最近、各年金についての記事を読み、簡単にまとめてみました
最近、何かと目にする各年金制度の見直し記事。
記事に目を通して思う事は、以前から繰り返し述べているが、
「年金制度はどの世代も不公平感が強く、決して誰もが満足していない制度」と言える。
実は既に破綻しているのではないかとも云われている。その理由を改めて述べたい。
目次
各年金制度の見直しの改悪について
以前「地方議員年金」「老齢基礎年金」にふれたが、「厚生年金」については、簡単にふれた程度。
今回は厚生年金について簡単に述べたい。
最近とくに話題となっているのは、厚生年金の「第3号保険者制度」「配偶者控除」の2点に絞れるかと思う。
今回ブログを書くにあたり、自分の手元にある資料を調べてみた処、意外や意外。
上記2点の問題は今に始まった事ではなく、資料では既に9年程前にはマスコミに登場。
8年前の2011年には政府の公式見解としてマスコミに発表されていた。
皆さんは2010年~2011年の政権を覚えているでしょうか。
当時の政権は「民主党政権」。
もう一つ忘れてはならないのは、2011年と言えば、3月11日「東日本大震災」が発生した年。
現政権は自民党ですが、現改革案と8年前の改革案が同じと言う事。
正確に言えば「改革ではなく」、「改悪」と言った方が良いかもしれない。
理由を下記にて述べたい。
そもそも2点とは何、と思われる方もいるかもしれない。
詳しく説明すればキリがないので、簡単に概略のみ説明したい。
厚生年金第3号保険者制度、配偶者控除とは
厚生年金第3号保険
厚生年金第3号保険とは、サラリーマン・公務員の専業主婦が夫が払う厚生年金等の保険料の半分を払ったと見做し、夫に支給される厚生年金の金額の半分を妻の基礎年金に上乗せする仕組み。
つまり保険料を払わなくても、基礎年金を受けとる事ができる制度。
これをが厚生年金第3号保険者制度と云われる。
昔から専業主婦優遇措置と言われ、働く主婦から不公平感があり、批判されていた。
第3号保険者の基礎年金の原資が、共働き・単身者の納めた保険料から出ている為。
第3号保険者が増えたのは、理由がある。後ほど詳しく述べたい。
配偶者控除
控除の対象となる配偶者の年収上限が103万円以下である事。
103万円以下の配偶者がいれば、夫の年収から38万円、住民税で33万円を差し引き、税負担を軽くする制度。
その為、働く主婦は103万円を超えないように調整して働いている。
記事に因り、130万円を始め、「150万円」「201万円」もあり。
記事次第で、態とわかりにくく書いてあるのも存在する。
政府の見直し案では、「103万円から130万円」に伸ばしたい意向。
130万円に増やす事で、現職場での労働時間が増え、雇用者側にすれば、約一か月「2万円強(27万円÷12ヵ月)」の雇用時間が確保できるとい言う事。
後述するが、2016年10月の社会保険料負担が「106万円」に下がる事で、実現は難しい。
現行制度では主婦が年収130万円以上働けば、自らが健康保険、公的年金を負担しなければならない。
その為、明らかに逆転現象が起こる可能性あり。
主婦自らが健康保険、公的年金を負担するという事は、夫の扶養から外れるという事。
厚生第3号保険者から外れる事を意味する。
これは結構、難しい選択。
一度扶養を離れた場合、復帰がなかなか難しい。
復帰の際に、夫の会社での立場もあろう。
今の時代と異なり、男性の育児休暇はおろか、女性の育児休暇なども認められなかった時代。
正社員のサラリーマンの夫と結婚した場合、女性は退社するしか選択肢はなかった。
一度結婚すれば、離婚も難しかった時代。
今は逆に働いていない主婦の方が、珍しい。
1980年代の日本経済が良いとされていた時代ですら、少しでも家計の足しにと働く主婦が増えた。
現在の働く主婦は、1980年代の働く主婦とは少し様相が異なる。
家計の足しにとの目的は同じだが、今は働かざるをえない状況になった。
如何に社会情勢の変化が、大きく影響している。
1980年代のバブル経済を経て、1990年代初頭にバブル経済が弾けた。
弾けた結果、今までモデルとされて来た、人生設計の多くが見直しを迫られた。
見直しの最中、多くの主婦が家計を助ける為、いやが上でも働かなければならなくなった。
右肩上がりの時代であれば、専業主婦でも可能であったが、右肩下がりの状態であれば不可能な時代へと変化した。
1990年代に正社員として働いていたが、結婚を機に退職。
出産を経て、新たに働きだした主婦がいると思われる。
しかしその主婦の大半は、退職前の職場・同じ待遇にて、再就職している人は少ないと思う。
それだけ再就職にはリスクが伴う。
過去自分たちが専業主婦を作り出す制度を奨励し、時代の変化に伴い、社会情勢の変化で働く主婦が増えた。
しかし今は逆手に、自分たちがつくった制度を残すべきではないと言い出す有様。
言葉は悪いが「盗人、猛々しい」とは、此の事であろうか。
バブル経済破綻後、日本経済が被ったダメージは大きい。多くの人間が影響を受けた。
第一次就職氷河期、証券会社損失補填問題、金融ビックバン、不良債権処理問題、住専問題、ゼネコン談合など、今までの問題が一挙に噴き出した。
潰れる企業、リストラ、新卒の就職難などで人生設計に狂いを生じた人間も多かったと思われる。
丁度その頃、私は新卒で就職に苦労したクチ。
一方、政治は1990年代、政治家の離合集散を繰り返し迷走を重ね、権力闘争に明け暮れ、全く有効な政策を実行しなかった。
丁度この頃、あぶれてしまった人間が、今日の少子化問題、年金未納・徴収額減収に直結する。
俗に言う「見捨てられた世代」「失われた世代」「損した世代」「損し続ける世代」。
私が年金制度に知識を深めたのは、皮肉にもサラリーマンを辞めた30代の頃。
サラリーマン時代は給料から天引きされていたので、自覚はなかった。
20代等は猶更、自覚なし。所詮、年金の事など、遠い将来の話と思っていた。
※2018年、総務省統計局の調べ
現労働人口の約4割近くが、非正規社員。2018年の段階で労働人口約5596万人中、非正社員は約2120万人。約37.8%にあたる。
大概、非正規と云えば、中小企業が多いと思われがちだが、何気に東証一部上場企業にも多いのも事実。
私は現在フリーランスの仕事をしているが、フリーでの仕事がない期間、バイトをする時期がある。
3年程前の2016年頃、某一部上場企業でバイト扱いで働いた経験がある。
この時、実際に体験した出来事を述べたい。
意外な盲点
2016年10月、厚生年金保険と健康保険の加入対象が拡大された。拡大の要点を記せば
①所定労働時間が「週20時間以上」
②月額賃金8.8万円以上
③雇用期間1年以上見込み
④学生は除外
⑤従業員規模501人以上の企業
東証一部上場企業ならば大概、当て嵌る。
しかし法律というものは、必ず抜け道がある。
当時私が勤めていた会社が利用した抜け道は、
簡単に言えば、上記の条件を二ヶ月連続で満たさなければ良い。
一か月目は、限界まで働かせ、二ヶ月は殆ど働かせないといった状態。
これが今回改正後の法律の抜け道。
私の場合、初めは会社側も正確に調整していたが、徐々に杜撰になった。
最後は煩わしくなったのか、半年後、杜撰な計算で二ヶ月連続で条件を満たしてしまった。
その結果、次の月に退職する羽目となった。
私の場合、主婦でなかったので配偶者控除の調整を考えなくて良かったが、主婦の方は何気に大変だったと思う。
自らが加入する事で、手取りが減る可能性がある為。
夫の扶養から離れてしまう可能性もある為。
配偶者控除の調整を考えて働くなど、それなりの抜け道があると証明された事になるだろう。
政府としては保険料徴収拡大を狙ったのだろうが、まさに「笊」。
政府は配偶者控除の額を超え、主婦から保険料を徴収する事が目的であるとの狙いが透けて見える。
実は妻が夫の扶養から外れるのを望んでいる組織もある。
それはズバリ、夫が勤めている会社。
夫が勤めている会社としては、配偶者控除から除外となる事を望んでいるかもしれない。
何故かと言えば、会社員が加入する厚生年金基金は、殆ど赤字状態、中には解散する企業もある。
非正社員・パートバイトが増えれば、維持できなくなるのは当然の事。
一度夫から扶養を外れた場合、再度条件を満たしても再加入はなかなか難しい。
世間と言うものは、一旦対象から外れた際、再び対象者としてすんなり加入させてくれるかと言えば、なかなかそうもいかない。
必ず何かしらのトラブルが発生するのが世の常。
何度も出たり入ったりすれば、夫の会社としての立場も気まずくなる可能性もある。
総務課には心象は良くない。
現実に妻が扶養から外れても、妻の職が決して安定しているとは限らない。
余程の特殊能力・専門知識・スキル等を待ち合わせていない限り。
職が安定していない為、夫の扶養から外れるのはなかなか難しい選択と思われる。
これを考えれば、あまり意味のない改革とも言えよう。
終身雇用の崩壊
最近、経団連の会長が「終身雇用は維持できない」と初めて明言。話題となった。
同様に先日、トヨタの社長も今後の終身雇用維持は難しいと公言している。
これは経団連会長=トヨタ社長の発言と思って間違いないだろう。
今年に入り話題になった、一流企業の45歳以上のリストラ等は象徴とも言える。
財界が終身雇用は難しいと公言する中、政府は逆行する様な形で、年金支給年齢を65歳から70歳の引き上げを検討している。
更に再雇用・定年延長を奨励している。まさに矛盾極まりない。
同じく、老齢基礎年金の見直しを検討しているのも矛盾と言わざるを得ない。
資本主義下で、「人・モノ・カネ」の価格は需給で決まると云われている。
現在、ここ数年の景気の良さと少子化で、人件費が高騰した。
高くなった人件費を如何に安くすればよいか。
答えは簡単。
「労働者を増やせば良いだけ」。
政府・財界の考えは、人を増やせば、需給の関係で人件費が安くなると考えているとも思われる。
人件費を安くする狙いは、見事に政府と財界の考えは一致している。
非正社員でなく、安い賃金で雇用するが故、成り立つ商売が数多く存在する。
安い人件費が必要な業界と言えば、単純労働・長時間労働・職場環境があまり良いといはいえない仕事。
具体的に明記こそしないが、凡その検討がつくと思う。
外国人労働者の受け入れの問題は、既に8年前の当時の経団連会長「米倉弘昌」氏が、
「将来的に移民の受け入れも検討すべきだ」と述べていた。
但し当時は、「単純労働者ではなく、当面は専門的な知識を持った人に限るべき」としていた。
今年4月、外国人労働者の受け入れは拡大された。
しかし受け入れが拡大されたのは「専門的知識の人ではなく、単純労働者が必要な業界」だったと言える。
いつの間にやら状況が変わり、なし崩しになったと言ってよいだろう。
因みに外国人労働者の受け入れ拡大は、与党の自民党ばかりでなく、野党も以前から賛成していた事実も付け加えておきたい。
野党の場合、今回の自民党の受け入れ問題の時期と手続きの条件が、不備であるとの理由で反対していただけ。
大方移民政策には賛成していた。
将来的に拡大した際、外国人労働者の年金問題が噴出してくるのは、ほぼ間違いないだろう。
年金制度の限界
各年金制度の見直しが行われた8年前と云えば、同年に「地方議員年金廃止」も2011年に実施された。
廃止の検討は、過去の自民党「小泉政権」時にされていたが、実施されたのは「民主党政権」時代。
結局、自民も民主も年金問題に関し、大差はない。
民主党は自民党政権時の年金の杜撰さを訴え、年金改革を大きな公約の一つとして、政権交代を成し遂げた。
当時「ミスター年金」と云われ、年金に詳しい議員が政権交代後、大臣となった。
しかし就任後、全く何もできなかった。
皮肉にも、年金改革は既に不可能だと証明された。
更に8年前は「東日本大震災」が発生した時。
政府・事務方は「財源カット・縮小」と言う口実が使え、都合が良かった。
繰り返すが、各年金制度は既に破綻しているのが分かる。
何故なら今の年金制度を最も支えている世代が、「40代前半~40代後半世代」。
この世代が現在、最も労働人口分布が多い世代。
この世代は所謂「団塊二世」と云われる世代。
現在一番年金を支えている世代にもかかわらず、各年金制度が悲惨な状態。
3年程前であろうか。政府が年金納入期間を25年から、10年に短縮したのも。
実はこれも全く同じ論理。
年金は20歳以上の男女であれば、必ず納めなければならない。
20歳から25年間納めれば、丁度45歳になる計算。
言われた人間にすれば、私たち世代はしっかり25年間年金を納めさせ、後の人間は僅か10年間納めれば良い。
私達世代の半分以下の期間で良いとなれば、文句の一つも言いたくなるだろう。
鋭い方はもうお分かりか思うが、私は団塊二世であり、私は年金制度に関し常に損をし続けている世代。
他の世代の方にも言い分はあるだろう。
何度も述べているが、年金は世代間で必ず不公平感があり、決して誰もが満足していない制度だと。
これを考えれば、各年金は一度全て解体し、新たに作り直すしかないと思う。
作り直し、新たに入りたい人だけ加入すれば良い。
勿論、今まで掛けた金額は全額、個人に返還する事を大前提として。
例えるならば、家が古くなり、修繕・継ぎ接ぎばかりしているが、既に家の根幹が持たない状態。
一度全て壊し更地にして、新たに立て直した方が余程、効率的と思われる。
年金も同様。ゼロにして始めた方が早い。
制度・法律と言うものは、できた当初は素晴らしいが、年を重ねる毎に時代にそぐわなくなり、見直しが必要になると改めて感じさせられる。
年金に限らず他にも、各組織の利権となり果てて意味のなさない制度・法律が多々、存在する。
各年金制度の行く末
私自身、既に年金は当てにしていない。
支給されなくなるか、譬え支給されても今より更に減額されると予測。
減額された支給額では、到底生活できないと推測する。
金融庁が「人生100年、自己資金設定」と述べたのもあながち、間違ってはいないと思われる。
諄い様だが、人間は自分が絶頂期・安定期の時、全く不安な点など気づかない。
たとえ他から言われても、決して耳を傾けないし、自覚もしない。
嘗て自分もそうだった。気づいた時には、既に遅かった。
年金は始めた当初は、確かに素晴らしい制度だった。
しかし時代と供に変化を遂げ、又社会情勢も大きく変化した。
その為今では、全く時代にそぐわない制度となった。
最初に加入していた人が得をして、後になればなるほど、損をする。
今では制度を維持するだけが目的ではないかとも云える。
年金自体が所謂、「自転車操業」の状況。
此れは何かに似ている。
此れは実は昔から存在した、「ポンンジスキーム」といわれる類のもの。
もっと簡単に言えば、「マルチ商法、ネズミ講」とも言えなくもない。
年金の場合、国が運営している為、信用があるように思えるが、実体は左程変わらない。
今後も年金問題は、注意深く見続ける必要がある。
あまり表立って議論されていないが、皆さんも薄々感じているのではないだろうか。
年金が払えなくなればどうすれば良いか。払う対象を少なくするしかない。
どうすれば少なくなるか。支給される人数を減らせば良いだけ。
具体的に述べれば、老人の人口を減らせば良い。
老人の人口をどうすれば減らせるのか。
減らす方法は、
①医療に格差をつける事。
つまり諸外国と同様、個人資産により、医療が受けられる人、受けられない人に振り分ければ良い。
話せば長くなる為、詳細はまた別の機会に譲りたい。
もう一つは
②「安楽死」の検討・法令化。
対象世代は当然、団塊二世。私自身が丁度その世代に当たる為、如実に感じる。
私が述べた「見捨てられた世代」と述べたのは、あながち間違ってない。
本当につくづく、損な世代だと実感する。
早速、ネット上で政府金融庁の発表を擁護する御用学者・評論家も見かけるが、記事を読むかぎり大事な論点をぼかして書いてあるにしか思えないものがチラホラ見かける。
記事を書く立場で、物の見方が変わる典型。よく見比べてみれば、面白いかもしれない。
如何に人により、物事は都合よく解釈されるのが分かる。
一つ例を挙げれば、或るコンサルタントの意見によれば、要点だけ述べれば、
これこそまさしく、今まで政府側が年金財政が悪化してきた時の言い訳。
政府の代弁者に過ぎないと、つくづく呆れる。
月単位の支給単価が低ければ、平均寿命が延びようが、延びまいが全く関係ない。
そもそもこれ迄、政府の杜撰な計画で年金が運用されていた為、今日の悪化を招いたのではないかと主張したい。
国民は既に疲弊している。
これ以上疲弊し食えなくなれば、それこそ江戸時代末期に多発した、「一揆」「打ちこわし」等が起こる可能性も決して少なくない。
「早急な年金改革が望まれるべき」と、切実に思う。
(文中敬称略)