲間であったクレメンザの跡を継いだフランク・ペンタンジェリがマイケルの許に遣って来た。

フランクは自分の縄張り(シマ)を徐々に、他のファミリー(ロサト兄弟)に侵食されつつあった。

フランクはロサト兄弟の報復を相談しに来たが、マイケルは進行中のビジネスに支障を来すのを嫌い、フランクを宥めた。

しかしフランクは、マイケルの忠告を聞き入れる気は毛頭なかった。

 

フランクと話合い後、マイケルは自宅の寝室にて命を狙われる。暗殺は失敗に終わる。実行犯はそのまま口封じの為、始末される。

自宅で暗殺されかけたマイケルは、身内に裏切り者がいる現実を悟る。

 

1917年、若き日のビット・コルレオーネ

 

1917年、ニューヨークにて若き日(25歳)のビット・コルレオーネ(ロバート・デニーロ)に、舞台は遡る。

ビットは既に結婚して、子供も生まれていた(ソニー)。

 

ビットは堅気として、雑貨店で働いていた。

或る日、近所の住民(ピーター・クレメンザ)が荷物を預かってくれと、無理やりビットに頼み込んだ。預かった荷物の中身は、拳銃だった。

ビットが店で働いている最中、この辺りを牛耳るドン・ファヌッチが店にやって来た。ファヌッチは同じイタリア人であるが、同じ移民のイタリア人を食い物にしていた。

 

ファヌッチは自分の甥を店で働かせる事を、強引に店主に迫った。

店主はファヌッチの申し出を断れず、ビットが店を追い出される結果となる。

店を追い出されたビットは、拳銃を預けたクレメンザと一緒に強盗を働く。

ビットが初めて犯罪に手を染めた瞬間だった。

 

再び1958年、現代

 

舞台は現代に戻る。マイケルはフランクの件でハイマン・ロス(シンジケートの中心的存在)に会う為、マイアミに向かった。

マイケルはロスに、フランク暗殺の許可を得る。ロスを訪問した後、マイケルはニューヨークのフランクの許を訪ねる。

 

フランクの自宅を訪れたマイケルは、偽装で抗争中のロサト兄弟との手打ちを進める。

マイケルは手打ちをして、ロサト兄弟のバックについているロスを始末すると称し、フランクを誘い出す。

フランクはロサト兄弟との手打ちの場に向かう。しかしフランクはロスが手配した暗殺者の手にかかり、殺されかける。

殺されかけたが、偶然にも警官が店に押しかけ、フランクは寸での処で、一命を取り留める。

 

場面はいきなり切り替わり、舞台はフレドが経営する売春宿に移る。

売春宿で冒頭にてマイケルを侮辱、法外な上納金を要求したネバタ州上院議員パット・ギリーが蹲っていた。議員は売春宿を利用。議員が眠りこけている間に、相手の娼婦が血まみれで死んでいた。

議員は何もできずに只泣き崩れ、ファミリーの弁護士トム・ヘイガンに後始末を依頼する。

結果議員は、マイケルに弱味を握られてしまう。後はもう、ファミリーの言いなりだった。

おそらく議員は、罠に嵌られたものと思われる。

 

舞台はキューバのハバナに移る。マイケルはビジネス(カジノ利権)でロスと話し合う為、ハバナに遣って来た。

ハバナでは、シンジケート・アメリカ大企業等が結集。多くの利権が存在していた。

ロスを中心とするシンジケートは、ハバナでカジノ・麻薬・売春等により莫大な利益を上げていた。

当時のキューバのバチスタ政権はシンジケート・米国企業と手を組み、上納金を受け取り、私腹を肥やしていた。

 

ハバナの街は陽気に見えるが、革命の兆しが目前まで迫っていた。革命ゲリラは今までとは違い、自爆死も辞さない程の構え。

ロスはカジノ利権譲渡の為、マイケルに200万ドルの金を要求する。

しかしマイケルは革命を恐れ、キューバの投資に足踏みする。

※当時は固定為替相場の為、1ドル約360円と計算すれば、200万ドルは現在の金額で約7億2千万円相当と思われる。

 

マイケルの指示で兄フレドが、ロスに払う金をハバナに持参した。

マイケルとフレドがバーで会話する中、フレドはふと、マイケルに対する嫉妬を口走った。

此の場面は、何気に後の伏線となる。

会話中マイケルは、今回の動きはロスが糸を引いている旨をフレドに告げる。

 

マイケルは、ロスとカジノの利権について話合う。

会話中ロスは、嘗て自分が目を掛けた男(モー・グリーン:前作にてマイケルが差し向けた暗殺者に殺害される)を、マイケルに殺されたのを根に持っていた。

 

マイケルはロスと商談後、従順な手下となったギリ―議員、米国政府高官達とキューバ利権について話合う。

フレドは、ロスの右腕(代理人)ジョニーと面会する。フレドとジョニーは、何気に初対面を装う。

しかしフレドはショーの見学の最中、迂闊にも口走った言葉により、ジョニーと以前から面識があった事実をマイケルに悟られる。

マイケルは咄嗟に、自宅での暗殺未遂。フランクの一連の出来事は、兄フレドがロスに情報を流し、手引きをしていた事実を悟る。

組織内の獅子身中の虫は、兄フレドだった。マイケルは事実を悟り、フレドに怒りをぶつける。

 

事実を知ったマイケルは、ロスを暗殺を試みる。

マイケルが差し向けた暗殺者は、ロスが収容されている病院に向かうが、病院で待機していたキューバ軍の警備隊に射殺される。

大統領官邸では新年を祝うパーティーが催され、多くの米国客が招かれていた。

その最中、革命軍(カストロ軍)が国を制圧。キューバ革命が達成された知らせが届く。

 

招かれた客は、我先にとキューバを脱出を図る。

マイケルも脱出を試みるが混乱の最中、兄フレドに出会う。しかしフレドはマイケルの報復を恐れ、マイケルが呼び止めるのも聞かず、一人で逃げ出した。

その後二人は散り散りとなり、バラバラに米国本土に逃れた。

 

マイケルは命からがら逃げ、ロスは病院から抜け出し、マイアミ本土に逃げ帰る。

ひと段落した後、フレドはどうやら敵対するファミリーに匿われていると判明。

敵対するファミリーにしてみれば、フレドは何か利用できる、道具(奇貨)と見做していたのかもしれない。

 

1919年、ビットのニューヨーク時代

 

舞台は1919年、ビットのニューヨーク時代に移る。

ビットはクレメンザと供に犯罪に手を染めた後、更にテシオ(前作ビットが死んだ葬儀の場で、マイケルにバルジ―ニとの手打ちを持ちかけた人物)と供に、界隈を犯罪で荒稼ぎしていた。

同胞イタリア人を食い物にしていたドン・ファヌッチは、ビットの3人のしのぎを嗅ぎ付け、法外な身かじめ料を要求してきた。

 

3人の話合いの末、ビットはドン・ファヌッチを殺害する決心を固める。殺害の決行は、街がフィスティバル(おそらくイースターと思われる)で賑わっている際に行った。

ビットは相手の自宅の前で待ち伏せ、暗殺した。

 

暗殺後、ビットは自宅に帰り、生まれたばかりの赤ん坊抱き上げる。

その時抱き上げた赤ん坊は、マイケルだった。

 

キューバから自宅に戻ったマイケル

 

這う這うの体で自宅に戻ったマイケルだが、相談役ヘイガンに妻ケイの流産を告げられる。

ヘイガンは口を濁していたが、マイケルは後にケイは流産ではなく、自分(ケイ)の意思で堕胎した事を知る。

ケイがマイケルに述べた堕胎の理由は、

「これ以上あなたの子供を産みたくなかった」 だった。

 

ケイはマイケルは暗黒の世界に身を投じ、既に足抜けできない状態である事を悟っていたのであろう。

以前ケイが知っていたマイケルは、もう過去の人物であり、既に自分の手に負えない存在になっているのを認識したと思われる。

 

冬の最中、マイケルが帰宅した時、子供が遊ぶ玩具の車が雪に埋もれている映像が印象的。

なにか荒れた家庭の姿を象徴しているかのようだった。

 

舞台は再び、ビットの若かりし時代に

 

ビットは地元のドン・ファヌッチを始末した事で信頼を得、ビットが新たに地元のボスとしてのし上がる。

しのぎは住民の揉め事を聞き、トラブルを解決する事で報酬を得ていた。

 

現代の米国上院委員会にて

 

再び舞台は現代のアメリカ議会上院議会で、マイケル・コルレオーネは生き残ったフランクの用心棒ウイリアム・チチの証言を基に、公聴会にて参考人として召喚される。

公聴会ではマイケルに弱味を握られたギリー議員が、何気にマイケルに有利な発言を繰り返した。

しかし委員会側は、切り札と云うべき人物を握っていた。

 

フランクである。

ロスの計略に堕ち、殺されかけたフランクは、ロスの企みとは露知らず、自分はマイケルの企みで殺されかけたと誤解。逆恨みしていた。

フランクは議会の司法取引に応じ、公聴会でマイケルの悪事とファミリーの関係を暴露しようとしていた。

 

しかしマイケル側は、事前にその情報を察知。フランクの証言を阻止すべく、イタリア本土にいるフランクの実兄を公聴会の席に呼び出す。

公聴会の席で兄を見つけたフランクは、自分の一族がマイケルに手玉に取られた事をしり、議会の証言を拒否。

事前の証言を覆し、公聴会を台無しにしてしまう。明らかに、マイケル側の作戦勝ちだった。

 

公聴会後、ケイがマイケルに別れを告げた。ケイはもう、マイケルの許にいたくないと告げ。

ケイは息子アンソニー、姪のメアリー(コリーの娘)をマイケルに預け、マイケルの許から立ち去った。

前述したがこの時ケイは、流産ではなく、堕胎した事をマイケルに告げた。マイケルは怒りのあまり、ケイに平手をくらわした。

 

再びビットの時代に

 

映像は再び、ビットの若かりし時代に移る。

ニューヨークで成功を遂げたビットは家族と供に、母国シシリー島のコルレオーネ村に凱旋する。

家族と一緒に村を観光後、ビットは嘗て自分の家族を殺害。自分を葬ろうとした地元のドン・チッチオを訪ねた。

 

表向きの訪問は、実業家としてアメリカ本土からイタリアにオリーブ油の輸入の許可を得る為であった。

しかしビットの本当の目的は、昔自分が受けた屈辱の復讐だった。

ビットはドン・チッチオの護衛の目を掻い潜り、殺害。積年の恨みを果たした。

復讐後、ビットはアメリカに帰国する。

尚、前作でアメリカ本土から逃亡したマイケルを匿っていたトマシーノは、この時足を負傷している。

 

再び現代へ

 

マイケルの母カルメラ・コルレオーネが亡くなった。

母の死で家から出て行ったフレド、コリーが葬儀の為、マイケルの家にやって来た。 

母がなくなったのを機に妹コリーは、マイケルとフレドとの和解を提案する。

マイケルはコニーの前で、兄フレドを許す振りをする。マイケルは皆の面前で、フレドを抱き寄せ和解した様に振舞う。

しかしマイケルの本心は全く異なっていた。

 

フレドを抱きしめるマイケルには、ある決意が漲っていた。

それは嘗てコリーの最初の夫カルロが、コルレオーネ一家を裏切り、マイケルに粛清された時と同様に。

フレドを抱きしめた後、マイケルは非情にも、部下アル・ネリ(前作で警官の姿でバルジーニを射殺した男)を見つめる。

マイケルの目線は、フレドを始末しろとの合図。

 

マイケルは、トム・ヘイガンに自分を嵌めたロスの殺害計画。更にフランクの処遇について話合う。

ロスは母国イスラエルに亡命を求めたが、拒否されていた。他の国にも亡命を申請したが拒否され、再び米国本土に戻ってくる予定。

 

公聴会でマイケルを売ろうとしたフランクの許に、トム・ヘイガンが面会に訪れた。

トム・ヘイガンはフランクの家族の将来を確約した後、フランクに自殺を仄めかす。

フランクは納得、其の後自殺する。

 

マイケルの外出中、ケイが息子アンソニー、姪のメアリーの面会に来た。

ケイが別れ際、息子アンソニーに別れのキスを求めるが、アンソニーは母に別れのキスを拒絶する。

アンソニーの態度は、明らかに子供ながらも自分と父(マイケル)を見捨て、家を去ってしまったケイに対する反抗ように思える。

さり気ない行動だが、ふとアンソニーの意思の強さを感じさせた。

フレドは何時ものようにアンソニーを伴い、ボートで湖に釣りに出かけようとする。

しかしコニーが何故か、アンソニーを引き留めた。仕方なくフレドは、アル・ネリと供にボートで釣りに出かける

 

一方ロスは米国に強制送還され、空港でFBIに拘束されるが、マイケルの命を受けた暗殺者が隙をみてロスを射殺。暗殺者はその場を逃走するが、FBIに撃たれ、あっけなく死亡する。

フレドとアルは釣りをするが、頃合いを見てアルがフレドを銃殺する。

湖に乾いた銃声がなり響いた。

 

ファミリーを裏切り、害をなす人間を全て処分したマイケルだったが、マイケルの表情は何か冴えず、心に虚しさだけが残った。

 

最後の回想シーンでビット・コルレオーネの誕生日(1941年12月8日)、コルレオーネ一家は幸せ絶頂だった。

皆がはしゃぐ中、マイケル一人だけが何故か冷めていた。

 

幾年が過ぎ、ふと周りを見渡せば、父を始め母、兄ソニー、フレド、カルロ、そして古参テシオの殆どのメンバーがいなくなった。

マイケルはファミリーを維持する辛さ、孤独を噛み締めた。

 

追記

 

前作との絡み、劇中に於いて時系列的に前後する場面がある為、前回も述べたが、なかなか一度見ただけで、理解するのが難しい。

更に登場する人物も入り組んでいる為、パート1、パート2を交互に見比べてみれば、理解し易いかもしれない。

公開時、まだビデオもそれほど普及していない時代であり、映画の内容を理解するのに骨が折れたと思う。

 

劇中では若き日のビット・コルレオーネの追想映像と並行して、現在のマイケルの話が同時進行している。

マイケルはビジネスでマイアミのドン、ハイマン・ロスに会いにいく。

時代背景を考えれば「ロス」のモデルは、当時フロリダを根城としたファミリーのドン、「サントス・トラフィカンテ」と思われる。

 

トラフィカンテと供に、当時シンジケートの中心的人物であった「メイヤー・ランスキー」も重ねている。

つまりロスはランスキーとトラフィカンテの二役を担わせていると思われる。

理由として、ロスがイスラエルに亡命しようとした際、拒否されている為。ランスキーはイタリア系でなく、ユダヤ系だった。

 

劇中でフィデル・カストロによるキューバ革命が描かれているが、革命前のバチスタ政権時代シンジケートは、ハバナにてカジノで大儲けしていた。

勿論カジノの他にも、麻薬ルートとしてもキューバは重要な拠点だった。その為、シンジケートはキューバの利権を取り戻す為に必死で、何度もカストロ暗殺を試みた。

 

カストロ暗殺は当時アメリカ政府中枢の考えとも合致していた為、米国大統領のしらない間に、米国政府中枢とシンジケートとのジョイント・オペレーションが存在した。

1960年大統領選挙で当選したジョン・F・ケネディーはその事実を知り、仰天した。

ピッグス湾事件でケネディーは、米国軍介入を拒否した。これが遠因となり、ケネディー暗殺に繋がったとも言われている。

 

ピッグス湾事件
CIAの支援を受けた亡命キューバ人が武装して、キューバ本島南岸のコチーノス湾に上陸した事件。3日間の戦闘の末、キューバ軍に撃退され、作戦は失敗に終わる。軍部はケネディー大統領にキューバ爆撃を求めたが、大統領は最後まで拒否した。その為、CIA・軍部はケネディーを憎んだと云われている。事件後、詰め腹を切らされたCIA・軍部の多くの大物が首を切られた。

 

尚、マイケルを裏切り、議会で証言しょうとした劇中のフランク・ペンタンジェリは、1963年米国上院マクレラン委員会にて証人として召喚され、マフィアの内幕を暴露した「ジョセフ・バラキ」がモデルと思われる。

尚、フランク・ペンタンジェリを演じたマイケル・V・ガッツォは、映画『ダーティ・ハリー4』でも犯罪組織のボス役を演じている。

 

ビット・コルレオーネが移民船に乗り初めに足を踏み入れたアメリカの地は、当時移民局があったエリス島。ヨーロッパからの移民は大概エリス島で入管・検疫審査を受けた。

 

劇中最後にてマイケルが嘗て家族が皆元気で、幸せの絶頂だった頃を回想するシーンがある。

しかし回想シーンではビット・コルレオーネ役のマーロン・ブランドは登場していない。

パート2でも登場するシナリオだったが、マーロン・ブランドはパート1で受けた契約に根を持っていて、パート2では、莫大な出演料を要求した。

その為、製作側と折り合いがつかず、製作側はマーロン・ブランドの出演を断念した。

 

同じ回想シーンで、前作で死亡した長男ソニー、カルロが登場している。

ソニー役を演じたジェームス・カーンは、パート1と同額のギャラを要求した。製作側もそのまま応じた。

 

前作でのコニーの夫カルロは、ソニーが連れてきてコニーに紹介した設定になっている。

しかし前作のパート1ではソニーはカルロに対し、何故か冷たく扱っている。

それを考えれば、何か今作品と多少のズレがあると思われる。

 

前作が1972年、今作品が1974年で既に40年以上経過しているが、全く映画の内容が色褪せていない。何度も見ても、新たな発見があり面白いと思うのではなかろうか。

 

(文中敬称略)