滑走路を歩くタイトルバックが印象的だった『Gメン75』

★大昔の毎週土曜日、子供には天国だった。

理由は、午後6:30からほぼ、TVに釘付けだった為。

 

午後6:30からアニメ『タイム・ボカンシリーズ』に始まり、『まんが日本昔話』、『クイズダービー』、『ドリフの8時だョ!全員集合』

そして9時からは俗に大人の時間と云われ、休みの前だけに許された唯一の、夜更かしタイムだった。

 

初めに

9時からは、少しだけ大人の気分に浸りながら背伸びして見た「Gメン75」。

流石にその後は子供には眠くなる時間帯だったが、ねむけ眼を擦りながら見た「熱中時代」

当時の子供には、まさに天国の様な時間だった。

 

流石に内容は殆ど覚えていないが、大人になり振り返れば、何故か一番子供には理解しがたい番組だった「Gメン75」が、不思議にもチラホラ思い出される。

今回はTV番組、「Gメン75」を取り上げてみたい。

 

実は私は、「Gメン75」を毎回見ていた訳でなく、飛び飛び見ていた記憶がある。

それは当時の家庭環境が影響していた。

当時我が家には、TVが一台しかなかった。その為、親の気分次第で子供は寝かされた。

 

更に「 Gメン75」の内容が子供にとり、ふさわしくないと親が判断した時、無理やり視聴を止めさせられた等、理由は様々。

 

おそらく皆さんも御経験があるかと思う。その為、開始当初の内容は殆ど覚えていない。

覚えていないと言うよりも、見ていないといった方が正解かもしれない。

 

今年5月の大型連休・お盆休みを利用して、久々にGメン75のDVDを見た。

今回は思いつくまま、「G メン75」について述べたい。

 

・題名         『Gメン75』

・プロデューサー     近藤照男、原弘男、樋口祐三

・構成          深作欣二、佐藤純彌

・製作          TBS、東映

・放送          TBS系列

・放送期間        1975年 5月24日  ~ 1982年 4月 3日(全355話)

 

作品概要

近年、稀にみる凶悪犯罪が多発。そこで警視庁は、警察中で既存の部署意外で凶悪犯罪を扱う部署を創設した。

黒木警視正の言葉を借りれば、「警察の中の警察」。主に特殊犯罪を扱うのが任務。

番組全般が初めのナレーションの如く、ハードボイルド的内容で物語が進む。

 

作品は巧みに当時の社会世相、社会問題、犯罪を取り組み、人間の醜さ・儚さ・やるせなさ・どうにもならない無常さ等、ふんだんに取り入れていた。

決してハッピーエンドで終わる事はなく、大概後味の悪い終わり方、解決後、視聴者に一考を促すような終わり方が多かった。

作風で言えば、小説では「松本清張」。映画では「黒澤明」に通ずるものがあった。

 

60年代の全共闘が終了。

70年代に入り、企業テロ・沖縄返還・よど号ハイジャック・ベトナム戦争終結等で、社会が動揺していた影響もあろう。

作品中にも、当時の出来事に関連した事件が暫し登場する。

 

話は大概、一話で終了。一話毎に出演しているメンバーの誰かが主人公となり、事件を解決する。

繰り返すが、一話一話のテーマが深い。今でも十分通用するテーマ。

 

人間社会の永遠の課題とも言えるテーマが、ふんだんに盛り込まれていた。

DVDに納められていた作品は、かなり完成度が高い作品を選りすぐったと思われる。

 

見所

中でも有名なのが、香港ロケを中心とした、香港マフィアとの空手使いとのアクションシーンが人気を博した。

後述するが、毎度お馴染みの香港のアクションスターが登場。

Gメンのメンバーと戦うシーンが、面白かった。

 

立花警部と恋人(片桐ちぐさ)が中心となり、凶悪犯「望月源治」と対決する「黒谷町シリーズ」も、かなり印象的だった。

このシリーズは、結構続いた。望月源治本人が死んでも、後に源治の兄弟が次々に登場。

挙句に、双子の源治本人も登場する有様。登場する人物は大概、立花警部に復讐する話。

 

作品が進むにつれ、警察内部・白バイ警官を主題とした作品が登場したように記憶している。

初期の頃、しばし犯人を演じた人物が、他の回でも犯人役として登場している。

結構似たような人物が犯人を演じている。

 

回数を重ねる毎に、初期の頃犯人役を演じていた人物が、刑事役として登場しているのが分かる。詳細は後程。

上記の二つのシリーズが私の印象が強かった作品だが、皆さんも殆ど同じではないかと思われる。

 

番組も回数を重ねる事にネタ切れに陥ったのか、徐々に視聴率が落ち、リニューアルという形で、一旦番組が終了する。

新たに「Gメン82」が放送されるも視聴率が全く延びず、すぐに打ち切りとなった。

最初から最後迄のメンバーは、Gメンのボス黒木警視正、警察内部の結城警視正ぐらいであろうか。

 

一話一話タイトルを調べ、出演者を調べてみた結果、かなりの大物俳優が出演していた事実が判明。

小林稔待、西田健、長門勇、夏八木勲、中原誠也、ジョニー大倉、阿藤快などが出演していた。

映画出身の俳優さんが多く、演技力は申し分なかった。

 

次に初代メンバーからの、歴代出演者を挙げてみたい。

◆初代メンバー

・黒木哲也警視(後に警視正): 丹波哲郎

・関屋一郎警部補      : 原田大二郎

・草野泰明刑事       : 倉田保昭

・山田八兵衛刑事      : 藤木悠

・津坂真一刑事       : 岡本富士太

・響圭子刑事        : 藤田美保子

・小田切憲警視       : 夏木陽介

 

私の記憶で「Gメン75」と云えば、「立花警部」が纏め役と思っていたが、開始当初はメンバーではなかった。

立花警部は当初レギュラーではなく、ゲスト出演という形で出演していた。

Gメンメンバーとして正式加入したのは、意外にも「105話」の香港ロケから。

 

立花警部と同じくして、中屋刑事も加わる。

DVDでたまたま立花警部が加入した話があったが、DVDも全ての作品を網羅している訳でない。

おそらく評判の良かった作品を選び抜いたと思われる。

 

私の好きなGメン史上最も凶悪で、立花警部の好敵手だった故蟹江敬三が演じた「望月源治」が登場する「黒谷町シリーズ」等は収録されていない。

推測するに、当時と現在の社会的事情を鑑み、問題があると思われるシーンが多いと判断されたからではなかろうか。

あまりにも猟奇的な映像が多かった。今の放送コードでは、確実に抵触するであろう。

 

開始当初の中心的人物だった原田大二郎も、僅か33話に出演したのみで、殉職と云う形で番組を降板している。

話に因れば、当時スタッフと折り合いが悪く、喧嘩した末の降板だった。

この手の話は昔から、映画でもTV等によくある話。

 

途中で殉職、職務上のミスでの配置転換などがあるが、長きにわたり出演していた刑事は、「202話」まで登場していたアクションが得意の草野刑事。

同じく「204話」まで登場した、山田刑事であろうか。

この二人が開始当初からのメンバーだったが、両名が消えた為、 Gメン創設以来の生え抜きが全員いなくなった。

 

関屋警部補は「33話」で抜け、「103話」で響刑事が抜ける。

次の「104話」では、立て続けに津坂刑事が殉職。

迎えた「105話」の香港ロケシリーズで立花刑事、中屋刑事、そして華を添える女刑事、速水涼子が加わる。

 

一度、メンバーを整理してみたい。

◆105話以降のメンバー

・黒木哲也警視正      : 丹波哲郎

・立花吾郎警部補(後に警部): 若林豪

・草野泰明刑事       : 倉田保昭

・山田八兵衛刑事      : 藤木悠

・中屋武刑事(後に警部補) : 伊吹剛

・速水涼子刑事       : 森マリア

・小田切憲警視       : 夏木陽介

 

このメンバー以降、番組の人気シリーズとなる「香港アクションシリーズ」が定番となる。

とくに活躍したのが、草野刑事。

草野刑事を演じていた倉田保昭は、香港ロケでスタッフの一員としても活躍。

ロケ地の交渉、通訳なども熟した。

 

本人談では、犯罪の巣窟と云われた九龍市街・路地などの撮影後、危険防止の為、出演者・スタッフ一団となって撤収したとの話。

当時、それほど九龍地区は、危険なロケ地だった。

 

香港シリーズで登場する肉体武闘派の役者(ヤン・スエ)は、倉田保昭ともプライベートでも仲が良い。

TVでは悪役だが、普段はとても優しく、人間的にも好人物との事(倉田保昭談)。

草野刑事は番組中、しばしヤン・スエと戦っている。

兄が死んだと思えば、今度は弟が出現。何度も香港コネクションの一味として登場している。

当時、ムキムキ筋肉マンのイメージ。

香港シリーズは草野刑事とヤン・スエの対決シーンが見物だった。

 

その草野刑事も番組上では日本人ではなく、実は戦争中、日本兵に拾われた中国人の赤ん坊の設定。

名は「汪雲龍」と判明する。

最後は日本と中国との懸け橋になるという理由で、Gメンから離脱する(202話)。

 

同じく初めての香港ロケで加入した速水刑事も、203話でインターポールに研修の名目で、Gメンを去る。

 

「205話」で新たに加入したのが、白バイ警官の田口刑事、 SP村井刑事、潜入捜査官の津川警部補の3名。

 

因みにSPで村井刑事の上司役を演じていたのが、小林稔侍。番組中、上司の刑事(小林稔侍)が殉職。

そのまま Gメンに加入する設定。

しかし結論から述べれば、村井刑事は何時の間にか、メンバーから消えていた。

 

それでは改めてメンバーを見てみたい。

◆205話以降のメンバー

・黒木哲也警視正      : 丹波哲郎

・立花吾郎警部       : 若林豪

・中屋武刑事        : 伊吹剛

・田口明夫刑事       : 千葉裕

・村井刑事         : 有希俊彦

・津川蛍子警部補      : 夏木マリ

 

しかし此のメンバーでは、製作側は物足りないと感じたのか。

香港シリーズの中心人物だった草野刑事が抜けた後、新たな香港シリーズ227話では島谷刑事、南雲刑事が加入する。

この時期に、前述した村井刑事は既にいない。

 

では新たに227話以降のメンバーを見てみたい。

◆227話以降のメンバー

・黒木哲也警視正      : 丹波哲郎

・立花吾郎警部       : 若林豪

・中屋武刑事        : 伊吹剛

・田口明夫刑事       : 千葉裕

・島谷和彦刑事       : 宮内洋

・津川蛍子警部補      : 夏木マリ

・南雲義明警視       : 川津祐介

 

「227話」は、アクション専門だった草野刑事がいなくなった後の、香港ロケシリーズ。

アクションは新しく加入した、島谷刑事が担当した。

 

今回の主役は新たに登場した島谷刑事を含む、3人兄弟に纏わる話。

ベトナム戦争で3人の兄弟が戦禍を逃れる途中、次男がはぐれ、時を経て3人の兄弟が香港で再会する話。

 

末っ子の弟は、香港に潜入捜査官として潜伏する。

生き別れた次男(兄)が生きていて、香港マフィアの一員となっていた。

その生き別れた兄に、潜入捜査官だった弟が殺害される話。

 

島谷刑事と同時に加入した南雲警視は、話が進むにつれ、あまり出番がなくなる。

「305話」以降、村井刑事と同様、何時の間に消えている。

警視という役職の為、Gメンのような現場捜査の場では、使いづらかったのかもしれない。

 

しばらくこのメンバーで進むが、「251話」で津川警部補は、Gメンを去っている。

津川警部がどうしてGメンを去ったのか、記憶が定かでない。

DVDにも収録されていない為、降板理由は謎のまま。

 

いま振り返れば、Gメンのメンバーで女性は一人しかいないが、結構主役になっている回が多い。

やはりTV的に、女性の方が視聴率が稼ぎ易かったのかもしれない。

 

「253話」では、Gメン4代目女性刑事「吹雪杏子」が登場する。

吹雪杏子は、 SPとして(要人警護)登場。

吹雪刑事は、妹と二人暮らし。妹は、交通課の婦警役。

尚、妹役は松田優作主演のTV番組「探偵物語」にも出演していた、竹田かほり。

 

余談だが、吹雪杏子を演じる「中島はるみ」が、どうしてGメンに出演する事になったのか。

たまたま番組スタッフが日テレ系の深夜番組「11PM」を見ていた時、当時カバーガールを務めていた中島はるみを一目で気に入り、事務所に電話をかけ、出演を依頼したとの事。

真偽の程は定かでないが。

 

それでは253話以降のメンバーを挙げる。

◆253話以降のメンバー

・黒木哲也警視正      : 丹波哲郎

・立花吾郎警部       : 若林豪

・中屋武警部補       : 伊吹剛

・田口明夫刑事       : 千葉裕

・島谷和彦刑事       : 宮内洋

・吹雪杏子刑事       : 中島はるみ

・南雲義明警視       : 川津祐介

 

私個人として此のメンバーが、一番記憶に残っている。

此の時期は、ほぼ毎週みていた(年齢が上がり、親も既に夜更かしを容認していた為)。

更に香港シリーズに代わる、新しい人気シリーズが誕生した。

 

それは前述したGメン史上最も凶悪で、残忍な犯人役が登場する「黒谷町シリーズ」

おそらくこのシリーズが、一番凶悪で恐怖に満ちたシリーズだったと思う。

今の地上波では、放送できないのではないかと思う程、猟奇的映像が多かった。

 

あまりにも猟奇的すぎた為、DVDに黒谷町シリーズは収録されなかったのではないかと推測する。

殺害の仕方・犯人たち(望月一族)が落命するシーンなどがあまりにも残忍で、当時子供だった私としては、恐怖でトラウマになる程だった。

 

今思い出しても、ぞっとする。

内容はうる覚えだが、殺害シーンはハッキリ記憶している。それ程、強烈な印象だった。

特に望月源治が巧みに凶器として手斧を操るシーンは、強烈だった。

 

偶に同世代の知人とGメンの話が出た際、皆は口を揃え、凶悪犯「望月源治」を演じた「蟹江敬三」を思い出し、恐怖を感じると述べた。

黒谷町シリーズで必ず登場する悲劇のヒロイン「片桐ちぐさ」は、望月源治に殺された立花警部の友人、片桐刑事の妹。

 

「276話」から望月源治が登場。手斧を巧みに操り、立花警部に迫る演技には、鬼気迫るものがあった。

流石の立花警部も苦戦、何度もやられそうになる。

必死の格闘で、ようやく望月を逮捕。望月を一度は牢屋にぶち込んだ。

 

しかし地裁の係争後、望月は拘置所に運ばれる際に護送車を強奪。

追手の警官に追い詰められ、護送車と同伴した容疑者と協力。

川に飛び込み、逃走する。

 

望月は逃走後、自分を逮捕した立花警部に復讐する為、片桐ちぐさに近づく。

望月の逃走を知った立花は、黒谷町のちぐさの許に急ぐ。

しかし望月の魔の手は、間近に迫っていた。

 

片桐ちぐさを人質にとられ、立花は源治に苦戦する。

立花が望月やられる寸前、望月は自分が騙した女(逃走時、望月と一緒に逃げた男の姉)に刺され、女諸共、崖から落ちて絶命する。

望月源治本人は、この時死亡する。

 

しかし後に源治の兄である「亀造」、弟の「辰男」、更には源治の双子で生き別れた「柿崎源造」まで現れ、立花に復讐を果たそうとする。

 

此処までくれば、流石に粘着質な兄弟というか、演出が過ぎる感がある。

因みに蟹江敬三は「望月源治」を演じる以前、何度も犯人役として過去の作品に登場している。

 

譬えを挙げれば「13話」の名作と名高い『バス・ストップ』にて、テロリスト役で出演。

同じ作話で、潜入捜査官役を演じた中原誠也(望月に殺された、片桐ちぐさの兄)も登場している。

 

黒谷町は設定では長野県となっているが、実際に黒谷町は存在しない架空の町。

撮影は東京都の五日市、奥多摩周辺で行われた。

Gメンは都会の犯罪を扱うと云うイメージがあるが、黒谷町シリーズは何か都会の喧騒から離れた、田舎のイメージがあった。

それが反って新鮮味に感じさせ、犯罪の凶暴さを印象付ける結果になったのかもしれない。

 

「黒谷町シリーズ」は「香港シリーズと」並び、印象深いシリーズだった。

このメンバーの転機は、「306話」。事件の失態で、一挙に3人の刑事が、Gメンを去る。

番組を去ったのは、燻し銀の活躍をみせていた中屋刑事。若手だった、島谷刑事と吹雪刑事。

 

「307話」から、新たな刑事が加わる。

いま気づいたが、新旧の刑事が入れ替わる際、必ず国際的な犯罪を絡ませ、交代させている事が分かった。

今回の舞台は、シンガポール。

 

シンガポールで新たに加わる刑事は、草鹿刑事、マリコ・寺岡刑事、賀川刑事、津村刑事。

4人が加わり、その中の女性が3人。テコ入れの為か、一挙に華やかになった。

 

では例の如く、新メンバーを見てみよう。

◆307話以降のメンバー

・黒木哲也警視正      : 丹波哲郎

・立花吾郎警部       : 若林豪

・田口明夫刑事       : 千葉裕

・草鹿刑事         : 鹿賀丈史

・津村冴子警部補      : 江波杏子

・賀川陽子刑事       : 范文雀

・マリコ・寺岡刑事     : セーラ・ローエル

 

此処までくれば、流石に突っ込みたくなるメンバー。

津村警部補を演ずる江波杏子、賀川刑事を演ずる范文雀は、以前から犯人役やゲストとして登場していた。

その為刑事役で登場した時、あまり新鮮なイメージが湧かなかった。

一度ついた役のイメージは、なかなか拭い去る事が出来ない典型かもしれない。

 

前述した「望月源治」も同じ。

諄いようだがGメン以降、蟹江敬三をTVで見た際、必ず望月源治が頭に浮かんだ。

因みにマリコ・寺岡刑事は、いつ降板したのかは分からない。詳しい説明はなかった。

いつの間にか、シンガポールに帰国。降板していた。

 

マリコ・寺岡刑事がシンガポールに帰国後、田口刑事もFBIに研修の名目で降板している。

そしていよいよ最後と思われる最終メンバーは、以下の通り。

◆331話以降のメンバー

・黒木哲也警視正      : 丹波哲郎

・立花吾郎警部       : 若林豪

・草鹿刑事         : 鹿賀丈史

・古田刑事         : 谷村昌彦

・風間刑事         : 藤川清彦

・津村冴子警部補      : 江波杏子

・賀川陽子刑事       : 范文雀

 

このメンバーが最後と思われ、最終回の「355話」まで続く。

古田刑事を演ずる「谷村昌彦」さんは、犯人役でも登場している。

風間刑事は主役の回がなかったと記憶している。

 

番組最後の頃、男性刑事には名前すらついていない。

草鹿刑事、古田刑事、風間刑事には名前がない。

しかし女刑事には何故かフルネームでついているのが、魔訶不思議。

 

おそらく此の頃になれば、スタッフもかなり杜撰だった。

そろそろ、打ち切りの話も出始め、製作意欲が落ちていたのかもしれない。

私自身も以前はあれほど楽しみにしていたGメンだったが、私もこの時期になれば殆ど記憶にない。

見ていても、印象に残る作品が少なかった。

タイトルを眺めても内容が思い出せず、惰性で見ていた。

やはり7年も続けていれば、視聴者もマンネリ化を感じ、聊か飽きがきていたのかもしれない。

 

開始当初は「人間の心の襞を抉る」というか、人の琴線に触れる作品が多かった。

しかし最後の方は、ネタ切れとも思われる節があったと記憶している。

どのTV番組でも言えるが、どれだけ人気があった番組も、最後は人知れずひっそり終わる事が多い。

 

以前も述べたが、漫画も同じ。最後は人知れずひっそりと、いつの間にか終了している。

爆発的人気があった漫画等も例外ではない。

 

嘗て人気があったが、次第に人気凋落。ただ惰性で続けていた漫画の最終回は、大概覚えていない事が多い。

例えば「こち亀」「ドラゴンボール」「キン肉マン」「奇面組」等も、何故か最後の印象が薄い。

人気が凋落した作品の、宿命と云えるかもしれない。

 

以上が、私のGメン75に関する感想。

幼少の頃に見た際、かなり衝撃的だった。難しい乍も、少し背伸びをして大人の世界に触れた様な感覚だった。

人として成長していく過程で、何か貴重なものを教えてくれたのかもしれない。

下手な小説を読むより、為になったと思う。

登場する刑事の非情なまでの、事件に対する執念のようなものが感じられた番組だった。

 

刑事達の纏め役、立花警部の冷徹なまでの厳格さ。

上司として刑事達の成長を、温かく見守るボスの存在。

二人の傑出した存在が、Gメンの特徴をよく示していたと思う。

 

同時期に流行った刑事物の様な派手なアクション・銃撃シーンはあまりなく、或る意味、最も現実に沿った作品だったと言えるかもしれない。

そんな思いがする番組だった。

 

追記

タイトルでも述べたが、オープニングとエンディングで刑事役の役者が、淡々と滑走路を歩くシーンが印象的だった。

オープニングの映像と供に、オープニングの曲とナレーションが、Gメン75のイメージを強くしている。

映像と音楽は、今でも目と耳で記憶している。

 

エンディングが、度々変わっている印象だった。調べてみた結果、僅か一回で終了している回もあった。

数えた結果、全9種類のエンディングが存在していた。

 

歌い手が違うのみで、同じ曲が使われている回もあった。

印象深い歌い手として、「しまざき由理」が挙げられる。

しまざき由理は、当時まだ二十歳前後だったのが驚き。

彼女は、アニメ主題歌「ハクション大魔王」「みなしごハッチ」等も歌っていた。

 

第一話「エアポート捜査線」をDVDで見たが、全く記憶になかった。再放送でも見た記憶がない。

劇中、刑事達が車で犯人が乗ったモノレールを追跡するシーンがある。

あのシーンは、おそらく映画『フレンチ・コネクション』を真似たもの。

時代的に、映画の方が早い。スタッフの誰かが映画を見て、真似たものと思われる。

 

因みに、同回で登場する草野刑事を演じる倉田保昭さんが容疑者を追跡中、容疑者が運転するバスに飛び乗るシーンがあるが、あれはおそらく映画『ダーティ・ハリー』を真似たもの。

 

たまたま以前TVで、初期Gメンのメンバーが同窓会をする番組を見た。

出演していた藤田(女刑事役)さんが、「あのシーンはどうやって撮ったのか不思議だ」と漏らしていたのを覚えている。

おそらく、ヘリコプターからの空中撮影ではないかと推測する。

 

スタッフ構成に、深作欣二が加わっている。

その為であろうか、この時代のTV番組は映画並みに内容が濃かった。

 

既に終了してから30年以上経過している為、鬼籍に入った方も多く見られる。

主な出演者の中で、丹波哲郎、藤木悠、夏木陽介、谷村昌彦、江波杏子、范文雀、蟹江敬三、阿藤快、長門勇など。

それだけ長い年月が経っているのかと、しみじみ感じた。

 

因みに、冒頭のGメン75のオープニングシーンは、「自衛隊館山基地の滑走路」で撮影された。

 

勿論、75という文字はなく、撮影の為わざわざ書かれた。

 

 

(文中敬称略)

 

追伸

令和3年5月18日、デアゴスティーニ社から、隔週刊で『Gメン75』、全355話を収録したDVDが発売される事になりました。

 

今迄、見る事の出来なかった作品も、見る事が可能になります。是非、参考にされて下さい。

リンクを貼って於きます。

参考:https://deagostini.jp/gmd/

 

リストを確認しました処、私も改めて見たい作品が幾つかあります。

全てとはいきませんが、何冊かは購入したいと思います。

(令和3年7月25日付)