カンフー・アクション満載 ブルース・リー主演『燃えよドラゴン』

★懐かしの香港映画シリーズ

 

・題名    『燃えよドラゴン』  

・公開    1973年米国、日本

・配給    ゴールデン・ハーベスト、ワーナー・ブラザーズ    

・監督    ロバート・クローズ

・脚本    マイケル・オーリン

・音楽    ラロ・シフリン

・製作    フレッド・ワイントローブ、 ポール・ヘラー、レイモンド・チョウ

 

出演者

 

◆リー      : ブルース・リー(少林寺も門弟。武芸者とし最高峰に近い)

◆ハン      : シー・キエン(嘗ては少林寺の門弟。悪事に手を染め、破門される)   

◆ローパー    : ジョン・サクソン(破産寸前の実業家。ハンの格闘大会に参加する)  

◆ウイリアム   : ジム・ケリー(黒人の空手使い。性格に難がある)

◆オハラ     : ボブ・ウォール(ハンのボディーガード。残虐非道。リーの妹の仇) 

◆タニア     : アーナ・カプリ(ハンの手下の金髪美女)

◆スー・リン   : アンジェラ・マオ(リーの妹。過去オハラに殺される)

◆メイ・リン   : ベティ・チュン(ハンの側近の美女。実は潜入捜査官)

◆ブレイスウェイト: ジェフリー・ウィークス(英国情報局員)

◆ボロ      : ヤン・スエ(ハンの部下。かなりの使い手)

 

あらすじ

 

少林寺の門弟リーは、情報部員ブレイ・スウェイトの要請で(おそらく英国MI6)、ハンの島の潜入捜査を依頼された。

ハンは嘗てリーと同じ少林寺の門弟だったが、悪事に手を染め、少林寺を破門されていた。

ハンは戦争終了時のどさくさで、所有権があやふやになった島を買い取り、独裁者の如くふるまっていた。

 

情報局は、おそらくハンが島で麻薬を密造。世界に売り捌いていると睨んだ。

壊滅を図る為、リーに潜入捜査を依頼した。リーは初めは乗り気でなかった。

しかし、嘗て自分の妹スー・リンがハンの手下に追われ、自ら命を絶った事を聞かされた。

リーは復讐の為、仕事を引き受ける。

 

ハンは3年に1度、世界の武芸者を集め、格闘技大会を開催していた。

リーは少林寺の教えで私闘を禁じられていたが、師範に許しを得、ハンの格闘技大会に参加する。

 

島に行く船に乗る為、各国からいろいろな猛者が集まった。

本国で破産して、大会に参加してきたローパー。

大会に参加する途中、警官をぶちのめし、やってきたウイリアム等。

それぞれの猛者は船に乗り込み、ハンの島を目指した。その中にリーも含まれていた。

 

島に着いた夜、大会に参加する人間の歓迎会が催された。

ハンは、なかなか趣向を凝らしたもてなしをした。大会参加者は、それぞれパーティーを楽しんだ。

 

パーティーの最中、主催者のハンが挨拶に訪れた。ハンは大会参加者に挨拶した。

挨拶後、ハンは参加者に向かってリンゴを投げた。そのリンゴを側近の女が、ナイフでリンゴを射抜いた。

 

リーもナイフで射抜いたリンゴを受けとった。

リーが受け取ったリンゴをナイフで射抜いた女は、数か月前、情報局側が潜入捜査官として送り込んだ女だった。

名前はメイ・リン。

 

宴の後、参加者にハンから、夜を供をする女が下賜された。

リーの部屋に女達が回って来た。

リーは、宴会場で自分のリンゴをナイフで射抜いた女(メイ・リン)を指名した。

 

指名されたメイ・リンが、リーの部屋にやってきた。

リーはメイ・リンに対し、自分の身分を明かした。

リンの話では、夜な夜な女が一人一人消えていくとの事。リーは夜、部屋を抜け出し、島を探索する。

 

リーは島を調査中、数名の見張りを打ちのめし、気絶させた。

リーは秘密の入り口を見つけ、島の内部に侵入しようとした。

しかし見張りに発見され、その夜は撤収した。

リーは撤収する際、部屋を抜け出し、夜中に型の練習していたウイリアムに姿を見られた。

 

翌日、へまをした見張りが見せしめの為、ハンの部下ボロに始末された。

見せしめの現場を見たローパー、ウイリアムは、ハンのやり方に不信感を抱く。

 

大会が再開された。本日は、リーの試合。

リーの相手はハンのボディーガードを務め、自分の妹スー・リンを死に追いやったオハラ。

オハラは試合前からリーを挑発する。しかしリーは動じない。リーはオハラを、徹底的に痛めつけた。

オハラは試合が不利になるに連れ、反則紛いの行為を繰り返した。

しかしリーは巧みにかわし、勝敗を決めた。

 

試合は既に決し、リーはその場を立ち去ろうとした。

しかしオハラは負けた腹いせに近くにあったビンを叩き割る。

オハラは瓶の破片を両手に持ち、リーに襲いかかって来た。

リーは堪忍袋の緒が切れ、オハラを完膚無きまで叩きのめした。オハラはリーにやられ、絶命する。

 

ハンはオハラの反則行為に気分を害し、その場を立ち去る。

ハンが立ち去る際、側近の女がウイリアムにハンの部屋に来るよう告げた。

 

ハンの部屋に出向いたウイリアムは、ハンから昨夜の外出した理由。

更に見張りを叩きのめした理由を詰問された。

どうやらハンは昨夜の犯人を、ウイリアムと思ったようだ。

真偽はともかく、ウイリアムはハンの態度に気分を害した。

島にいるのは耐え難いとハンに告げ、島を去ろうとした。

ハンはウイリアムの態度を許さず、ハンはウイリアムを叩きのめした。

 

ローパーは部屋でウイリアムを待っていた。

いつまでたってもこない為、ハンにウイリアムの所在を尋ねた。

ハンはローパーに対し、ウイリアムは行方不明になったと告げる。

 

ハンはローパーに対し、格闘技大会の目的は大会に託け、麻薬の運び屋を探している事を告げた。

ハンはローパーを仲間に引き入れる為、麻薬の密売と島の内部の案内した。

 

島の内部を案内する中、ハンはウイリアムは反抗的だった為、自らの手で始末したとローパーに話す。

ローパーはハンから全てを打ち明けられたが、既に逃げ道はなく、断る事もできなかった。

 

リーは昨夜同様、島の内部の潜入した。

島内でハンの悪事の証拠をつかみ、無線室から香港の情報局に援軍を要請した。

無線を使った途端、緊急ブザーがなり、ハンの手下が大勢やってきた。

リーは懸命に戦うが、或る部屋に入った時、罠に嵌り閉じ込めらた。

閉じ込められたリーは、観念するしかなかった。

 

翌日、リーは縄を解かれ、ローパーと戦わされた。

ハンはローパーをリーと戦わせる事で、忠誠心と実力を試そうとした。

 

しかしローパーはハンのやり方が気に入らず、リーと供に戦う事を決意する。

ハンはローパーと部下のボロを戦わせる。ローパーは苦戦はしたが、なんとかボロを打ち破る。

 

リーとローパーは、ハンの手下と戦い始めた。

潜入捜査官のメイ・リンは混乱に乗じ、牢に閉じ込められていた囚人を解放した。

囚人とハンの家来等は、乱闘となる。

 

乱戦の中、リーはハンを追跡。戦いを挑む。

ハンは屋敷に戻り、鋼鉄製の武器を手を嵌め、リーと対決する。

 

対決するが、リーの強さにハンは、まるで歯が立たない。

堪りかねたハンは、自分が得意とする鏡の部屋にリーを誘い込んだ。

慣れない鏡の部屋で、流石のリーも苦戦する。

 

リーは苦戦するが、ついにハンを追い詰め、ハンを始末する。

ハンを倒した後、外に戻れば、ハンの手下の殆どは始末されていた。

大方の決着がついた後、島に香港から情報局の援軍のヘリコプターが到着。

映画は幕を閉じる。

 

見所

 

劇中の最後にリーがハンを追い、鏡の間で戦うシーンがある。

このシーンは映画史上でも、屈指の名シーンと云われている。

 

劇中、リーに武術を学びに来た弟子がリーに「考えるな、感じろ」と云われている。

リー未亡人の話によれば、その言葉は、リーがいつも心がけていた理想らしい。

映画が完成した後、リーは急死。映画の試写を観る事なく、この世を去った。

 

ブルース・リーの映画全般に言えるが、格闘シーンでの、リーの蹴りが美しい。

リーは昔、ダンス教師をやっていた時期があった。その為、蹴りのシーンが殊更美しく見えた。

 

劇中、リーの戦いぶりが素晴らしい。オハラと戦う時、ハンと戦う時など、全てのシーンにおいて、絵になる。

急死しなければ今より更に飛躍して、世界的スターになっていたであろう。

 

リーに代わるように、劇中で端役だった「サモ・ハン・キンポー、ジャッキー・チェン、ユン・ピョウ」等が、その後スターダムにのし上がる。

 

追記

 

前述したが、冒頭で少林寺の師範・門弟の前で天覧試合から始まる。

ブルースリーの戦う相手は、なんとサモ・ハン・キンポー。

劇中では後に活躍する、ジャッキー・チェン、ユン・ピョウなども端役として登場している。

 

劇中ハンの部下ボロ役のヤン・スエは、日本で放送されたTBSドラマ「Gメン75」香港シリーズで、暫し登場した人物。

私も、Gメン75で観た記憶が強い。

 

ハン役のシー・キーエンは、後スターとなったジャッキー・チェン主演映画『ヤング・マスター ・師弟出馬』で、クァン署長役を演じている。

尚、署長の息子役として、ユン・ピョウも出演している。

 

劇中、リーに武術を学びにくる少年は、ハンの島でも登場している。

リーが島で、オハラを完膚なきまで叩きのめした後、ハンの弟子たちがリーを驚きの目で見つめる集団の中に少年がいる。

 

歓迎会でナイフを投げられて、リンゴを受ける人物の中に、「タイ・ポー」がいる。

タイ・ポーも、ジャッキーの映画の常連者。

 

『プロジェクトA』では、「ひょうきん」の渾名で出演している。

『プロジェクトA』は、サモ・ハン・キンポー、ジャッキー・チェン、ユン・ピョウの3人が揃い踏み。

後の『スパルタンX』も同じパターン。

 

敵役のオハラは西洋人でありながら、何故か日本人らしき名前がついている。

おそらく、日本人を仮想敵として付けられたもの。第二次大戦中の日本人のイメージを想定したもの。

言うなれば「残虐、卑怯且つ、ずる賢い」というイメージであろうか。

 

アクション映画として観れば面白いが、何気に他のブルース・リーの作品にも、日本人があまり良くないイメージとして描かれている。

子供の頃、それが分からなかった。だいぶ後になり、知ったが。

 

(文中敬称略)