2025年、次第に明るみとなる、TV業界の課題
ブログを始めた6年前、既存メディアに関する記事を書いた事がありました。
ブログの内容は主に既存メディアの代表であるTVと、ネットを比較したもの。
話の主旨は、今後TVは無くなりはしないが、徐々に衰退し、ネットが主流になるといったものでした。
それから約6年の月日が流れました。6年後の結果はやはり私が指摘した内容と、あまり大差はないと思われます。
敢えて再びブログで言及しようと思ったきっかけは、去年の11月の某大物お笑いタレントが告訴していた案件の取り下げた事。
更には去年12月の暮、元人気アイドルグループの一員だった芸能人のスキャンダルが発覚した事。
6年の歳月が経ち、漸くTV業界で問題とされていた事象が、明るみとなりました。
今回はその事を含め、業界全体の話をしたいと思います。
目次
もはや斜陽産業となりつつある、TV業界
6年前に指摘したが、TV業界は無くなりはしないが、次第に縮小する産業。最早、斜陽産業と述べた。
要因は、ネットの台頭。
思い起こせば、2011年、完全地デジ化を境にネットが既存メディアに変る新たな媒体として地位を確立した。
2011年の時点で、今日の状況を明確に予測できる人間は、僅かだったと思う。
しかし確実に現在は、ネットが既存メディアを凌駕した。
特に顕著だったのは、You Tubeの出現で既存メディアの王様だったTV業界が大打撃を受けた。
TVの収入源は、主に広告収入。番組スポンサー(クライアント)の広告費がメイン。
その広告費の出稿が年々、減少している。理由は、TV以外の媒体に企業が広告を出し始めた為。
他の広告とは前述したYou Tubeを始めとする、ネット広告に力を入れ始めた為。
当然、企業の広告予算には限りがある。
企業とすれば、如何に広告の効果を考えた際、ネット広告が既存メディアより効果があると判断を下した。
TVは無くなりはしないが、徐々に先細るであろうと指摘した根拠。
将来的に売上げ減になるのであれば、リストラ等の対策が必要となる。
それは前回のブログで述べた為、今回は大まかな説明だけに留めます。
此れは何もTVのみに限った事ではない。出版業界も同じ。今では出版社も青色吐息。
一部のコンビニでは、雑誌等を扱わない店も増えてきた。それだけ出版業界も変化が求められている。
私事だが、私は嘗て両方の分野に係わっていました。その為ある程度、業界の事は知っているつもりです。
その業界の真ん中にいたのではなく、少し外側にいたと言えば的確かもしれませんが。
何れにせよ、両業界はネット出現で、かなりダメージを喰らったと云えるでしょう。
以前から指摘されていた特定プロダクションとの繋がり
以前ブログにて、TV業界での特定プロダクションとの繋がりを指摘しました。
約2年前になるだろうか。指摘した某プロダクションに、或る問題が発覚しました。
敢えて某プロダクションとだけ記しますが、凡そ検討がつくかと思います。
問題となったのは、某プロダクションのカリスマが、以前からプロダクション所属のタレントと関係を結んでいた事。
ブログ上、あまり過激な事は書けませんので、察して頂きたいのですが、当時は大問題となりました。
問題が浮上したのは、本人の死去後。死去後、徐々に影響力が薄れ、遂に隠されていた問題が公になった云う事でしょうか。
揉み消す事ができなくなったとも云えるでしょう。実はこの問題は業界中では長い間、暗黙の了解、或いはタブーとされていました。
何故、タブー扱いとされていたのか。
それはやはり、その人物が芸能界で大きな力を持っていた為。
従って、もしカリスマの気分を損ねた時、所属のタレントの出演をボイコットされる事態を避ける為。
つまりその人物が気分を損ね、「お前の処に私のタレントは出さない」と云われた時、番組制作ができない恐れがあった。
騒動は社会問題となり、問題を重視した事務所は社名を変更。責任を取り経営陣の一部は、入れ替えとなりました。
事務所は、会社のイメージを刷新。新たな気持ちで再出発というのが狙いでした。
だが実際は世間の批判をほんの少し躱すのが目的で、僅かにテコ入れしたのみで終了した。
私もあまり変わっていないとの印象でした。
しかしカリスマの死去直前には、社内の影響力が低下していたのだろうか。
或る国民的アイドルだったグループが解散。
解散したグループの何名かは、カリスマの死去前にプロダクションを脱退、独立した。
カリスマの死去後は益々その動きが加速。他の所属タレントの脱退が相次いだ。
これを機会に独立、結婚したタレントもいました。
カリスマ死去でタガが外れたというか、頸木がとれたとでもいうのだろうか。
去年12月、暮も差し迫った或る日、元有名人気アイドルグループの1人がスキャンダルに塗れた。
スキャンダルの内容は、2年前、某TV局の女性アナウンサーと会食、其の後2人で関係を持ったというもの。
報道に因れば、女性アナウンサーは不本意な関係だったとの事。
実はこの元アイドルタレントというのが、前述した元国民的アイドルグループの1人だった人物。
出来事は2023年6月頃だが、この人物は某事務所の問題が浮上していた時、既に退社、独立していた。
しかし元所属事務所が揺れていた時の出来事で、迂闊と云えば、迂闊。イメージダウンは避けられない。
いくら辞めても元所属事務所では、以前から常態化していた為(カリスマの不祥事)、本人も全く知らなかったとは言えないだろう。
当時大騒ぎしていた時期もあり、あまりも軽率だったと言わざるを得ない。時期が重なっていた為、益々印象を悪くした。
更に印象を悪くしたのは、年明け後、男性タレントが弁護士を通じ声明を発表した或る一部の文章。
その声明の一部に、下記の言葉があった。
「報じられた出来事は事実ですが、既に当事者の女性アナとは示談が成立しており、再びTVに出れる事が可能です」若干、言葉は違うかもしれないが、この様な文章だった。因みに示談金は約9000万円との事。
この文章を見て、何か不思議な感覚に捉われたのは、私だけであろうか?
敢えてこの箇所を載せる必要があったのか?私は、甚だ疑問を呈する。他の方はどう思われたのかは分かりませんが。
男性タレントが声明を発表する前、問題となった某TV局は早々に幕引きを図るつもりだったのか、
週刊誌の報道が出て直ぐに、「会社側は、一切関知しておりません」との声明を発表した。
つまり会社ぐるみの関係ではなく、タレントと女子アナとは個人的な問題として、会社の関与を否定した。
今問題になっているのは、 会社の関与があったのか、なかったのか 。
もし会社が関与を認めた場合、その習慣は以前から常態化していたと云う事。つまり会社の接待の一種だったと云う事。
何故、会社側がそんな事をするのか。やはりタレントに便宜を図り、自局に対し有利に働いてもらうのが目的。
事務所が、タレント個人に変っただけと思えば分かり易い。
此れは他の民間企業でも、ありがち。私も経験がある為、否定はしない。最も私は、接待する側だったが。
早々に会社側が関与を否定し為、疑惑は益々広がった。
その為1月17日、社長自らが記者会見を行ったが、記者会見は記者クラブの会員のみ参加。
フリー、その他のメディアはシャットアウトだった。
社長が記者会見を行うと聞いた時、大概の検討が付いた。何も新しい情報はなく、ただ前回の内容を踏襲するのみだろうと。
結果は、案の定だった。
以前新聞について述べた時、指摘したが、記者クラブは既に既得権益者に因る、「談合組織」といっても過言でない。
つまり既存メディアは、利益共同体。
此れが奇しくも、既存メディアと其の他のメディアを分ける、バロメーターと云える。
何故、記者クラブのみと限定したか。それは暗黙の了解で、他のメクラブメンバーに忖度を求めたと推測する。
汚い言葉で云えば、
「今回明るみになりましたが、皆さんも分かるでしょう。ここはひとつ穏便に」
というメッセージが含まれている。つまり業界中の、悪しき慣習だったのではないかと推測される。
私見だが、「今回、たまたま某TVが問題となったが、実は他のマスコミも、似たような事をしていたのではないか」と。
だからこそ、記者クラブのみの会見となったと思われる。
実は去年1月、同様に取り上げた、某お笑いプロダクションタレントにも似た様なスキャンダルがあった。
このお笑いタレントの場合、週刊で取り上げられた内容が事実無根であると主張。
名誉棄損と訂正記事を求め、裁判所に訴えていた。
結果は去年11月、お笑いタレント側が訴えを取り下げ、騒動は終了した。
取り下げた理由を文面で見たが、何か納得したものでなく、相手の訴えを肯定も否定するものでもなかった。
つまり本人は明確な主張をせず、ウヤムヤにして訴えを取り下げた。
これも私見だが、結局拳を振りあげたが、週刊誌の内容を覆す論拠も証拠もなかったのではないかと推測される。
取り下げたと云う事は、ほぼ相手の言い分が正しかったと言えるのではないか。
此方の場合、会社関与はなく、後輩の芸人がセッティング。その中で問題となる行為が行われた。
後日、被害となった女性が週刊誌に訴え、明るみとなった。
しかし裁判中、タレントは裁判に集中する為とし、全てのTV番組を降板した。
その為、訴えを取り下げた11月、更に今に至る迄、一切TVに出ていない。
TV側も大分イメージが悪くなり、今後もそのお笑いタレントを使いづらいのではないだろうか。
そのお笑いタレントは、私も若い頃から観ていた。歳も似たような年代だった為。
そのタレントは、今では師匠と呼ばれる立場になった。
大物タレントのスキャンダルだった為、女性の接待が日常化していたのではとの憶測が広まった。
大物タレントのスキャンダルが発覚した後、他のお笑いタレント達は沈黙した。
沈黙は何を意味するのか。それは取りも直さず、半ば暗黙の了解だったのではなかろうか。
民放ばかりでなく、NHKにも同じ問題が
今回騒動となったのは民法だが、問題は何も民放に限らない。
特殊法人と云われるNHKも同じ。
結論を先に述べれば、 ネットインフラに対し、何一つ寄与していないNHKは、自社が行うネット放送に対し、課金する権利はない 。
もし不服であればTV視聴に対し、スクランブル化にすれば良い。受信料を払っていない家庭は、放送を止めれば良いだけ。
何故、それをしないか。答えは、簡単。スクランブル化にすれば、圧倒的に受信料の徴収率が減る為。
つまり、NHK側の都合。受信料を支払っている側の都合ではない。
そんな状況でありながらNHKは、ネットアプリをDLし、承諾した人に対し、課金を始めた。
此れはいつもNHKが受信料徴収の際、法律で決められているとの言葉を盾に取り、半ば無理やり徴収しているとは逆のパターン。
放送法が成立したのは戦後の昭和時代。ネット課金は逆に放送法に反する行為。逆に法律違反と云えるかもしれない。
もしNHKがネット課金を義務化するのであれば、法律を変えなければならない。
今迄法律を盾に取っていたNHKが、逆に法律を盾に視聴者に拒否される事もあり得る。
NHKのネット課金があまり問題になっていない事に対し、私は何か意図的なものを感じる。
前述したが、それはやはり「記者クラブ」と云う名の、「談合組織」、或いは「既得権益組織」がある為。
此の件に関しては、民法もNHKも一蓮托生。つまり、今迄甘い汁を吸っていた「同じ穴の狢」であろう。
今後NHKは何かにつけ、ネットに対し無理やり配信。こじ付けで、国民に対し、強制徴収を始める可能性が高い。
しかし此れには、明らかな矛盾がある。それはネットは全世界の何処からでもアクセスが可能。
因って本来なら、日本人以外の全ての利用者から受信料を徴収しなければならない。
しかしそれは不可能だろう。課金してまでNHKのニュースを閲覧する人間は少ない。
従って日本人のみの課金と成らざるを得ない。
これは本当に要注意だと思う。繰り返すが、NHKはネットインフラに対し、何一つ寄与しなかった。
つまりサービスのただ乗り。むしろ批判し、足を引っ張っていたイメージすらある。
此れも何度も述べたが、新しい技術が生まれた時、今迄恩恵を被っていた組織・集団が真っ先に非難する。
最初は皆、その技術を非難・軽蔑していたが、その技術が優れていると分かれば、皆が波打つように、その技術に靡く。
結果、最後まで固執していた人間が、生きた化石と化す。或いは、無用の長物と化す。
所詮人類は、この繰り返し。絶えず新しい技術・進歩が生まれ、人間社会は発展を遂げていく。
決してメディアも例外ではない。今回の騒動を見て、益々この考えが深まった。
最後に
以上が去年から今年にかけ浮上した問題だが、繰り返すがこれは何もここ数年で湧き起こった問題ではない。
かなり前から言われていた。私がブログで述べてから既に6年が経過している。
前述したが、実はこの問題は地デジ化となった2011年の以前から指摘されていた。
指摘されていたが、既存メディア側が意識はしていたが、見て見ぬふりをしていたと云ってもよい。
薄々、気づいていたが、いざ問題となるまで放置していた。
人間あまりよくない事だと分かっていたが、つい見て見ぬふりをし、問題を先送りした事はないだろうか。
あれと同じ感覚。
今迄メディアの王様として君臨してきたTV業界が、そう遠くない将来、その座から滑り落ちるという事実を認めたくなかったと言えるのではないだろうか。
産業革命と云われる技術が登場した時、今迄君臨していた技術が音を立てて崩れていく瞬間というのだろうか。
時代の転換期とも云える。ネットの出現、既存メディアの在り方を変えてしまった。
これも以前ブログにて述べたが、既存メディアに限らずネットの出現で、少なからぬ影響を被った業界が多々ある。
前述した出版業、小売業、旅行業、教育産業、証券業等、あらゆる分野がネットの出現でその在り方が激変した。
自宅にて買い物(EC)、投資、旅行の予約、学習、本の購読が可能となった。
ネット閲覧が増えると云う事は、当然企業は購買意欲を駆り立てる為、ネット広告の出稿を増やす。
TVのように不特定多数でなく、ネットはAIにより、狙った層に的確に広告を打つ事が可能。
無駄がない。TVは、ピンポイントとは言い難い。此れもTVのCM離れが進んだと言える。
CM離れと云えば、スキャンダル後、男性タレントの番組降板が相次いだ。
理由はイメージが悪くなり、TVが使いづらくなった事。最も大きな原因は、番組のスポンサー離れ。
現にスキャンダル後、男性タレントが出演していた番組スポンサーの数社が離れた。
此れはTV局にとり、大打撃。やはりTV局は、スポンサーの広告収入により成り立つ。
スポンサーが離れれば、TV局の収入減に繋がる。
譬え示談がなされても、今迄クリーンなイメージだったタレントが、一挙にダークなイメージとなった。
企業はイメージが損なわれる為、切らざるを得なかったと推測する。
やはり一度スキャンダルに塗れたタレントは、TV側も企業側も使いづらい。
今後既存メディアで、活躍の場を見出すのは難しいだろう。
先程の話ではないが、TVは不特定多数の人が観る為、スキャンダルを極端に嫌う層もいる。
例えば不倫をしたタレント。
不倫をしたタレントは発覚後、なかなか主婦層に受け入れがたい。特に女性タレントは難しい。
男性タレントはキャラにもよるが、昔と違い今は厳しい。
YouTube等は、そのサイトを目的として視聴する為、過去にスキャンダルがあった人物でも受け入れられる可能性がある。
もし違反行為があれば、運営サイトのGoogleからカウント停止となる為、あまり支障はない。
嫌いな人はそのサイトを観なければ良い。違った意味で、選択が可能。
ネットの良い処は、何時でも何処でもデバイスと通信設備があれば、視聴が可能。TVと違い時間と場所に拘束される事はない。
ここがネットとTVの違い。この違いは大きい。つまり、視聴者に選択肢がある。
此れがネットが既存メディアを凌駕しつつある理由。今後益々、この傾向は強まるだろう。
繰り返すがTVは今後生き残る為に、業態の変化が求められる。無くなりはしないが、今後成長する事は難しい。
嘗てTVが誕生した時、当時の中心媒体だったラジオを押しやったように。文明とは絶えずこの繰り返し。
ネットも新たな技術が誕生した時、過去の技術として後塵を拝する結果となる。
その事を踏まえTV業界と始めとする既存メディアは、自らの立ち位置を確認する必要があるのではないだろうか。
(文中敬称略)