看板は変えたが、所詮中身は同じ。「朝三暮四」の高市政権

皆様、朝三暮四という言葉をご存じでしょうか。
要は品形を変えても、実は中身は変わらないということ。
今回はその話をしたいと思います。
看板は変えたが、中身は変わらないもの
本来この時期は毎年、一年を振り返る事案を書くが、敢えて述べる必要がある為、変更した。
目次
憲政史上、初の女性総理誕生
令和7年10月21日(火)、憲政史上、初の女性総理が誕生した。
女性の総理の名は、高市早苗。奈良県第1区選出。初当選が1993年。当時は無所属だった。
何故詳しいかと言えば、私はこの頃東京にいた。当時学は学生だった。
その数年前、深夜放送の或るTV番組で高市氏は司会をしていた。
つまり高市氏は選挙に出馬する前、TV番組のに出演していた。今にして思えば、本人には黒歴史かもしれないが。
因みに、高市氏と一緒に立憲民主の蓮舫氏も司会をしていたことを付け加えておく。
何はともあれ、その高市氏が第104代内閣総理大臣に就任したことに私は驚きを隠せなかった。
正直に言えば、「まさかあの人が」という心境だった。
期待した高市総理だったが
高市総理は就任するや否や、今迄低迷していた前内閣支持率を回復。現在(12月末)でも、高支持率を維持している。
それだけ国民が期待している証拠であろう。私も高市政権が誕生した当初は期待した。
そんな高市政権だが、11月臨時国会が始まり様々な法案が審議・成立するにつれ、私は希望から失望に変わった。
何故そのような短期間で失望したのかと言えば、次の章で簡潔に述べたい。
高市政権は所詮、今迄の政策を踏襲したのみ。
タイトルを見て頂ければわかるが、今回の臨時国会で高市総理が決めた政策は、
過去に自民党が実施した政策の焼き増し・焼き直しに過ぎないということ。
今回の政策の目玉は大きく分け2つに分けられ、一つは子育て世代の優遇。
二つ目は経済政策に分けられる。
では簡単だが、一つ目から見ていこう
子育て世代の優遇
先ずは、高市政権は18歳までの子供ひとりにつき、2万円支給するとのこと。
因みに今夏の参議院選挙前、当時の石破内閣は今年の12月を目途に、国民一人当たり2万円給付すると公約に掲げた。
その時私は、絶対齟齬にされると予測した。所謂、選挙前の人参としか思わなかった。
もし給付するのであれば選挙前に国民の支持を得る為、給付すべきだった。
更に12月というのも、私が齟齬にされるであろうという予感に拍車をかけた。
いま12月だが、大概12月は年の瀬で国民全体がバタバタしている時期、夏の空手形など、殆ど覚えていない。
当時の石破総理もそれを狙ったのであろう。しかし公約に掲げたにも係らず、政府与党は惨敗した。
石破総理の後を継いだ高市氏は、就任早々、給付金を否定した。
結局、石破総理だろうが高市総理だろうが、給付する気は全くなかったと言ってよい。
予測通りといった処だろうか。やはり国民は政府与党に騙されたということになる。
その代わりに出たのが、前述した子育て世代で18歳までの子供ひとりにつき、2万円支給するという案。
一件よさそうに見えるが、子供がいない家庭、子育てを終えた世代には何のメリットもない。
更に勘が鋭い人であれば分かると思うが、この政策はどこかで見たことがないだろうかと気づく。
そうです。これは1999年に実施した、「地域振興券」。
地域振興券という名で当時の小渕政権は、15歳以下の子供がいる家庭に一人2円分の商品券を配布した。
受け取った家庭は、約3107万人が受け取ったとされているが、効果は限定的だった。日本経済全体の活性化には繋がらなかった。
政府は又同じ愚行を繰り返そうとしている。地域振興券の時もそうだったが、単なるバラマキであり効果はあまりないと思われる。
以前ブログにて「GO TO トラベル」のクーポン券の話をしたが、地域振興券などの「~券」の類は頗る業者には評判が悪い。
何故なら、クーポン券などは換金する為に、手続きが面倒。更に現金化するまでにタイムラグがある。
大手であれば資金が豊富だが、中小企業であれば回転資金の関係で、できるだけ早く現金化したいのが本音。
私の知り合いも地域で商売をしていたが、本音は地域振興券などの類は、あまり扱いたくないと愚痴を漏らしていた。
因って子育て世代には一時給付金となるかもしれないが、それ以外の国民にはあまり恩恵はない。
分娩費用の無償化
これも高市政権にて出た案件。出産に関わる分娩費用を自己負担をなくす方針。
要するに、分娩費用を公的医療保険で全額賄うという考え。その代わり、子どもが生まれた際に支給する「出産育児一時金」は廃止の予定。
これは臨時国会で可決されなかったが、来年の通常国会にて審議。早ければ2027年には実施される見込み。
従来出産は保険の適用外だったが、保険の適用で無償化となり、出生率を増やしたい考え。
しかしいくら出産費が無料となっても、出生率が増えるとは限らない。やはり生んだ後の育児負担が大きい。
育児の負担とは、具体的には年収と子育て環境の充実。これがなければ、出生率は増えない。
私が懸念するのは、この法案が施行された際、日本人以外で悪用する人がいるのではないかということ。
つまり保険の適用となれば、保険に加入している外国人にも、この制度が適用されるおそれがある。
現在問題になっているのが、外国人の公的医療保険の適用。外国人は約3カ月、日本に滞在すれば保険に加入できる。
昨今、この制度を利用し外国人が日本の高度な治療を受け、治療後、母国に帰国するケースが多発している。
要するに、医療のただ乗りと言っても過言でない。これは社会問題となっている。
これと全く同じ形で、出産にも利用される可能性がある。更に出産となれば、将来日本の国籍を持つことも可能。
出産に関しては、実に厄介になると思われる。
以上の二つが、今回の臨時国会でも高市政権の大きな柱となる政策であろう。
他にも子育て世代に優遇した政策はあったが、細かい為今回は省略したい。
これも過去に何度もあった経済政策
今回の臨時国会では経済政策の一環として、2026年1月~3月までのガス・電気の使用分の約7000円分を補助する政策を打ち出した。
これは1カ月ではなく、3カ月の合計で約7000円ということ。一か月で計算すれば、約2333円(端数を除く)となる。
これも過去に何度も実施された政策。別に目新しいことなど、何もない。
敢えて言えば、ガス・電気はインフラ。つまり、生活に必要なものであり且つ、とりっぱくれのない料金。
もっと簡潔に言えば人間が生きるの必需品。更に企業が生産活動をする上で、必要な費用(コスト)と言える。
つまり人間の消費欲求を満たす商品ではないと言える。
昨今の物価上昇に比べれば、さほど国民の個人消費に影響するものではない。
参考までに世界各国の経済指標はGDPだが、GDPに対する個人消費の割合は、約6~7割と言われている。
つまり個人消費が伸びない限り、その国の経済発展はありえないということ。
いくらガス・電気の補助をしても、個人消費が伸びなければ意味がないと言える。
因って、ただ最低限の経済政策をしたに過ぎないと言わざるを得ない。
ガソリン暫定税率の廃止
今回の臨時国会で決まったガソリン暫定財率の廃止だが、これも過去なんども俎上に挙げられていた。
私の古い記憶では2008年、当時福田内閣の際、廃止が議論された。
しかし結論を述べれば、当時の福田総理は本来廃止だった暫定税率を廃止せず、逆に財源を一般化した。
結局、国民には何のメリットもなかった。廃止されるはずの税が為政者(政治家・官僚)の都合で勝手に延長された。
税というものは一旦決まれば、名を変え品を変え、永遠の財源となることを私はこの時学んだ。
その後、為政者があの手この手で税を導入しようとする際、今後は永遠の税になるであろうと認識した。
今回の暫定税率廃止の議論は、本来であれば昨年に実施されなければならなかった。
理由は昨秋、当時与党だった自民と公明が総選挙の結果、過半数割れを起こした為。
過半数割れを起こしたにも係らず、何故廃止されなかったのか。
当時暫定税率廃止を唱えていた国民民主が、政権与党と政策協議の結果、ほぼ決まりかけていた。
しかし与党の巧みな国会運営の為、国民民主との政策協議が反故にされ、廃止には至らなかった。
結局、約1年遅れの廃止となった。繰り返すが、一旦税を導入すれば、なかなか廃止することができない典型。
役人は一度手にいれた利権は、絶対離さない。
政治家は選挙中は国民に調子のよいことを述べるが、選挙が終われば国民のことなど全く眼中にない。
当選後は、いかに官僚と仲良くなるかを考えるのみ。これは国民は確りと肝に銘じたほうがよい。
国民が注意しなければならないのは、暫定税率は廃止となったが、為政者は違った方法で暫定税率に代わる税の導入を検討する。
これは間違いない。又違った名目で、暫定税率に代わる税の導入を決めるであろう。
今時、お米券?
昨年から今年にかけ、米の値段が高騰。春先の予算審議にて問題となった。
もう既に記憶の彼方かもしれないが、当時の農水大臣(江藤議員)が、米価高騰に苦しむ国民の神経を逆なでするような発言をして更迭された。
更に米を生産する農家のデモ活動が実施された。
何も状況を知らない国民とすれば、米価高騰で儲かると思われる生産者が何故、抗議デモを行うのか不思議に思うかもしれない。
これは日本独特のシステムと言ってもよい。詳しく説明すれば、一つのブログが書ける為、今回は省略するが。
機会があれば、述べたいと思う。
これも結論を述べれば、只の利権に過ぎない。大方の察しはつくと思う。
更には、その集団に後押しされている議員のごり押し。
前述したが、「~券」と名の付くものは、大抵経済的効果は薄い。
あっても一時的。今回の「お米券」は、幾つかの自治体も難色を示している。
理由は、お米券は各自治体に負担をかける為。つまり各自治体に労力と費用がかかる為。
その為、各自治体から反対の声が上がっている。繰り返すが発券すれば、ほぼ実務は自治体に丸投げの為。
自治体とすれば、お米券の発行に費用がかかるとなれば、予想外の失費。
これも前述したが、1999年の「地域振興券」の時と同じく、あまり効果がないと予測できる。
プレミアム券も全く同じ。予算に余裕がある自治体であれば別だが、予算に余裕のない自治体は発券することすら困難。
譬え発券しても、使う側はメリットがあるが、使われる側はあまりメリットがない。
従って「お米券」や「プレミアム券」は発券しても、あまり意味がないと思われる。
これはあくまで私の感想だが、今回お米券の発行を提案している鈴木農水大臣は、若きにして抜擢され期待され就任したが、全くの期待外れだった。
理由は、若いが故にあまり世間というものを知らないと感じた。
経歴を見れば超エリート。東大法学部卒で農水省勤務。退官後、政治家に転身。現在僅か43才。
人がうらやむほどの経歴だが、それゆえ庶民の感覚など、殆どないのだろう。
地盤を見れば山形となっているのも驚いた。山形と言えば、私のイメージとすれば農業県のイメージが強い。
農業県出身でありながら、お米券の発想は如何なものかと思う。
実は私も、どちらかと言えば農業県に近い。祖父の代まで農家だった。
親の代で農家を廃業。現在は地方の中核都市に住んでいる。因って昔の伝手もあり、今でも市価より安い値段で米を手にいれることができる。
因って、お米券はあまり有難くない。
それと同じで大臣のお膝元である山形の県民も、お米券を貰っても有難くないのではないかと推測する。
つまり「農家がお米券を貰っても」という感覚。大都市圏に住んでいる国民であれば別であろうが。
結局、今回大臣に抜擢され自らが考案。素晴らしいアイデアと思い提案したが、あまりにも実態とかけ離れ世間から反対された。
しかし自らのプライドが赦さず、反って意固地になりごり押ししているようにしか見えない。
そこが残念なところだと思う。まだ若いということ。絵にかいたようなエリート街道を歩んだ故、今迄の路線から脱却できなかったと言えるだろうか。
結局、今迄の自民党政治と何も変わらない
前章の最後で鈴木農水大臣の評し、今迄の路線を脱却できなかったと述べたが、実はこのことは、農水大臣を任命した高市総理にも言える。
何故なら何度も繰り返すが、今回の臨時国会で決定された政策は、過去に行ってきた政策の焼き増し、或いは踏襲に過ぎない。
言葉こそ変えてあるが、実は従来自民政治が実施してきた政策と何ら変わりはない。
目新しい政策等、皆無に等しい。いずれも過去に実施されてきた政策や法案を決定したに過ぎない。
これが私が 看板は変えたが、実は中身はまるで変わっていない と述べる理由。
諺で表現すれば、「朝三暮四」と言葉が当て嵌まるであろうか。
諺の意味を説明する必要はないだろうが、簡潔にいえば、「上手く見せているが、全く変わっていない」ということ。
実はこれが今迄の自民の特徴。何か国民に良さそうな政策を実施するように見せかけ、替わりに別の政策を実施する。
結局、プラスマイナスゼロか、マイナスの可能性が高い。まさに従来通り。
国民には高市総理は好きだが、自民は嫌いという人が多い。党としての支持率が伸びないのが何よりの証拠。
最後はやはり、国民の監視
今回、色々始まったばかりの高市政権に対し私なりの意見を述べたが、臨時国会を見る限り、合格点には程遠い。
理由は、今迄述べた通り。期待した分、失望も大きかった。期待外れと言ってよい。
憲政初の女性総理誕生ということで何か斬新なアイデアが出るかと思いきや、従来の自民政治と全く変わらなかった。
臨時国会を眺めての判断だが、おそらく来年1月23日からの通常国会でもあまり変化はみられないであろう。
政権与党は高市総理の支持率が高いうちに、解散総選挙に打ってでようとの動きもある。
来年1月に通常国会が開催されるが、現在の衆議院は前総理だった石破政権時代の選挙結果。
やはり現総理とすれば、自分が総裁時代に選挙を実施。選挙後の国会で、予算審議をしたいというのが本音。
現在自民は過半数を取れず、維新を抱き込み、連立政権という形で政権を運営している。
ここが現総理である高市氏の弱み。いつ維新が政権を離脱するとも限らない。
今回維新が政権に参加する際、自民は維新と事前に連立協議を実施した。
その中の協議事項で、議員定数の削減を維新は自民に呑ませた。
しかし今国会では審議されなかった。
維新は強硬に議員定数を主張したが、自民は色々理由をつけ、最後はうやむやにした。
これは昨年、国民民主と当時与党だった公明と暫定税率協議に同意した自民が、結局反故にした件に似ている。
自民はいつも政策協議に応じ相手を抱き込むが、用がなくなれば、相手をボロ雑巾のように切り捨てる。
過去には旧社会党、さきがけ、公明などがそうだった。党名を挙げなくとも消えていったものもある。
これが政治の非情さと言ってしまえばそれまでだが。
結局、国民が一番大切なことは政権がおこなう政策を、確り監視すること。
嘗て現在の高市総理のように、国民から絶大な支持を受け、退任する際も人気が落ちなかった総理がいる。
それは誰かと言えば、現防衛大臣である小泉議員の実父。小泉純一郎元総理のこと。
元小泉政権は当時、国民から絶大な支持を受け、大胆な政策を実施した。
国民は小泉政権の実施する政策を何も吟味せず、熱狂した。その結果が、今日の日本の有様。
これも話せば長くなるため省略するが、実は今日の日本の惨状を招いたのは、2001年誕生した小泉政権と言える。
既に24年が経過。記憶の彼方かもしれないが、ひとつひとつ当て嵌め検討すれば納得できる。
当時国民は熱狂したが、実は現在の日本の様々な要因が、あの時に芽生えていたと断言する。
国民は24年近くたち、その報いを受けたといえる。今更嘆いても仕方がない。
今まさに、同じことが繰り返されようとしている。それが現在の高市政権。
同じ過ちを繰り返さない為、国民は何をすべきか。
やはり国民の一人一人が政治に関心を持ち、政権を監視しなかればならないと思う。
嘗てのように同じ愚行を繰り返さない為に。
幸い現在では小泉政権時代とは異なり、様々なメディアが発達している。
SNS等はその典型。小泉政権時代、俗に言う既存メディアしかなかった時代と異なり、国民は様々な手段で情報取得が可能。
取得した情報を国民が取捨選択し、自ら判断を下さなければならない。
嘗て為政者に都合がよい情報ばかり流せる時代ではなくなった。国民は情報を精査、理解した上で選挙投票をしなければならない。
今回高市政権が誕生。私も期待を込め臨時国会を見つめたが、臨時国会終了後、その気持ちを益々強くした。
私の評価は、 やはり今迄通りの古い政治家 。
最後に国民の民度を知る為に、何を指標にすればよいか。
よく言われるが、その国民が選出する政治家を見れば、凡その検討がつくと言われている。
つまり政治家見れば、その国民が分かるといこと。 政治家の質が悪ければ、その政治家を選ぶ国民に問題があるということ 。
私はこの言葉は名言だと思う。
つまり政治家の質が悪いのは、国民の責任。政治が悪いということは、国民が悪いということ。
日本は一応、民主主義という政治形態を採用している。
民主主義ということは、まだ自由選挙で必要でない候補者を落選させることも可能。
少しでも政治の質と国民に寄り添った政治を期待するのであれば、国民も責任ある投票を心がけなければならない。
(文中敬称略)