ジョディ・フォスターの体当たり演技 『告発の行方』

★懐かしい洋画の名作 ジョディ・フォスター主演

 

・題名    『告発の行方』

・監督        ジョナサン・カプラン

・脚本    トム・トーパー

・製作    スタンリー・R・ジャッフェ、シェリー・ランシング

・公開     1988年 米国

・音楽    ブラッド・フィーデル

・配給    パラマウント映画

 

出演者

 

◆サラ・トバイアス:ジョディ・フォスター

町のジャンク・フードで女給仕をしている。或る日、酒場でマリファナを吸っていた後、3人の男にレイプされる。

レイプされるが、普段の品行があまり芳しくなく、告訴するも敗訴濃厚。

その為、地方検事補はサラの同意なく、被告の弁護士と勝手に司法取引を行う。サラは検事補の行為に失望。自傷行為を図る。

 

◆キャサリン・マーフィー:ケリー・マクギリス

女性地方検事補。サラがレイプされたと訴える。サラの訴えを聞き入れ、告訴に踏み切る。

 

◆ケン・ジョイス:バーニー・コールソン

事件当日、友人と事件現場に居合わせた人物。実はこの人物が、冒頭公衆電話で警察に通報した人物。

 

◆ポール・ルドルフ:カーメン・アルジェンツィアノ

キャサリンの上司、地方検事。サラの事件にのめり込むキャサリンに対し、あまり好意を抱いていない。

 

◆サリー・フラッシャー:アン・ハーン

酒場(ミル)で働く、サラの友人。事件当日、酒場に居合わせたが、事件そのモノは目撃していないと主張する。

 

◆ボブ・ジョナー:スティーブ・アンティン

サラがレイプされた時、酒場に居合わせた大学生。サラをレイプした容疑で逮捕されが、検事と弁護士との司法取引の結果、過失傷害罪となる。

 

◆ラリー:トム・オブライエン

サラと同棲している男性。事件当日、サラはラリーと喧嘩。その後酒場にやってきた。

男は、ヒモの様な存在。けちなヤク(覚醒剤)の売人をしている。

 

◆ダンカン警部補:テリー・デビッド・ミュリガン

事件当時、サラのレイプ事件を担当した保安官。

 

◆ダニー:ウッディ・ブラウン

サラが酒場でレイプされた時、居合わせた男。酔った勢いでサラをレイプする。

 

◆カート:キム・コンドラショフ

ダニーと同じく、サラが酒場でレイプされた時、居合わせた男。裁判時、彼は周囲に唆され、レイプした男と判明。

 

◆クリフ:レオ・ロッシ

酒場にいて、レイプを煽った中心的人物。腕にさそりの刺青がある。町でサラを見つけ、揶揄う。怒りでサラに車をぶつけられた男。

 

◆マット・ヘインズ:アンドリュー・カベンダス

酒場にいて、レイプ現場に居合わせ、レイプを煽った男

 

◆スチュワート・ホロウェイ:トム・マックベンス

同じく酒場にいて、レイプを煽った男。

 

あらすじ

 

冒頭、いきなり主人公サラ(ジョディ・フォスター)がレイプされ、酒場から逃走するシーンから始まる。

酒場でサラのレイプシーンを目撃していた一人の男が、公衆電話で警察に通報している。

サラは病院に駆け込み、レイプされたと訴える。病院で検査・手当を受け、レイプ事件を担当する地方検事補(女性)と面会する。

サラは今晩の酒場での出来事を検事補に話す。サラは毅然とした態度で、今晩の出来事を明らかにレイプであり、自分はレイプした男達を告訴すると主張する。

 

当時サラは酒場で、マリファナを吸っていた。サラはマリファナの為、気持ちが高揚。酒場で踊りだす。それを見ていた男達は、サラを囃し立てる。

当時のサラの格好と状況では、明らかに裁判ではサラが不利と思われた。

検事側と被告弁護士側の事前打ち合わせで、キャサリンはサラが不利と判断。サラに知らせず、勝手に弁護士側との司法取引(和解)に応じる。

 

検事が司法取引に応じた事で、サラは傷つく。追い打ちをかけるように、町で買い物中、当時酒場にいて、現場を目撃した男に出会い、揶揄われる。

サラは怒りのあまり、男の車に意図的に追突。自傷行為を起こす。

 

心も体も傷ついたサラの姿をみたキャサリン検事補は、レイプした当事者ではなく、当時現場にいて、レイプを唆した(囃し立てた)人間を、暴行教唆として告訴する事を決意。

上司の地方検事が止めるのも聞かず、サラと供に告訴に踏み切る。

 

場面は、裁判に移行する。裁判では当然、レイプそれとも和姦に意見が分かれる。

レイプの場合、囃し立てた人物がいたのかどうかが争点となる。世論もサラに対し、あまり同情的とは言えない状況。

勇気をもって「レイプされ、囃し立てた人間がいた」と告発した裁判の行方は?

 

見所

 

当時のチャッチフレーズをそのまま使わせてもらえば、

「アメリカでは6分に一件、レイプ事件が発生。その現実に深くメスを入れた作品」と唄われている。

ロバート・デニーロ主演、『タクシー・ドライバー』でヒロイン役を務めた、ジョディ・フォスターが体当たりの演技を披露。見事アカデミー主演女優賞を獲得と表記された名作。

 

因みにジョディ・フォスターは三年後、『羊たちの沈黙』で再びオスカー(アカデミー主演女優賞)を受賞している。当に名女優。

ジョディ・フォスターは、前述した『タクシー・ドライバー』でも、アカデミー主演助演女優賞を獲得している。ハリウッドでは、メリル・ストリープと並ぶ、名女優と言える。

 

劇中冒頭は、サラがレイプされ病院で検査・治療を受けた際、レイプ担当の地方検事補(女性)が登場。サラの訴えを聞き、容疑者逮捕に踏み切る。

地方検事補が女性という設定も、この映画の見所。もし男性が担当であれば、映画の進行は成り立たなかったと言える。

地方検事補はサラの必死の訴えを聞き入れ、保安官を伴い、レイプが行われた酒場にいき容疑者を逮捕する。

 

逮捕後、被告弁護士と事前打ち合わせを行う。事前打ち合わせ後、キャサリン検事補は、サラの告訴で全面勝訴は不可能と判断。

 

事件当日、サラはマリファナを吸っていた。又本人が挑発的な格好をしていたのが不利と判断された。被告弁護士側は当然、和姦を主張する。

裁判では当然、当時の状況を尋問される。検事補はサラに勝ち目はないと判断。サラには無断で、弁護士側との司法取引に応じる。

司法取引の結果、逮捕された容疑者の罪は「過失傷害」だった。

レイプの罪でなく、サラを傷つけた「過失傷害」の罪での告訴は、サラの意思とは全く異なる結末だった。

つまり情交の際にサラを傷付けた罪であり、情交は「和姦」であったと言う判断となる。

 

サラは自分に何も相談せず、司法取引に応じた検事補を自宅に行き、キャサリンを罵る。サラはその後、自宅に戻り髪を切り、同棲していた男を追い出してしまう。

※女性が髪を切る事は、大概変身願望の現れ。今迄の自分を捨て、新たな自分に生まれ変わる為の行為と言われている。

 

翌日、サラはレコード店で買い物をする。買い物をしている際、サラに纏わりつく男がいた。男はサラが酒場でレイプされた際、居合わせた男と判明する。

何故なら男は、酒場で働くサリーの証言通り、腕にサソリの刺青があった為。

サラは男の言動を聞き、怒りのあまり自傷行為を起こす。

 

病院に担がれたサラ。傷ついたサラを見つめる、キャサリン地方検事補。

キャサリンは、サラの自傷行為。サラを揶揄った男の発言を聞き、サラの事件を再調査する。

再調査の結果、キャサリンは、周りでレイプを教唆した人間を訴える決意を固めた。

 

裁判では当然、当時の状況を尋問される。サラには、当時の忌まわしい記憶がよみがえる。サラには相当な勇気が必要だった。

所謂「セカンド・レイプ」と言えるかもしれない。

 

調査を進める中、キャサリンは意外な発見をした。サラがレイプされた当日、酒場に設置されたゲームのハイスコアに刻まれたネームに注目した。

私にも経験があるが、若かりし頃、功名心でハイスコアを叩きだした際、つい本名のイニシャルを刻んだものだった。

今回は、それが手掛かりとなる。

実は此の人物が、事件当日公衆電で、警察に通報した人物。

追加で一瞬ではあるが、この人物はサラが働く(女給士)店で、バイトしている模様。因って以前から顔見知りだった可能性がある。

 

しかし後日、男(ケン・ジョイス)は検事局を訪れ、キャサリンに話した内容を撤回する。キャサリンの上司である地方検事補も、証言を撤回した人物(傷害で逮捕された大学生の友人)を支持する。

サラとキャサリンは、全くの孤立無援の状態であることが推測される。

 

しかしケンは当時の状況を、裁判所にて証言する。その時の証言を元に再現した映像では、ケンを含め、サラの周囲に少なくとも、7人居たのが映像から判明。

結局、悪ふざけが高じ、酔った男達がサラに暴力をふるい、行為に及んだと思われる映像だった。

 

映像ではサラは、レイプされた男に対し、キスには応じたが、其の後はハッキリと「ノー」と拒否している。

周囲の人間は面白がり、止めるものなど誰もいない。むしろ囃し立てているといった方が、正解なのかも知れない。

 

サラとケン(逮捕された大学生の友人)が、法廷に証言する映像が圧巻。

サラはセカンド・レイプを跳ね除け、裁判所にて自らの心情を吐露する。

一方ケンが事件当時の様子を、生生しく語るシーンは映画の最大の見所。

 

そして運命の判決。

判決は略検事側、つまりサラの言い分を認める判決となった。

判決後、法廷で互いの健闘を称えるかのように見つめ合う、サラとキャサリン。少し離れ、二人を見つめるケン。3人が互いに勝利を分かち合った瞬間だった。

何か清々しい笑顔が印象的であり、この映画の唯一明るいシーンだったと言える。

キャサリン検事補がケリー(証言した大学生)に対し、「ありがとう」と呟くのが映像から見てとれる。その言葉の口ぶりは、英語の「サンキュー」ではなく、何故か日本語の「ありがとう」に近い口ぶりだったのが印象的。

 

追記

 

地方検事補の役と務めたケリー・マクガリスは、『トップ・ガン』では女性教官で、トム・クルーズの恋人役を演じている。

ジョディ・フォスターは役者だけでなく、実力で数々のアメリカで有名な大学に合格している。決して役者だけの人間ではない。

イエール大学を、優秀な成績で卒業している。とうてい私のような凡人には、不可能。それ程すごい事。

 

因みに女性検事補を演じたケリーマクギリスは、実際にレイプされた経験をもつ。何とも奇妙なめぐり合わせであろうか。

役に対し、深い思い入れがあったのかもしれない。そう思わせる彼女(ケリー・マクギリス)の演技だった。

キャサリン地方検事補がサラの自宅を訪れた際、サラが何故か「猛虎」と印刷された法被を着ているのか、不思議。猛虎は勿論、日本語で書かれてあった。

 

去年の12月、状況は全く違うが、日本で或る事件の裁判の判決が下った。某有名なジャーナリストと、レイプ被害にあったと主張する女性との裁判である。

世論はやや、女性に不利であったが、裁判判決は、ほぼ告訴した女性の主張を認める判決であった。まだ係争中の為、何とも言えないが、この手の裁判にはいつも女性側に不備がなかったかを問われるのが常。

 

突き詰めれば、男女間の問題と済ませるのかもしれないが、此れだけ国際化社会となった現在の日本では、決してそのように簡単に済ませる問題ではないと思われる。

国際化が叫ばれる昨今、好む好まざるにかかわらず、日本もやがて訴訟大国と言われるアメリカ社会のように、訴訟が日常茶飯事になる日も近いのではないかと思われる。

元来日本人は、争い事を好まない民族と言われているが、今後国際化が進むにつれ、決して避けて通れない問題ではないかと思われる。

 

参考までに、以前『JFK』のブログ紹介にて、ジム・ギャリソンの話をしたが、検事補とは地方検事(選挙にて、推挙)の下、検事の下で働く検事の事。

日本で例えれば、検察の事と理解していただければ、分かり易い。

アメリカ社会では自由平等・民主主義の下、検事も選挙にて推挙される。推挙された検事は、自分のスタッフを自分の権限で、招集する事が可能。

 

映画「JFK」の話が出たので追加するが、私はどうもアメリカの裁判制度に疑問を感じる。近年日本でも採用されたが、所謂「陪審員制度」である。

此れも過去のブログで何度も述べている為、あまり詳しく言及しないが、陪審員制度により、真っ黒であった容疑者が一転して「無罪」と言う事が、アメリカ社会では暫し起こりうる。

どう見ても黒と思われたホシでさえ、無罪の時がある。此れは米国裁判制度の問題点の一つ。

 

優秀な弁護士を雇えば、黒が白になる事が、侭にある。

つまり正義は、金で買えると言う事。日本でも同じかもしれないが、米国ほど極端ではない。

その為、米国では弁護士が、人気職種の一つになっている。

 

流石、金満国家アメリカ。判断基準は、すべて金。金で裁判判決が買えると言える。優秀な弁護士であれば、依頼料は法外な値段となる。

以前、松本清張『霧の旗』でも紹介したが、「金の有無で、裁判判決が変わるのか」とタイトルを掲げたが、当にタイトル通りと思われる。

 

今回の作品は昔は地上波でも放送されていたが、今では放送コードに引っ掛かり、二度と放送されないと思われる。

 

(文中敬称略)