ここにも少子化の波が。年末年始のスポーツイベントを視聴して、感じた事
★皆様、明けましておめでとうございます。本年度も、宜しくお願いします。
さて今回のテーマは、年末年始のスポーツのイベントを視聴し、感じた事を述べたいと思います。
目次
ここにも少子化の波
過去ブログで何度も取り上げている年金の問題ですが、それを語る上でのキーワードは、「少子化」という言葉だと思います。
ブログでも述べましたが、おそらく去年の新生児は、約70万人以下だったと推測します。
私が団塊2世で世代数が約200万人と云う事を考えても、約3分の1と云う計算になります。
此処までは過去何度も述べていますので繰り返しませんが、こんな処にも少子化の影響があるのかと感じた事を述べます。
私は年末年始、この時期に行われるスポーツの観戦が恒例となっています。
代表的なモノとすれば主に、サッカー、ラグビー等です。
私は学生時代、部活動でサッカーをしていた事もあり、サッカーは勿論の事、ラグビーにも興味があります。
ラグビーに興味が湧いたのは、進学で上京。進学した大学が、ラグビーが強かった事もあり、興味を持ちました。
もともと何気に小学校~高校時代、年末年始に惰性で深夜放送された大会のダイジェストを視聴していました。
その影響もあったのでしょうか。大学に入り、隠れていたラグビー熱に火が付いたとも言えます。
今回は主に経験したサッカーではなく、ラグビーについて話します。
勝敗が、あまりにも読みやすいスポーツ
初めのタイトルで、この章の結論を述べました。
ラグビーを知ってる方であれば分かると思いますが、ラグビーほど戦う前に勝敗を予測できるスポーツはないと云う事です。
知らない方はどういう事か分からないかもしれませんが、ラグビーは現戦力と過去の成績で、対戦前に既に勝ち負けが分かると言えばよいかもしれません。
つまり大方、予測がつくと云う事です。
それだけシビアで、決して弱いチームが強いチームを負かすと云う事が少ないスポーツと云えるでしょう。
サッカーや野球等は、ある一戦であれば戦う前、徹底的に相手を研究分析。何とか打ち負かす事ができるかもしれません。
しかしラグビーの場合、徹底的に相手戦力を研究分析すれども、弱い時は、10戦して10敗します。
つまり全敗する。そんなスポーツです。
高校ラグビーはAシード、Bシードに指定され、トーナメントに振り分けられます。
シード校は二回戦から登場しますが、一回戦を突破したチームは、殆どが二回戦でシード校に敗れます。
たまに今大会のようにシード校が敗れる事もありますが、シードを破った2校も、シードを与えても遜色ないチームでした。
報徳は2年前の大会、Aシードで準優勝。京都工学院(旧伏見工)は優勝4回、準優勝2回の名門。
ほぼ同時期に行われる大学ラグビーも大学選手権に入る前、各リーグ戦の成績で出場校が決まり、トーナメント表が埋まります。
出来上がったトーナメント表を眺めれば、或る程度、どのチームが勝ち進むか予測できます。
長年見ていれば、ほぼ間違える事はない。今年はどのリーグが強く、どのチームが強いか戦前から識別できる。
逆に云えば、大番狂わせが少ないスポーツと云えるでしょう。
勝敗がほぼ決まってしまう現実
次に勝敗が予測できる上で、問題点を述べたい。数々の問題があるが、端的な点のみ挙げたい。
② 地域により、レベルに差がありすぎる。
③ ①、②が要因と云えるが、少子化の影響で特定の私立に有力な選手が集結。ますます学校間の差が開く。
本当に簡単に問題点を挙げたが、ほぼこの3点に集結できる。
理由は下記にて述べたい。
全ては少子化が原因
最初にも述べたが、全ての原因は少子化の為。
つまり少子化で戦力が分散せず、特定の高校、それも私立に偏る傾向がある。
ここ近年、高校ラグビーを観ていても、殆ど同じ私立高校が優勝を分け合っている。
決してそれが悪いとは言っていないが、今後この傾向は強まれどすれ、弱まる事はないだろう。
具体的に述べれば、ここ20年の優勝校(2005年~2025年)の歴代優勝校を眺めれば明らか。
丁度20年前、京都の伏見工が優勝して以来、国公立の優勝はない。
準優勝あるが、それも同じ伏見工、奈良の御所実の僅か2校しかない。
その伏見工も今では少子化の波に勝てず、他校と合併。今では京都工学院と云う名に変った。
更に工学院は近年、地元の私立校(京都成章)に押され、予選を突破する事すらままならない。
今大会、久しぶりに予選を通過。本戦に駒を進めた。しかし過去4回の優勝。2回の準優勝を誇る名門も、今回はノーシード。
一回戦、福島代表と戦い 112-0で大勝。二回戦、愛知代表のシード校と戦い、シード校を撃破。
三回戦、同じくシード校の栃木代表と戦ったが、もろくも敗れた。嘗ての名門も、やはり今の私立には勝てないと云う事をまざまざと見せつけられた。
何故、旧伏見工を詳細に述べたかと云えば、今回の問題に、そのまま直結している為。
お気づきかもしれませんが、ノーシードの旧伏見が福島代表に、112-0で大勝する。
この福島というのが、今回の②に当て嵌まる。繰り返すが、ラグビーは地域により、格差があり過ぎると云う事。
福島と云えば、東北。過疎化が進んでいると言われ、久しい。当然、少子化は避けられない。
その為、各校に戦力が分散する処か、まともにチームすら組めない高校もある。
試合に必要な15人すら、集まらない高校もある。当然試合に出場できない為、休部か廃部となる。
今は見るも無残だが、嘗て東北にも強いチームが存在した。
秋田の秋田工。岩手の黒澤尻工など。秋田工は、優勝15回という、歴代最多優勝校の名誉を持つ。
しかし秋田工も1987年(昭和62年)を境に、優勝から遠ざかっている。
実に38年、優勝から遠ざかる。今後も難しいだろう。
以前はシードにもなっていた宮城の仙台育英も、今回は一回戦から登場。一回戦で散っている。
仙台育英と云えば野球を始め、駅伝、近年ではサッカーも強い為、あまりラグビーに力を注いでいないのかもしれない。
他にも顕著な地域差が見られる。ざっと挙げれば、北海道、中部、北陸、東海、四国、九州の一部等。
中部地区は、新潟、長野、岐阜なども一回戦から出場。一回戦を勝てども、二回戦から登場するシード校にほぼ全滅する。
北陸は石川が偶に強いチームが出るが(日本航空石川)、ここも二回戦からのシード校に敗北する。
日本航空は過去、シードに指定された事もあったが。
福井も強い時代があったが、今はほぼ一回戦で散る。富山は所謂、弱小県。
東海は愛知を抜かし、ほぼ全滅に近い。
愛知は昔、旧西陵商で優勝もあるが、旧と云う名の通り、少子化で商業科は廃止。普通高となった。
調べてみれば、名古屋市立西陵高校と校名を変えている。
四国はほぼ、一回戦から登場。勝っても、やはり二回戦のシードに敗れる。
山陰は島根の石見智翠館のみ強い。鳥取は過疎化の影響で、県に一校のみラグビー部が存在する。
その為、予選がなく本戦に進む。
因みに石見智翠館も、私立校で他県からの生徒が主流(旧江の川)。どこかの県の野球やサッカーと同じ状態。
今大会Aシードだったが、地元生徒ではなく、他県からの優秀な人材を集め、チームを編成している。
今回優勝した神奈川の桐蔭も同じ。他の強豪校も同じやり方。因って益々、国公立の優勝は難しいと云う事。
話が逸れたが、中国地区は広島の尾道がそこそこ強いが、岡山、山口は一回戦で消える。
九州は福岡、長崎、佐賀、宮崎、大分は強いが、熊本、鹿児島、沖縄は、ほぼ一回戦で消える。
佐賀は大概、佐賀工。大分は県立の大分舞鶴が常連だったが、ここ数年、私立の大分東明が出場している。
簡単に地域格差を述べたが、突出して強い地域は、何といっても近畿圏
大阪を筆頭に、奈良、京都、兵庫は強い。一方、近畿でも滋賀、和歌山はあまり強くない。
同じ近畿でも、此れだけ差が付くのかと思うほど。
先ず大阪は、3校出場できる。地元と云う事もあるが、それだけレベルが高い。
しかし府予選の準決勝ですら、大差がつく。繰り返すが、それほど差がつく競技。
昔は大阪でも布施工、淀川工、北野などの府立も出場したが、今はない。
私立だが、同志社香里、旧啓光なども昔の面影はない。
啓光は旧大工大と合併。今では常翔啓光となっているが、2008年の優勝以降、出場すら覚束ない。
最後に関東圏を述べるが、関東は総じてレベルは高いが、今の群馬は強くない。
サッカー、野球は強いが。群馬も強い時代があった。
1980年代~1990年初頭に、東農大二が強かった。1993年度は準優勝している。
だが今は、出場すらしていない。理由は、後述する埼玉にも言えるが、やはり少子化の影響。
仮令私立でも農業に特化している為、生徒が集まらないのではないかと推測する。
現在、県代表は一回戦は突破しても、二回戦のシード校相手でほぼ敗退する。
茨城は、ほぼ茗渓。茗渓は優勝経験もある。それは昭和天皇が崩御された1989年。
決勝戦は中止となり、大阪の旧大工大と優勝を分け合う形となった。
しかし其の後はあまりぱっとせず、2012年度のベスト4が最高。
近年はシードを貰っても、上位には食い込めない。
千葉は、ほぼ流通経済大柏が独占。2018年度のベスト4が最高。
しかし最近は、シードが取れるかどうかのライン。
山梨は嘗て県立の日川が強かった。出場すれば、いつも上位の成績をおさめた。
しかし日川も少子化の影響で、1995年度のベスト4が最後。山梨も今では私立が優勢。
埼玉は1980年代~1990年代初頭までは、県立の熊谷工が強く、1990年度は悲願の優勝を成し遂げた。
その後は低迷。入れ替わるかのように私立の正智深谷(旧埼工大深谷)が台頭。
1999年度は準優勝したが、2004年度のベスト4を最後に低迷した。埼玉は全体に凋落している。
何か前述した群馬に似ている。熊谷工が出場していた80年代は、出れば必ず上位に食い込んだ。
80年代は生徒が団塊2世で、世代間が最も多かった時代。此れが一番分かり易い例かもしれない。
更に少子化で、工業高校に生徒が集まりにくいのではないかと思う。
東京は、ほぼ同じ私立が出場。
お馴染みの国学院久我山、目黒学院(旧目黒)が出場するが、昔のような優勝に絡む事はなくなった。
久我山は2012年度のベスト4を最後に近年はシードを貰っても、三回戦のシード校対決か、ベスト8で敗退する。
隣県の桐蔭が近年の高校ラグビーを牽引しているが、何故優勝に絡まなくなったのか、不思議な気がする。
目黒は留学生と云う名の外国人を起用しているが、本戦はあまり強くない。嘗ての保善は、噂も聞かない。
1985年度で東京同士の決勝を演じた、大東文化一、本郷なども出場すらしていない。
東京は明らかにレベルが落ちたと言える。一方、神奈川と栃木の躍進は著しい。
神奈川で言及しておかなければならないのは、1990年代に連覇を成し遂げた、相模台工。
1993年度、1994年度の連覇後、1995年度のベスト4を最後に、出場すらなし。
当然、桐蔭の壁もあるが、相模台工も県立の工業高校。おそらく生徒の確保が難しいのではなかろうか。
そう思い調べてみれば、何と2005年に少子化の影響で統廃合の結果、廃校していた。
神奈川は野球で有名な、東海大相模も力をつけて来た。2年前、桐蔭を破り花園に出場した実績もある。
神奈川は今後益々、野球・サッカーと同様、国公立の出場は難しい。
こうしてみれば、如何に特定の高校に戦力が偏っているかが分かる。
断っておくが、それは各高校の努力の賜物であり、良くないとは一言も述べていない。結局、少子化が原因で、選手の分散がされなくなったと云う事。
改めて全国の私立強豪校を挙げれば、二連覇を成し遂げた桐蔭学園を筆頭に、
国学院栃木、東海大仰星、常翔学園、大阪桐蔭、京都成章、天理、報徳学園、石見智翠館、東福岡等だろうか。
実は前述したが、ここ20年の大会のベスト4が、今あげた高校でほぼ独占されている。
高校が限定されれば、優勝校も自ずと限定される。此れがここ20年、旧伏見以外、私立校で優勝が独占されているという所以。
最後に
今後少子化の影響で、特定の私立が優勝するのは、避けられないだろう。繰り返すが競技自体が、大番狂わせが起こりにくいスポーツの為。
少子化と過疎化が進むに連れ、益々その可能性が高い。有力な選手となれば、地元はおろか、全国の私立からスカウトがくる。
親の立場からすれば、日本の経済状況を鑑みれば、特待生となれば家庭の経済的負担が軽くなる。学校と生徒の両者は、互恵関係となる。
此れが戦力の集中化に繋がり、強いチームは益々強くなり、弱いチームは益々弱小化する。この流れは止まれないだろう。
結局、行きつく処は、今迄述べた事の繰り返し。此れが果たして全国大会の競技として成り立つのかと疑問を感じる。
一回戦を観ても、あまりにも力があり過ぎるチーム同士の対戦も見られた。
私見だが、此れを提案すると必ず反対意見の方が多くなるが、
ひと思いに 「弱い地区は選抜戦を行い、勝ったチームが本戦に進むようにすれば良い」 のではないかと思う。
あくまでも提案の一つだが。
今では最低一県一校となっているが、嘗て高校サッカーは、地域予選を採用していた時期があった。
だが私は、高校サッカーは出場校を増やして正解だったと思う。
何故なら、高校サッカーは昔に比べ、全国的にレベル差がなくなり、優勝校が各地に分散した為。
確かに全国で有名な私立の強豪校も存在する。ラグビーと同じで、やはり私立校が優勢である事は否めない。
だが、ここ20年の優勝校を見れば、確かに優勝校と都道府県が分散されている。此れは良い事だと思う。
私がサッカーをしていた頃、優勝する都道府県は、大概決まっていた。それが見事に解消された。
理由としては、譬え少子化でも競技性の違いが挙げられる。サッカーの場合、譬え前評判が良くても、あっさり初戦で負ける時もある。
今回の高校サッカーがまさにこれ。優勝候補が予選、大会の序盤で姿を消すケースが見られた。
更にプロ化の影響で、裾野が広がった事も要因の一つに挙げられる。
改めて述べるが、ラグビーは違う。それ程、強者に有利なようにシステムが作られている。
サッカーもラグビーも英語で示せば、「Foot Boll」。発祥も英国。あまり違いはない。
しかし競技内容は、全く違う。
サッカーと違い、ラグビーは明らかに強者に有利なようなルールと仕組みが、構築されている。
故に最初に戻るが、戦前から勝敗が分かるスポーツと云われる。
大学ラグビーも同じ。選手権に入る前、大方の勝敗が予想される。
敢えて言及すれば、近年の傾向からすれば、明らか実力では関東対抗戦、次は関西大学リーグ、その次は関東大学リーグとなる。
関西リーグと関東リーグは逆になる事もあるが、大概優勝は関東対抗戦から生まれる。
具体的に名を挙げれば、現在連覇中の帝京、更に早大、明大が続く。その下に慶応、筑波大があり、ほぼ近年の優勝は対抗戦で独占されている。
4年前、久々に西の天理が優勝。1984年の同志社大の優勝以来、優勝旗が西に渡った。
因みに1984年の同志社は当時3連覇を成し遂げ、「ミスター・ラガーマン」と云われた、平尾誠二がキャプテンを務めていた。
平尾誠二は、京都の伏見工出身。当時は、各校に選手が分散されていた。
伏見OBが其の後、同志社大に入部。黄金時代を創ったのは、有名な話。
追加で同志社OBがそのまま神戸製鋼に入り、後の神鋼の伝説が生まれた。
最後に纏めとなるが、大学ラグビーは圧倒的に関東が強い。
しかし高校ラグビーは近年、神奈川の桐蔭の躍進もあるが、全体的にみればやはり、西と呼ばれる地域が強い。
今回の東西を分けるシードも西に有力なチームが存在したが、バランスを考えた為、西にシード漏れしたチームがあった。
シードの件は桐蔭が優勝した為、ウヤムヤになりつつあるが。敢えて云えば、今回東で強いチームは桐蔭と国学院栃木のみだった。
全体的には西の方が強かった。口にしないが、関係者もそれは重々承知していたと思う。此処にも改善が必要かもしれない。
忌憚ない意見を述べれば、やはりラグビーは日本では、マイナーなスポーツ。世界ランキングでは日本は、7位か8位。
しかしラグビーWCでは、ベスト8は進んでも、ベスト8では相手チームに敗北する。何度も述べるが、決して大番狂わせがないスポーツ。
世界ランキングが一桁でも、上位とは雲泥の差がある。これが日本のラグビー人気を阻害している原因かもしれないが。
それは高校レベルでも言える。敢えて勝敗が分かるスポーツを今後、どう運営していくのか。
大会本部は、レベル低下を防ぎつつ、今後の大会のレベルアップを思考しなければならないと感じる。
そうしなければ繰り返すが、少子化の影響で、大会全体の面白みが薄れるのではないかと懸念する。
大会前から優勝校が分かり、地域格差が広がれば競技人口はおろか、ファン全体が競技の面白みがなく離れ、更にマイナースポーツと化すのではないかと。
(文中敬称略)